6月12日、タイのアユタヤ県の焼却施設で、押収された乾燥大麻およそ12.5トンを焼却するイベントが開かれた。このイベントは2019年から始まり、今回で2回目。関係者によると、イベント開催の目的は、押収された大麻が警察などによって横流しされているという疑惑を払しょくするためだという。

焼却された12.5トンの大麻

焼却される乾燥大麻

イベントのために用意されたのは、2019年から20年にかけてタイ東北部などで押収された乾燥大麻およそ12.5トン。主にラオスから密輸された大麻が多く、バンコクでの末端価格は1㎏=3万5000円だが、クラビなど外国人観光客が集まる人気の観光地では、バンコクの10倍で末端価格1kg=35万円に跳ね上がる。今回、焼却された大麻12.5トンの場合、観光地での末端価格は総額43億7500万円相当となる。焼却されたのは、カビの発生などで医療用や研究用として使うことができない大麻だという。

増えるタイの大麻押収量

山積みとなった焼却前の乾燥大麻

タイ法務省の麻薬取締委員会によると、タイの大麻の押収量は2009年、約18トンだったが、10年後の2018年には2倍以上の約44トンに増えた。今年に入っても押収量は増加傾向にあるという。増加の背景の1つには、医療用大麻が解禁されたことが挙げられる。

もともとタイでは、伝統医療として大麻を使用してきた歴史があり、国民の大麻への抵抗感が少ない。このため嗜好用大麻が解禁されたと誤解して大麻を使用したり、栽培したりして検挙されるケースが増えている。最近では、農薬を使わない有機栽培の大麻も富裕層を中心に広がりを見せているという。

焼却イベントの開催目的は“横流し疑惑”の払しょく

大麻の焼却イベント・6月12日

2回目となった大麻の焼却イベントは、大麻が適切に処分されていることをPRし、警察などによる横流し疑惑を払しょくするのが大きな目的だという。焼却イベントでは、本物の大麻であることを示すために、成分の分析もおこなわれた。

大麻が「本物」だと証明する成分分析

なぜ警察などの潔白を証明するイベントを開く必要があるのだろうか。タイ国民の間には、「警察官が押収した大麻を横流ししてもうけている」という疑念が根強く残っている。関係者によると、麻薬取締委員会には「横流し」や「偽物へのすり替え」といった情報提供が後を絶たないという。

また、タイでは、賄賂を要求したとして警察官が逮捕されるケースが相次ぎ、警察に不信感を抱く国民が多い。警察の汚職が深刻な社会問題となっているのだ。タイ政府は汚職撲滅を徹底的に進めて不信感を払しょくし、国民から信頼される警察像を築くことが求められている。

【執筆:FNNバンコク支局 武田絢哉】