5月30日、アメリカの半導体大手・エヌビディアの時価総額が、一時大台となる1兆ドルを超えた。

この記事の画像(11枚)

30日の米株式市場で、エヌビディアの株価が一時過去最高値の419ドルを付け、時価総額が一兆ドル=日本円で約140兆円に達した。

アメリカメディアによると、エヌビディアは人工知能向けの半導体で8割のシェアを占めている。

チャットGPTなど生成AIのブームから、2023年に入り、エヌビディアの株価は3倍近くに上昇している。

時価総額が1兆ドルを超えたのは、IT大手のアップルやマイクロソフトなどに次ぎ、世界で8社目。半導体メーカーとしては初めてだ。

エヌビディアの株価は年初から約3倍に

「Live News α」では、市場の分析や企業経営に詳しい経済アナリストの馬渕磨理子さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
時価総額1兆ドル突破、驚きましたね。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
これはトヨタ、ソニー、NTTなど、日本の大企業の上位10社を合わせた企業価値よりも大きいということです。

アメリカでは金利の上昇に対して、株価が軟調な企業が多いですが、エヌビディアの株価は年初から約3倍。もはや、独自の強さを完全に発揮している印象です。

では、エヌビディアの何がすごいのか。まず、AI(人工知能)に強い、半導体を作れること。生成AIには1万個の半導体が必要だと言われており、そのシェアは8割を握るまでになっています。

さらに、もう一つは、AIが活躍する機会が飛躍的に広がることです。従来のAIはオフィスや工場など限られた人が、特定の場所で使うものでした。

生成AIのチャットGPTの登場によって、「誰でも無料で使える」AI革命が起きました。このフェーズのチェンジにより、業界ではiPhoneが誕生した時と同じようなインパクトだとも言われています。

AI分野で稼げるビジネスモデル確立

堤 礼実 キャスター:
確かに、誰でも手軽にAIの力を借りられるようになったという、このインパクトは大きいですよね。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
マイクロソフトやGoogleといった企業が相次いで、生成AIのサービスを展開していますが、この分野で「稼げるビジネスモデル」を確立しているのは今のところエヌビディアぐらいなんです。

今回の生成AIの盛り上がりは「ゴールドラッシュ」のようなもので、エヌビディアは金の採掘に必要なスコップをほぼ独占状態で売っている企業なんです。

堤 礼実 キャスター:
それだけ私たちユーザーが、AIと向き合う機会が増えるということでもありますよね。

経済アナリスト・馬渕磨理子さん:
かつてアメリカ西部で起きたゴールドラッシュで幸運にも金を掘り当てた方は、ごくわずかでした。

しかし、生成AIというゴールドラッシュでは、新しいツールと向き合う姿勢や、周囲の協力があれば、多くの場合、人手不足の解消や、業務の効率化というゴールドを掘り当てることができるのではないでしょうか。

私自身は、人間が人間らしく生きられたり、人にしかできない活動に専念するために、AIの存在はあるのだと信じたいです。

堤 礼実 キャスター:
AIの需要が高まるということは、必要となる半導体も増えるということです。関連する様々なテクノロジーが日本でも発展していくといいなと思います。

(「Live News α」5月31日放送分より)

この記事に載せきれなかった画像を一覧でご覧いただけます。 ギャラリーページはこちら(11枚)