愛知県江南市の企業が開発した建物への浸水を防ぐ「止水板」が、愛知県東部を中心に各地で浸水被害が出た6月初めの豪雨をきっかけに注目を集めている。

磁石で貼るだけの手軽さ…重さは土のうの約50分の1

6月2日、東海地方を襲った記録的な豪雨。この豪雨で、愛知県豊川市の病院では浸水により医療設備が故障した。住宅など愛知県内の浸水被害は、床上と床下で計約750棟に上った。

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こうした浸水被害を水際で防ぐアイテム「止水板」を、江南市の企業「KTX」が開発した。

読んで字の如く、水を止める板だが、使い方は住宅や会社の入り口に取り付けた柱にマグネットで貼り付けるだけ。

実験の映像を見ると、大量の水をためても、ほとんど内側には漏れずに防いでいることがわかった。

この止水板の最大の利点は、扱いやすさにある。高さ50cm・幅1.8mの板は、重さがわずか13kg。浸水対策でよく使われている土のう袋はひとつひとつが重く、同じスペースを防ごうとすると、約600kg分も積み上げなければいけないという。

2021年に発売された止水板だが、6月2日から3日にかけての豪雨を受け、問い合わせが殺到した。

KTX・じゃない方事業部の担当者:
昨年(2022年)の6月に比べますと、(問い合わせが)3倍〜5倍になっております

止水板を開発したKTXは、自動車部品の金型(かながた)を製造する会社だ。防災用品を開発した経緯を聞いた。

KTX・じゃない方事業部の担当者:
江南市は水はけがあまり良くなくて、機材が被害に遭わないよう、自社の浸水対策として作ったのがきっかけになっております

元々は自社を守るために開発したが、そこには長年金型を手掛けてきたメーカーのこだわりが詰め込まれている。

KTX・じゃない方事業部の担当者:
どういった力を加えればどういったデザインになるかというところを計算して、金型が作られております。止水板も水圧にどう耐えられるかを解析できますので、そういったシミュレーション技術が生かされている

製品はすべてオーダーメードだが、今後工場に作業用ロボットを導入し、高まる需要に応えていくという。

KTXの社長:
(大雨の影響で)皆さんお困りで、すぐ欲しいという方が多くて。いろいろな防災用品をどんどん広げていきたい

(東海テレビ)

東海テレビ
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