5月11日、東京・港区の赤坂御苑で天皇皇后両陛下主催の「春の園遊会」が開催されました。皇后さまをはじめ、女性皇族方はあでやかな和服姿でのお出ましとなりました。

秋篠宮家の次女・佳子さまが園遊会に出られるのは初めてで、常陸宮妃華子さまは、杖を手に11年ぶりに苑内を回られました。

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4年半ぶりの開催 陛下が即位されて初

コロナ禍の影響で、園遊会が行われるのは4年半ぶり。天皇陛下が即位されてからは、初めてとなります。感染対策のため出席者を例年の半分の約1000人に絞り、お酒や食事の提供も控えられました。

両陛下は、各界の功労者やオリンピック・パラリンピックのメダリストなどの招待客と和やかに言葉を交わされました。

歌舞伎の片岡仁左衛門さんやノーベル賞の吉野さんとご歓談

歌舞伎俳優で人間国宝の片岡仁左衛門さんと歓談された両陛下。
陛下は、雨が降り出すと「傘をよろしかったら、お差しになってください」と気遣い、「歌舞伎界の発展のために大変ご尽力されて」と称えられました。

また、皇后さまは「昔、片岡さんの舞台を拝見したことがございました」「素晴らしかったです」と明かされました。

歌舞伎俳優・片岡仁左衛門さんと話される両陛下
歌舞伎俳優・片岡仁左衛門さんと話される両陛下

続いて、リチウムイオン電池を開発し、ノーベル化学賞を受賞した吉野彰さんと話されました。

ノーベル化学賞を受賞した吉野彰さんと話される両陛下
ノーベル化学賞を受賞した吉野彰さんと話される両陛下

陛下:
本当、素晴らしいものですね、あのリチウムイオン電池。

吉野彰さん:
おかげさまでありがとうございます。スマートフォンとかこういった電源と、今、電気自動車への応用ということで、特に地球環境問題に対してこれからね、もう一度、大きな貢献をせんといかんのかなと思っております。

陛下:
温暖化の問題も深刻ですからね。そういう意味でも大変素晴らしいです。

スピードスケート・髙木美帆選手 卓球・伊藤美誠選手と

スポーツ界からは、オリンピックで日本女子選手最多の7つのメダルを獲得したスピードスケートの髙木美帆選手や、東京オリンピックの卓球混合ダブルスで日本初の金メダルを獲得した伊藤美誠選手らが招待されました。

スピードスケート 髙木美帆選手
スピードスケート 髙木美帆選手

陛下から「素晴らしい成績を得られて」「テレビで見ていました」と声をかけられた髙木選手は「テレビを通じて見てくださったという方が多くて、とてもうれしく思っています」と答えていました。

伊藤選手には、皇后さまが「ずいぶん小さいときから?」とご質問。
「2歳ぐらいから、お母さんと一緒に練習をして」という話に、陛下は「厳しかったんですか」と尋ねられ、伊藤選手は「とても言えないような内容なんですけど」とユーモアを交えて答えました。

髙木美帆選手と伊藤美誠選手と話される両陛下
髙木美帆選手と伊藤美誠選手と話される両陛下

また、皇后さまは隣同士で並んでいた髙木選手と伊藤選手に…。

皇后さま:
一緒に何かされることはあったのですか?

髙木選手:
夏と冬で大会も会場も(違うので)本日初めてお会いしました。

伊藤選手:
夏と冬の競技がこうやって会うこともないので、(園遊会で会えて)ありがたいです。ありがとうございます。
 

陛下は「よかったですね」と、2人のやりとりを見守っていらっしゃいました。

「車いすテニス」のレジェンド国枝慎吾さんとも

「車いすテニス」の第一人者で今年、国民栄誉賞を受賞した国枝慎吾さんと懇談された両陛下。

国枝慎吾さんと話される両陛下
国枝慎吾さんと話される両陛下

陛下:
本当に車いすテニスの、それからパラスポーツの発展に大変なご尽力なさって。

国枝慎吾さん:
ありがとうございます。1月に引退しまして僕自身も、もう東京のパラリンピックが集大成であるというふうに思って臨んで…。

陛下:
多くの人に車いすテニスの素晴らしさっていうのをお伝えになったと思います。

国枝慎吾さん:
長らく応援していただきありがとうございました。

皇后さま:
本当に素晴らしいご活躍で。

国枝慎吾さん:
ありがとうございます。

時折、強い雨が降る中、陛下は予定時間を大幅に超え、招待された人たちと親しく懇談されました。

森光子さんが歌を披露したことも

昭和28(1953)年の秋に始まった園遊会。昭和40(1965)年からは春と秋、年2回の開催になりました。
その後、天皇陛下と招待客の会話が公開されるようになり、「時の人」とのやりとりに注目が集まるようになりました。

昭和天皇と招待客との会話が公開され注目されるように
昭和天皇と招待客との会話が公開され注目されるように

昭和57(1982)年春、昭和天皇と柔道の山下康裕選手とのやりとりでは…。

1982年5月 山下康裕選手と話す昭和天皇
1982年5月 山下康裕選手と話す昭和天皇

昭和天皇:
ずいぶん柔道で一生懸命やっているようだがね。ずいぶん骨が折れますか?

山下康裕選手:
2年前に骨折したんですけども、今は体調も完全に良く、一生懸命頑張っております。
 

「苦労する」と言う意味の慣用句として「骨が折れる」と言った昭和天皇に対し、実際の骨折の話で返した山下選手。周囲は笑いに包まれました。

平成21(2009)年には、89歳だった女優の森光子さんが、上皇さまの誕生を祝う当時の歌を披露したこともありました。

2009年10月 森光子さんと話される上皇さま
2009年10月 森光子さんと話される上皇さま

森光子さん:
「(歌いながら)鳴った鳴ったサイレン 皇太子さま お生まれなった」という歌詞も、ちゃんと覚えております。
 

そして平成24(2012)年、アニメ「サザエさん」の声優を務める加藤みどりさんは…。

2012年10月 加藤みどりさんと話される上皇ご夫妻
2012年10月 加藤みどりさんと話される上皇ご夫妻

加藤さん:
サザエでございます。

上皇さま:
ずいぶん長い間声優を。

加藤さん:
44年目に入りました。

上皇さま:
そうですか。

加藤さん:
あの、両陛下はアニメなどご覧になりますか?

上皇ご夫妻:
少し…。

こうした歴代の天皇と招待客との数々の印象的なやりとりが行われてきた園遊会。
これからも、令和の時代を象徴する人々との交流を続けられる天皇皇后両陛下です。

(「皇室ご一家」5月21日放送)

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