小池・小野・立花VS宇都宮・山本  

日本記者クラブが行った東京都知事選の候補者オンライン討論会を見て驚いたのは、小池知事に対して他の4人の候補者たちがずいぶん優しかった事だ。

他の4人をザックリ説明すると、立憲、共産、社民が支援する宇都宮氏と、れいわ代表の山本氏が、予算の組み換えや債券の発行で弱者への再配分を訴え、五輪開催やIR誘致には否定的。

維新が支援する小野さんは経済重視と行政での実績を訴えて、五輪とIRには肯定的。

N国党首の立花さんは、NHK批判以外では過剰な自粛に反対、五輪とIRには肯定的。

こうして見ると、宇都宮、山本両氏に共通点が多く、小野、立花、そして小池の3氏に共通点が多い事がわかる。これが確認できたのは今日の収穫だった。

宇都宮氏(上左)山本氏(上右) 小野氏(下左)小池氏(下中)立花氏(下右)

ただ今回の戦いの構図は、強いとみられる小池氏に対し、4人はこれまでの個人や政党の実績を考えると、それぞれが数十万票、人によっては100万票取れる潜在的な力は十分にある。つまり4人が小池批判票をどれだけ取るかによって、小池さんはたとえ再選されても、本当に信任されたのかどうかを計ることができると思うのだ。

あらん限りの罵声が小池さんに?

だからこそ討論会では、「豊洲移転に関して小池氏の言うことがコロコロ変わったのは無責任」とか「公約の7つのゼロはほとんど達成されてない」など、あらん限りの罵声が小池氏に浴びせられるのではないかと期待していたのだ。

しかし皆さんの小池氏への批判は極めて紳士的で、唯一山本氏の「つける薬はない、という話だ」という発言だけ。

この程度だと小池氏の反論も当然おとなしく、せいぜい山本氏の「再配分のための債券発行」という公約に対し「私はリアルに責任をもって進めていく」すなわち「あなたは非現実的で無責任」と決めつけたくらいだ。

小池都政の総括が先だ

なぜ小池さんに優しいのか。コロナ対策が評価され、人気が高いのであまり批判するのは有権者の反感を買うと思っているのか。でもそもそも小池氏のコロナ対策は評価されるべきものなのか。

たとえば「ロックダウン発言」については危機感の低い国民を脅かす効果はあったが、混乱の方が大きかったのではないか。また国よりも強い自粛要請を打ち出したことも、今になって見れば、クラスターは病院、高齢者施設、夜の街など特定の場所で多く発生しており、そうでない普通のお店まで自粛要請する必要があったのか、とも思う。

コロナ対策も含めて「小池都政」そのものを総括する前に「私が知事になったらこんなことします」と言われても有権者の心には響かないと思う。

投票日までの間、もし再び候補者討論が行われるなら、ぜひ皆で小池氏をもう少し攻めてほしい。そして小池氏の反撃も見たいのだ。

【執筆:フジテレビ 解説委員 平井文夫】