日本各地で自生している多年草の植物「ウツボグサ」。この植物のおかげで、ぼうこう炎が改善したという女性が高知新聞にその効果を投稿したところ、同じ悩みを抱えていた多くの人の共感を呼び話題となっている。女性が伝えたかった思いを取材した。

生薬としても使用されるウツボグサ

国広須美さん:
おはようございます

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少しはにかんだ表情を浮かべ現れた、高知市大津に住む国広須美さん(82)。国広さんが育てているのが、紫やピンクに色づいた多年草の植物「ウツボグサ」だ。

国広須美さん:
話しかけながら水をやってます。「きょうは元気やった?」とか

ウツボグサは別名「夏枯草(かごそう)」といわれ、漢方薬に用いられる生薬としても知られている。

国広さんは自宅の近くで弁当店を営んでいるが、3年前にぼうこう炎による頻尿を患った。

幼いころ、母や祖母が育てていたウツボグサが女性の病気に効く薬草だと教わったのを思い出した国広さんは、ぼうこう炎が治るかもしれないと思い、故郷の佐川町を訪ねたが、見つからず…。

悩んでいたところ、大豊町にある友人宅のアジサイを見に訪れた際、偶然、ウツボグサと再会した。

国広須美さん:
目の前に大きな広い田んぼが広がりまして。車から降りようと思って足元を見たら、このウツボグサが咲いていたんです

ウツボグサを友人から譲り受け、自分で煎じて飲んでみると、その日の晩から劇的な変化があったという。

国広須美さん:
疲れを知りません。疲れがないです。夜もぐっすり寝られることもあるかもしれない。「あら、朝になってるわ」というような状態でした

薬用植物の専門家は、生薬でもあるウツボグサの効能について次のように話す。

高知県立牧野植物園・松野倫代研究員:
生薬として使われるときには「夏枯草」と言うんですけど、全体的に泌尿器科、ぼうこうだったり、いろんなところに作用するので、もしかして、ぼうこうの腫れとかが抑えられて正常になるのをサポートしたことが考えられる

どんな味なのか試飲した。

記者:
特に香りはないですね。昔飲んだドクダミのお茶を思い出すようなほのかな香り。香ばしさもあって飲みやすいと思います

効能を新聞に投稿すると大反響が

国広さんは、ぼうこう炎が改善した喜びを多くの人に知ってもらおうと、2022年3月にウツボグサの効能を高知新聞に投稿した。

国広さんの新聞への投稿
煎じ汁を飲むと、特効薬というだけあってすぐに効いた。あまりの効き目に、薬局の薬剤師さんに「今病院から出ている心臓のお薬と一緒に飲んでも大丈夫でしょうか」と聞いたほどだった

この投稿に、多くの読者から反響があったという。

国広須美さん:
新聞社に電話してまで私にたどり着いた人たちを、何とかお助けというおこがましいことではないけど、ちょっとでも楽になってほしいと思いまして

同じ悩みを抱える人へ、苗を無償で提供
同じ悩みを抱える人へ、苗を無償で提供

これまでに相談を寄せてきた300人を超える人へ、計2,000株ほどのウツボグサの苗を無償で提供してきた。国広さんのもとには、多くの相談者から感謝の手紙が寄せられている。

寄せられた手紙:
本当にお優しく、ずっと前からのお友達のようにお教えいただきまして、本当にありがたくて、うれしゅうございます

「ウツボグサをつないで元気な高知県に」

自宅の前を通り過ぎる特急列車を見送ることが日課という国広さん。これからも多くの人の笑顔を育んでいきたいと話す。

国広須美さん:
人生の最終盤にかかってから人のためになれるなんて、本当にうれしくって。何よりもそれが今の活力です。(苗を)持って帰られた方も、これから持って帰る方も、大事にウツボグサをつないでいって、みんな元気な高知県になってもらいたい

ウツボグサは国広さんの心も元気にしているようだ。

(高知さんさんテレビ)

高知さんさんテレビ
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