空き時間などの短い時間に働く“スポットワーカー”が急増し、この3年半で3倍に増えたことがわかった。

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スポットワーカーを取り巻く環境の調査などを行う、スポットワーク協会によると、スポットワーカー登録会員数(大手4社合計)は、新型コロナ前の2019年末には約330万人だったが、2023年5月には、約3倍の約1070万人となった。

これまでは、スポットワーカーを求める職種はイーコマース拡大に伴う商品の配送や、倉庫内の仕分けなどが多くを占めていた。

しかし現在は、飲食や宿泊を含むサービス業の需要も増えているという。

スポットワーカー増加の背景についてスポットワーク協会は、「人手不足や“年収の壁”の問題による働き控えなどが続く中、雇用企業とワーカー双方のニーズのマッチングが進んだ結果」と分析している。

働きやすさは雇用者側のメリットにも

「Live News α」では、キャスター取締役CROの石倉秀明さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
スポットワーカーの急増、どうご覧になりますか。

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
スポットワーカーという働き方は、複数のニーズを叶えてるのだろうと思う。例えば、会社員の人にとってみれば、空いた時間に、必要なだけ、副業として働ける。

また、採用面接がないのは大きい。面接では、どうしてもレギュラーで安定的に働ける人が好まれるが、スマホで完結する仲介サービスを利用すると、面接なしで働く人が望むシフトで働けるようになる。

以前、スポットワーカーだけど、ほぼ毎日働いている人に話を聞いたら、「どこか特定のお店に入るよりもしがらみがなく、気楽でよい」という人もいた。

堤 礼実 キャスター:
雇用側にとっても、メリットがありそうですね。

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
人手不足対策になるのは間違いない。学生時代などに飲食チェーン店で働いていた人が、社会人になって、スポットワーカーとして同じチェーンのお店で働いたら、ほぼ即戦力でシフトに入ってもらえる。

そうなると、高いお金を出して求人募集を出すのを、減らせるというメリットがある。

今後は、スポットワーカーをうまく活用できるか、できないかでシフトの組みやすさが変わったり、人手不足で悩むか悩まないかが変わってくる可能性がある。そうなると、課題はオペレーションの標準化。

誰が来ても運営できる仕組みを

堤 礼実 キャスター:
具体的には、どういうことでしょうか。

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
初めての人が来たとしても、少し似たような経験がある人であれば、いきなり業務ができるレベルまでの標準化が必須。

チェーン店で、どこに行っても同じフローやオペレーションが整備できていれば、スポットワーカーをかなり活用しやすくなるはず。

そうなると、課題は個人のお店。例えば、私の義理の父も個人でお店をやっているが、基本的に仕事が属人的でマニュアルなどもなく、誰かが突然やってきて、何とかできる感じがしない。

それをどうやって標準化していくのか。誰が来ても運営できるような仕組みを作れるかは、今後の大きなポイント。

日本には製造業などを中心にそういった、いいノウハウや事例がたくさんあるので、それを活用して、個人店でもスポットワーカーを活用できるよう、標準化のサポートが同時に必要になる。

堤 礼実 キャスター:
人手不足に悩む企業が増えている今、働きに見合った賃金で、かつ、仕事も一定のクオリティを保てれば、とても素敵な取り組みですよね。

時間を有効活用しながら、多様な働き方ができるようになっていくといいなと思います。

(「Live News α」6月23日放送分より)

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