ロッテは、成果を上げた中堅や管理職などを対象に、年収を最大300万円引き上げる。

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ロッテは、2023年内にも最大300万円を年収に上乗せする「高度スキル給」を始める。

対象となるのは、入社約10年以上が経過した中堅や管理職の社員、約800人から900人。

営業や生産部門だけでなく、働き方改革への取り組みなど、継続的な利益につながる成果を出した人物を、社長や役員が数人程度選ぶという。

「高度スキル給」の対象に選ばれれば、年収が100万円から300万円ほど上乗せされ、毎月の給与やボーナスで分割して支払われる。

ロッテは、この「高度スキル給」の導入で、外部への人材流出を防ぎ、持続的な成長を実現するための人材を確保したいとしている。

“退職金”転職時代に魅力的でない

「Live News α」では、キャスター取締役CROの石倉秀明さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
中堅や管理職などの最大300万円の年収アップ、正直、うらやましいという方、多いかもしれませんね。

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
ベースアップだけではなく、高いスキルを持つ人の給与を上げていくという施策は、どんどんやるべきだと思う。

例えば、今までのような年功序列で、年齢に応じて等級などが決まり、成果を出しても出さなくてもそこまで給与が変わらない仕組みだとすると、優秀な人、成果を上げられる人ほど懸命に頑張るインセンティブはなくなるし、そういう人ほど、他の会社に行くほうが良くなってしまう。

つまり、みんなを平等に扱おうとした結果、成果を残せる社員に対しては不公平な仕組みになっていた、といっても過言ではない。

こういった、高スキル人材の給与をグンと引き上げていくのは、働くモチベーションを上げるだけではなく、さまざまな良い効果が期待できる。

堤 礼実 キャスター:
具体的には、どういった効果が期待できますか?

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
今回の変更は、報酬の先払いのような効果もある。今までは、働いている期間の年収はそこまで上がらない代わりに、退職金でお金が支払われる仕組みが多かった。

これはいわば、最後にご褒美が待っているので、それまで我慢してもらうというモデル。これは現在の状況とは合わなくなってきている。

そもそも退職金制度というのは、今のように転職が当たり前になってくると、あまりメリットがない。

また、30~40代など子育て世代からすると、お金が必要なタイミングで支払ってもらったほうがメリットが大きくなっているということなどがある。

「成果や貢献度評価」透明化も重要

堤 礼実 キャスター:
時代に合わせた報酬のあり方を決めていく上で、何がポイントになるのでしょうか。

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
今までの人事制度や給与の考え方のベースは「平等」。つまり、全員が同じであることが重視されてきた。

ただ、実は給与ではない裏側で評価は別にされていて、それに基づいて最終的にどこまで出世するか決まっていくなど、非常にブラックボックスな面も多い。

今後は、表面上の「平等」よりも「公平」。つまり、フェアに成果や貢献に応じて差がつく、それが透明化されていて見えることが、大事になるのではないかと思う。

堤 礼実 キャスター:
仕事には責任が伴います。その責任だけを増やしていくのではなく、それに見合った給与が支払われるべきだと思いますし、こういった制度によって、人材流出を防ぐということにも繋がるのではないかと思います。

(「Live News α」7月3日放送分より)

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