フードテックの魅力を発信する新拠点が東京都心にオープンする。

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炊きたてご飯で握ったおむすび。このおむすびの具材に使用されているのは、“食”の未来を担う最先端技術だ。

UR都市機構などが、12日に東京・虎ノ門エリアに「フードテックミュージアム」をオープンした。

「フードテックミュージアム」では、スタートアップ企業などのフードテック商品の約20点を展示している。

上中勇樹キャスター:
そもそも、フードテックとは。

Sustainable Food Asia・佐藤智介さん:
食の「フード」と「テクノロジー」を掛け合わせた造語。食の領域で、技術を使い、地球・体・環境に優しい、そういった商品を作る会社や領域をフードテックと呼んでいる。

例えば、グリーンエースの「Vegemin Stick」(5本1000円・送料別)は、廃棄野菜を粉末化し、スティック状にしたビスケット。特殊技術によって、野菜の栄養素をそのまま凝縮させたという、“日の丸技術”のフードテック商品だ。

特殊技術で栄養素が凝縮されたビスケット
特殊技術で栄養素が凝縮されたビスケット

上中勇樹キャスター:
砂糖を使用していないということだが、野菜の臭み・苦み・青臭さは一切なく、抹茶に近い味がする。

さらに、テイクアウトやイートインスペースでは、フードテックをテーマにした「サステなおむすび」も6月中に発売予定だ。

ジャックフルーツという果実から作られた代替肉「フルーツミート」を、“しぐれ煮”風にアレンジし、具材として使用している。

代替肉「フルーツミート」のしぐれ煮風

上中勇樹キャスター:
とても美味しい。見た目・味・食感も、普通の牛肉を使ったしぐれ煮とほとんど変わらない。

農水省によると、2020年には24兆円だったフードテックの世界市場が、2050年には279兆円にのぼると試算されている。

その発信場所として、虎ノ門エリアを選んだのにも理由がある。

 

Sustainable Food Asia・佐藤智介さん:
この虎ノ門エリア、飲食業界の大きな会社もあれば、ベンチャーやスタートアップが、虎ノ門ヒルズに入っているとか、ここを一つの拠点として、つながりをつくったり、道の駅ではないが、地域だったらそこで出店するみたいに、「フードテックだったら、この場所に一度並べてみたい」と思ってもらえるように認知を拡大したい。

日の目を見ない基礎研究が日本に多数ある

「Live News α」では、マーケティングアナリストの渡辺広明さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
フードテックの魅力を発信する取り組み、渡辺さんはどうご覧になりますか。

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
農林水産省によると、フードテックの世界市場は2020年は24兆円、それが2050年には279兆円に急拡大するという。

いま注目のビジネスカテゴリーで、評価額が1300億円を超えるユニコーン企業が60社も生まれている。

今回の、虎ノ門エリアをフードテック企業の集積地とする試みによって、ここからユニコーン企業が生まれることを期待したい。

堤 礼実 キャスター:
世界的な競争が行われているフードテックで、日本企業が強い分野などはあるのでしょうか。

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
アジアで最も大きい果実の“ジャックフルーツ”を、代替肉である“フルーツミート”にする取り組みが先程のVTRで紹介されていたが、こうした基礎研究が生きる分野は、実は日本は意外と強い。

社会に実装する力、ビジネスに結びつける構想力が弱いため、日の目を見ないで眠っている基礎研究が日本には数多くある。

高度な基礎研究と、スタートアップならではの斬新なビジネスアイデアが交わることで、世界を変える日本発のフードテックが生まれる可能性はあるのではないか。

例えば、代替肉のフルーツミートも、糖質や脂質がほぼゼロで低カロリー、さらには食物繊維も多く、極めてヘルシーでありながら、豚肉は禁忌とされているイスラム圏でも販売が見込めるなど、将来が期待できる。

高級からB級まで食文化を楽しめるエリア

堤 礼実 キャスター:
シリコンバレーのように、虎ノ門エリアがフードテックの街として発展していくといいですよね。

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
虎ノ門エリアに隣接する銀座から新橋にかけての地域は、大きな飲食街でもあり、高級からB級まで多様化する日本の食文化を、楽しめる街になっている。

フードテックによる課題の解決も大事だが、食の楽しさ、美味しさも忘れてはならない。「食べて美味しく」、「カラダも喜び」、「地球にも優しい」、新しい日本の食文化の誕生を待ちたい。

堤 礼実 キャスター:
私たちの生活に欠かせない“食”ですが、その生産や加工について、詳しく知る機会は中々なかなか無いですよね。

私たちの食卓が豊かになることを願いながら、食品に関心をもつきっかけが、この街から生まれるといいなと思います。

(「Live News α」6月20日放送分より)