欧米ではよく見る「ラウンドアバウト」…2023年6月に福島県いわき市にも開通した。信号もなければ道路が交差することもない、ドーナツ型をした交差点。いったいどう走行するのか?
必ず時計回りで
ラウンドアバウトとは、円形の交差点のこと。進入場所の地面を見ると「ゆずれ」の文字。ラウンドアバウト内を走る車が優先となり、必ず「時計回り」で走行する。進入する前には徐行し、進入後は左折して出る。信号機がないため、Uターンも容易に行うことができる。

県内2例目 中心市街地に開通
2019年に福島県内では初めて新地町に導入され、いわき市のラウンドアバウトは県内2例目となる。場所は、JRいわき駅から線路に沿って500mほど離れたところ。県内の中心市街地としては初めて、6月17日に開通した。

2024年に商業施設ができるのに伴い、安全で利用しやすい道路を整備する目的で作られた。
交通量が少ない道路に適しているとも言われ「商業施設ができたら交通量増えると思う。事故が起きなければいい」と不安の声も聞かれた。

走行ルールを整理
走行は必ず時計回り。進入する時には、なるべく道路の左に寄って徐行しながら入る。中を走っている車が優先なので、強引に進入してはいけない。
進入時はウインカーを出す必要はないが、出る時にはウインカーを出さなければいけない。このウインカーのタイミングが重要で、早すぎると進入しようとしている車が勘違いしてしまうので注意が必要。

事故や二酸化炭素排出の抑制も
信号で停まらないので、二酸化炭素排出も抑制される。信号交差点より25%減少というデータもある。また、信号がなく停電の影響を受けないので、災害時の対応力向上も期待されている。
さらに自ずと低速度になるので、重大事故の発生が抑制される。福島県警本部によると、右折と直進の事故は非常に多いそうだが、ラウンドアバウトでは右折待ち車両の抑制や右折レーンも不要になるので、右折時の事故が発生することがなくなる。

普及すればなくなる?
右折を巡る「サンキュー事故」「かぶせ右折」「早回り」「茨城ダッシュ」といわれるものも、ラウンドアバウトが普及すればなくなるかもしれない。
サンキュー事故・・・対向車が途切れなくなかなか右折できない時、対向車が譲ってくれた。ここに危険が潜んでいる。右折車は、感謝と焦りから確認不足になってしまいがち。譲ってくれた車の脇から急に現れたバイクなどと接触し事故になることも。

かぶせ右折・・・対向車が左折するタイミングで右折をすることをいう。これは道路交通法違反の場合がある。福島県警察本部は「左折の完了を見越して右折するのは問題ない。右折車も対向車も互いに軌道を見ながら注意してほしい」としている。

早まわり・・・右折時に、ショートカットして曲がること。これも道交法違反の場合があり、福島県警本部によると「交差点の中心の直近の内側を進行する必要がある」という。

茨城ダッシュ・・・信号が青になった瞬間、対向直進車よりも先に右折してしまうこと。ちなみに、地域によって様々な言い方があり「名古屋走り」「松本走り」「山梨ルール」「伊予の早曲がり」など。また徳島県では、信号が黄色に変わるとスピードを上げる「阿波の黄走り」というものもあるそうだ。いずれにしても、茨城ダッシュは交通違反だ。

ラウンドアバウトにせよ、それ以外の道路にせよ、互いが互いを見合って思いやりのある運転をすることが重要。

(福島テレビ)