H&Mが、コーヒーショップや、キッチン用品も揃え、アパレルの新たな形を目指した新店舗をオープンした。

H&R店内併設のカフェ
H&R店内併設のカフェ
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木沢基記者:
こちら銀座に新しくできたコーヒーショップですが、実はH&Mの店舗の中にあるんです。

アパレル大手のH&Mが、東京・銀座で5年ぶりに新店舗をオープンした。

洋服売り場に併設されたコーヒーショップは、国内では初めてのスタイルだ。

このカフェでは、環境や社会に配慮して国際的な認証を取得したコーヒー豆を使用している。

また、植物由来の材料だけで作ったお菓子も販売するなど、SDGsへの取り組みも見られる。

さらに、これまでオンラインでしか買うことができなかった食器やキッチン用品など、インテリアブランドのグッズも販売するという。

H&Mは今後、国内で2店舗の出店を予定している。

H&Mは店舗数の拡大を追い求めるのではなく、「ショッピングで体験できることの幅を広げていきたい」としている。

H&M PRコミュニケーション・マネージャー 室井麻希さん:
近年のお客様の購買の特徴として、ショッピングのお店に求める役割が、ただ単に購買するだけではなく、何か体験していくというふうにシフトしているというか、期待値が上がってきている。

再生可能な素材への転換を推進

「Live News α」では、一橋ビジネススクール准教授の、鈴木智子さんに話を聞いた。

堤 礼実 キャスター:
銀座にH&Mが帰ってきましたね。

一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
H&Mの洋服などが欲しければ、オンラインでいつでも、どこからでも買えます。

高いコストを払って、再び銀座に店舗を構えるのは、この街は世界に認められたトレンドの発信地であり、銀座に店があること自体が、大きなブランドコミュニケーションになるからです。

銀座に再オープンした店舗は、洋服などを売ることがゴールではありません。ブランドの世界観に触れ、「らしさ」を体感してもらう場所なのです。

ここには、ファッションとクオリティを最良の価格で、サステイナブルに提供しているH&Mとの出会いが用意されています。

堤 礼実 キャスター:
同じ銀座での出店ですが、扱う商品は、かつてのものとはかなり違うようですね。

一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
ファッション産業は、水質汚染など、環境に負荷をかけながらの大量生産・大量消費、そして大量廃棄が批判され、サステイナビリティへの大転換が行われました。

シーズンごとに新しい服を買い、季節が過ぎると処分してしまうことを「良し」としない時代になり、持続可能であり、多様性が尊重されるようになりました。

もちろんH&Mも例外ではありません。例えば、インドで生産されるH&Mの服についているポリボタンは、インド国内でゴミ拾いで暮らす方たちが集めた、再生可能な素材への切り換えを進めています。

衣食住でサステイナブルな提案

堤 礼実 キャスター:
今回の銀座の新店舗は、インテリアを扱ったり、カフェも置かれるなど、お買い物がより楽しめそうですね。

一橋ビジネススクール准教授・鈴木智子さん:
アパレルブランドにとって、他の商品カテゴリーに拡張することは、売上の維持・成長のためには欠かせません。

さらに、消費者に自分を表現する手段は、洋服だけではないことを知ってもらうことにもつながります。

ファッションとは自分を主張するものであり、衣食住のすべてにH&Mが寄り添ったサステイナブルなスタイルの提案ができます。

リアル店舗のあり方が問われる中、そのお店で何をするのか、何を伝えるのか、イノベーティブな新しい店舗の展開が求められています。

堤 礼実 キャスター:
オンラインで多くのモノが手に入るようになった今、実店舗を持つ強みは、「そこでどんな体験ができるか」だと思います。

銀座というラグジュアリーな雰囲気も楽しみながら、ショッピングを超えた、買い物体験ができるのではないでしょうか。

(「Live News α」5月11日放送分より)