高知市の中心市街地にある店舗をミニチュアに仕立てている男性がいます。溜息がでるほどの細かすぎる再現をたっぷりとご覧ください。

ドアも開く…実店舗の精巧なミニチュア

門田鰹節本店の12分の1の手作りのミニチュア
門田鰹節本店の12分の1の手作りのミニチュア
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重厚な木の看板に白いのれん、そして数々の商品が並んでいるのは、高知市の大橋通り商店街に実際にある店舗・門田鰹節本店の12分の1の手作りのミニチュア。

本物そっくりの再現度
本物そっくりの再現度

ふわっふわの削り節も、明治20年に創業した初代店主が残した勝男武士(かつおぶし)の文字も大橋通り商店街にある老舗・門田鰹節本店を細かく細かく再現している。

1920年創業の老舗高知市帯屋町の「メガネのクスノセ」に、この精工なミニチュアの作者がいるという。

入り口入ってすぐにもミニチュアが
入り口入ってすぐにもミニチュアが

野村舞記者:
眼鏡屋さんなのにミニチュアがありますよ。ショーケースの奥にも飾られています

この店で45年間認定眼鏡士として働く茨木典幸さん、愛称のりさん65歳。10年前、ドールハウスを見たことをきっかけに趣味でミニチュア作りを始めた。

これまでに50以上のミニチュア作品を制作。すべて架空の店舗でいたるところに「のり」の文字が描かれている。

図書館にものりさんの作品が置かれている
図書館にものりさんの作品が置かれている

のりさんがよく利用する江ノ口市民図書館にも作品がずらりと展示されている。ドアは開くし、「パチッ」っと照明もつく本格派。

そうめんの箱の中にガーデニング屋を作っている
そうめんの箱の中にガーデニング屋を作っている

こだわりは「廃材で作る」こと。実はこの見事なガーデニングの店の素材は、そうめんの箱だ。

ミニチュアを作る・茨木典幸さん:
植木鉢の鉢は喫茶店のミルク入れるやつで作っています。小さいやつ(ポット)はストローとか、何かのフタなどを利用して作っています

いすの背もたれはつまようじで再現されている
いすの背もたれはつまようじで再現されている

ほかにもジョウロの筒と口の部分はくぎ。上品なイスの背もたれはつまようじなど、身近にあるもののほか石粉粘土という比較的安価な粘土で食器などのフィギュアを作り、アクリル絵の具で色付けしている。なので、材料費は1つの作品あたりたった500円ほど。

2カ月から3カ月に1作品のペースで思い思いの“のりさんワールド”を作り続けてきた。そんなのりさん1年前から中心商店街に実在する店舗のミニチュアづくりを始めた。

ミニチュアを作る・茨木典幸さん:
新しいのを作る上で、いろんなお店を見て回るがその時に大橋通りさんへ行ったときに、なかなか老舗のいいお店がたくさんあるので、こんなものも作ってみたら面白いかなと思って

その1作目が冒頭で紹介した門田鰹節本店だ。
削り節は、木を薄く削っている。そして、鰹節(かつおぶし)のパックは、梱包(こんぽう)にも使う透明のテープでかつお節のフィギュアをはさんで作っているそう。

店主に出来栄えを聞いてみると…。

門田鰹節本店・門田往子さん:
花がつおの削りの感じ木彫りの江戸看板まで(再現されていて)うれしい!長年やってきたから、わたし神様のプレゼントと思っているずーっとやってきたから

このほか大橋通り商店街の角地にある松田果実も忠実に再現されている。

本池澤のうなぎのかば焼きも再現
本池澤のうなぎのかば焼きも再現

松田果実の向かいにある本池澤は、うなぎのかば焼きの香りが漂ってきそう。のりさんが「作りたい」と思った店と交渉し取材を重ねて再現している。

ミニチュアを作る・茨木典幸さん:
僕が勝手に作るのは「ここがやりにくいからやめようか」とできるが、実際のお店はそういうわけにはいかないから、忠実に作るようにしています

あっという間におしゃれなミニチュアが

のりさんにお願いして1つ、ミニチュアを作ってもらった。何ができるのか?
まずは、透明のストローをはさみでカット。

野村舞記者:
のりさん今ザクッとストロー切ってますけど寸法とかは?

ミニチュアを作る・茨木典幸さん:
これは僕は測らない。だいたいの目安でやっています。そろえる時もこの辺だなというところで

野村舞記者:
目分量ですか?

ミニチュアを作る・茨木典幸さん:
目分量。設計図とかも使わないんでね

目分量で切ったストローに粘土をつめる。粘土が乾いたら黄色と茶色のアクリル絵の具で色付け。そして、ほっそーい筆で文字を書き、接着剤で貼り付ける。

最後に登場する材料は、絵の具が入っていたパッケージ。温めて柔らかくしたら、絵筆の持ち手の先を利用してドーム型にする。

変形させたドーム型のものをかぶせると、おしゃれなドリンクの出来上がりだ。

5月に完成した最新作・帯屋町にあるとろり天使のわらびもち高知店のパーツの1つだ。2022年9月にオープンした新しい店で、とろとろのわらび餅が入ったドリンク「飲むわらびもち」などが人気のテイクアウト専門店だ。

シンプルなつくりの店舗ですが奥の大きなのれんや商品のサンプルなど細かく再現されている。

芸が細かい!棚の中も再現

のりさんが作ったミニチュアの店舗に入ってみたい!ということで、ミニチュアのとろり天使のわらびもち高知店をスマホで撮影。小人になった気分に。

レジの中にはお札、横にはカードリーダーも
レジの中にはお札、横にはカードリーダーも

カウンターも細かくできており、レジの中にはお札も入っている。レジの隣にはカードリーダーも作られている。

棚の中のトイレットペーパーも再現
棚の中のトイレットペーパーも再現

店内ぐるりと見渡してみると、スタッフオンリーと書かれた扉が。入口ディスプレイの裏側を見てみると、下の棚の中にもトイレットペーパーや物が入っている。

実際の店舗と比べてもそっくり。気になる棚の中も一緒!オーナーの感想は。

とろり天使のわらびもち高知店・河原隆治さん:
非常によく精密に作られていると思います

ミニチュアを作る・茨木典幸さん:
中も全部きれいに扉も開くようにしてます

とろり天使のわらびもち高知店・河原隆治さん:
のれんもすごいですね

ミニチュアを作る・茨木典幸さん:
のれんを作りたかった、もともと

とろり天使のわらびもち高知店・河原隆治さん:
けっこう何回も来られました。何回も来られて確認して。非常にうれしいことですね

おまちの店に形は小さくても大きな喜びを与え続けているのりさん。現在、おまちの店舗シリーズ5作目を制作中。

ミニチュアを作る・茨木典幸さん:
僕は自分の楽しみですから趣味で自分が面白ければいいという感じで作っているので、お店の方が喜んでくれたり、ちょっとでもお客さんに見ていただけたらそれはうれしいことです

ミニチュアはそれぞれの店舗で展示されていて、買い物客の注目の的となっているそう。

(高知さんさんテレビ)

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高知さんさんテレビ
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