G7(主要7カ国)都市相会合まで1カ月となり、受け入れの準備が本格化している。持続可能な都市のあり方が議論されるこの会合。高松市で開催する意味について、前川裕喜記者がお伝えする。

開催まで1カ月 キーワードは「脱炭素」

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香川大学の学生:
(フランスの)リール市は中心部で車を規制。歩行者優先のまちづくりをしている

6月3日、香川大学の学生が、会合のテーマを先取りしてG7各国の先進的な都市政策を発表した。そして、メイン会場のかがわ国際会議場がある高松港周辺では、警備体制の確認が行われている。
7月7日から始まる会合に向けて、開催ムードが高まりつつある。

平和のメッセージを世界に発信した5月のG7広島サミット。その関連である都市相会合では、気候変動や災害など地球規模の課題を受け、持続可能な都市のあり方を議論する。
やはり、キーワードは「脱炭素」だ。ただ、車社会の香川からこうしたメッセージを発信して説得力があるのだろうか。

例えば、人口1,000人あたりの自動車保有台数は842.5台と、全国平均654.8台を大きく上回っている。こうした中、まちづくりなどが専門の香川大学経済学部の西成典久教授は、香川で開催する意味を次のように話す。

香川大学経済学部・西成典久教授:
日本の東京・大阪以外のまちが、高松に代表される自動車依存社会に傾きすぎている。持続可能な都市、コンパクトシティが進めば地方都市の模範になれる

高松市の潜在的な可能性に注目

模範となるためには、香川でも車に依存せず、歩いて生活できるまちづくりが求められる。
実は高松市は、潜在的な可能性を持っているという。

中心部一帯に県立アリーナなどの開発が進むサンポート高松、歴史や景観に優れる高松城跡の玉藻公園、商店街がコンパクトにまとまっているのだ。西成教授はここに注目している。

香川大学経済学部・西成典久教授:
ウォーカブル(歩きやすい)な視点でつないで、循環してぐるぐる巡れるような魅力的な場所にしていく。そうすると高松でしか経験できない環境ができる。海城(玉藻公園)、港すべてが相乗効果で魅力的なまちをつくれる可能性がある

「県民の理解」「大胆で継続性あるリーダーシップ」が鍵に

この一帯を歩いて生活できるモデルケースにするため、香川県は5月21日、歩行者天国の社会実験も行った。訪れた人からは、「開放的でいい」「今までこういう場所がなかったのでいい」などの声が聞かれた。

一方、車社会の香川で車に依存しない政策を進めるには、県民の理解が欠かせない。西成教授は反発を恐れず、少しずつやり続けることが重要だと指摘する。

香川大学経済学部・西成典久教授:
始めは政治決断が必要でハレーションも起こるが、その後、いいものだったら市民が応援してくれる。そういう環境にしていくように、まちづくりを進める人は協力する必要がある

会合をきっかけに香川・高松から持続可能なまちづくりを発信できるのか。カギは「県民の理解」と「大胆で継続性あるリーダーシップ」と言えそうだ。

(岡山放送)

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