政府は、キャリア相談から学び直し、転職までを一体的に支援する、新たな制度を2023年度中に開始する。

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新制度の対象となるのは、転職を希望する正社員、契約社員、派遣社員、パート、アルバイトとして勤務する人たち。

政府は、学び直しから転職までを切れ目なく支援するために、転職希望者が必要なスキルなどについて、キャリアコンサルタントに相談する費用や、スキルを身につけるための転職関連の講座の受講費用を一部負担する。

令和4年度第2次補正予算で確保している753億円の一部を財源に当て、1人あたり平均24万円を助成する。

今後3年間で約33万人の転職を後押しすることを目指す。

最大の課題は企業側に

「Live News α」では、キャスター取締役CROの石倉秀明さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
学び直しを促す新たな取り組み、どうご覧になりますか。

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
学び直す、つまり新しいスキルを手に入れることで、別の業界に転職しようという人を応援する制度自体はいいこと。

今回、民間の講座が対象となっているが、海外留学やアカデミアの世界に行く、それ以外にも国家資格を取るなど、あらゆる分野での支援は必要かもしれない。

ただ、このように学び直しによってキャリアアップをしていくための最大の課題は企業側にある。

堤 礼実 キャスター:
具体的には、どういうことでしょうか。

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
欧米だと、リスキリングしたり大学院に通うと、それをキャリアとみなして、次の転職ではキャリアアップしたりする。

一方、日本の転職市場では、いくらスキルがあっても実務経験がないと、それは未経験とみなされる。

例えば経理をやってた人がプログラミングを学んだとしても、転職の際に、プログラミングがわかる経理の人と判断されるだけ。

実務がないとキャリアとして認められないため、学び直したり、新しいスキルを手に入れるインセンティブが非常に少ない。

課題は“実務経験偏重” 価値観

堤 礼実 キャスター:
今回の新制度は、派遣社員やパート・アルバイトの方も対象になるとのことですが、これについてはいかがですか。

キャスター取締役CRO・石倉秀明さん:
こうしたいわゆる非正規労働の方たちが、学び直しで新しいスキルを身につけて別の業界に転職しようとしても、未経験と判断される。

さらに、年齢が若ければ、それでもポテンシャルで採用されることもあるが、年齢を重ねると、それすら認められない傾向が強い。

本来、年齢を重ねたり経験を重ねた人こそ、新たなスキルを身につけて、新しいキャリアを重ねてほしいはずの政策なのに、この現状がある限りなかなかうまくいかない、と思っている人も多いはず。

政府はもちろん、我々民間の会社も含めて、”実務経験偏重”ともいえる日本企業の考え方や、会社での経験だけをキャリアと捉える狭い価値観をどう変えるか、という本質的な問題に取り組まないといけない。

堤 礼実 キャスター:
新しいスキルを身に着けることで人生の選択肢が広がるのは、素敵なことですよね。

ただ、企業にとっては人材の獲得とともに、流出の懸念もあるように思います。そのバランスをとりながら、人と企業がともに成長できるといいなと思います。

(「Live News α」6月19日放送分より)

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