約束していた給与・ボーナスの返上を行わない静岡県の川勝平太知事に対して、県民から疑問の声が上がっている。FNNの単独直撃を受けた川勝知事は、自らの報酬返上問題について説明した。
富士山に誓った「給与返上」
ことの発端は2021年10月。参院静岡補選の応援演説で飛び出した、いわゆる“コシヒカリ発言”だった。

静岡県・川勝平太知事(2021年10月):
あちら(御殿場市)はコシヒカリしかない。だから飯だけ食って、それで農業だと思っている。

県内の自治体である御殿場市を、「コシヒカリしかない」などと揶揄し、“県を分断する発言だ”として問題化。県には、1000件近くの苦情が殺到した。

静岡県議会臨時会(2021年11月):
川勝平太知事の辞職勧告決議案は、可決をされました。

2021年11月、県議会は、川勝知事の辞職勧告決議を可決した。法的な拘束力はないものの、川勝知事は“県政史上初”となる議会からの退陣要求を突きつけられた。
その直後の会見では……。

静岡県・川勝平太知事(2021年11月):
猛省をしなければならないわけですけども、来年は生まれ変わったような人間になってみようと富士山に誓いました。

“富士山への誓い”とともに、自らにペナルティを科すとして、その年の12月分の給与とボーナスを全額返上すると表明した。

ところが、当時の給料とボーナス合わせて約440万円が、今も返上されていないことがわかったのだ。
なぜ返上しなかったのか?本人が説明
なぜ自らの発言を非難し、報酬を返上しなかったのか。7月5日午前、川勝知事本人を直撃した。

ーーボーナスの返上は?
静岡県・川勝平太知事(74):
これはですね、議会の決定を尊重する。これに尽きるんですね。
不適切発言があって、“御殿場コシヒカリ”に集約されるが、これに対して反省して報酬返還すると言ったところ、(議会が)「それは受け付けない」となりまして。「川勝を強制的に辞めさせる」と…。

報酬を返上するためには、条例改正が必要だが、議会の“反川勝会派”などが「返上で責任を果たしたことにはならない」と条例改正ではなく、あくまで知事の辞職を求めていたという。

静岡県・川勝平太知事(74):
議会でご承認賜らないと、報酬の件っていうのは自分で決められない。ですから、勝手に返上できない。
そして、(議会は)勝手に返上するんじゃなくて、それでは済まないと、(知事を)辞めろということになった訳です。

そうした事情から、“条例改正案の提出を見送った”と話した川勝知事。
現在、自らの置かれている状況をこう説明した。

静岡県・川勝平太知事(74):
もう一切不適切発言をいたしませんということと、それをもし破ったら即辞職。そういう状況で今、知事職を預かっている。私が辞職を常に背負っている身ということには変わらない。
コシヒカリ発言が物議を醸した御殿場市の市民は、川勝知事が“報酬を返上しない”方針を示したことについて、どう感じているのか。

御殿場市民:
返上してなかったってことですよね、結果的に……。あいまいなまま発表して、謝罪と違うことでまたさらに炎上するのわかっていて。決まってから発表とかするべきじゃないですか、ちゃんと。
御殿場市民:
1回口に出しちゃったことを、その通りをしないと余計に皆さんの信用をなくす。
川勝知事は、県民の信頼を取り戻すことはできるのだろうか。
「やるべき事をやらない、言葉が軽すぎる」
宮司愛海キャスター:
議会は、報酬の返上ではなく知事の辞職を求めている状況があったとはいえ、県民に約束したことを守らないというのはどうなんでしょうか。

住田裕子弁護士:
辞職勧告決議案は、法的拘束力はないですけど、その時に報酬返上することで政治的決着を取ろうとしたけど、結局議会が受け付けないといっても、ご本人はやることやってないじゃないですか。条例改正案の提出をして、ダメだったらその時また次の手を考えるべきだし、そのために色んなところと協議していく。やるべき事をやらないでやっている。なんだかね…言葉が軽すぎます。

榎並大二郎キャスター:
富士山に誓うという言葉もありましたけど、静岡県民の皆さんは、今回の問題についてどう思っているんでしょうか。
(「イット!」7月5日放送より)