東京・銀座の高級腕時計店で起きた強盗事件で、警視庁は男子高校生を含む10代の男ら4人を逮捕。

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確保の瞬間を、カメラが捕らえていました。

「お前、目の前で死ぬ」犯人確保の瞬間…警察の必死の説得も

警察「おいおい4階!」
警察「そこじゃない、もう一個下だよ、下、中入れって、危ないって!」

警察「危ない!危ない!危ない!」
警察「やめとけ、やめとけ」

強盗が起きた銀座の店から約3km離れた東京・港区の赤坂の住宅街。

マンションのベランダの縁、今にも落下してしまいそうな場所に、上下黒い服を着た男が立っています。

警察「ケガする、けがする!」
警察「ケガするからちょっと待て待て!」

警察が必死に制止しますが…。

「お前、目の前で死ぬんだから!自分のせいで、目の前で死ぬんだから!」

「死ぬ」という言葉を繰り返す男。警察官が「飛び降りることないだろ、危ないから」と両手をあげながら、なだめるように説得すると、男は逃げられないと悟ったのか、おとなしくベランダから降り、身柄を確保されました。

警察が最初に通報を受けてから、わずか20分後の確保。

この逮捕劇を目撃していた近所の住人は…。

近所の住人:
警察官が声をあげていました「危ないから飛び降りないで」とか「そっちに行くから待ってて」とかそういうことを言ってました。(男が)靴を2つ投げ捨てたような気がしたんで、飛び降りるのかなって一瞬思ったけど、飛び降りなかったし、飛び降りるそぶりはしてなかったです。
(抵抗は)してないです。なんかいっぱいいすぎて、警察の人が。絶対逃げられない感じだったので断念したんじゃないかなと思います。

黒い服の男を確保した40分後。

同じ住宅街で、壁をよじ登ろうとしていた白い服の男が警察に取り押さえられました。

白い服の男「痛いです、痛いです、やめてください」
警察「暴れるな、暴れるな」

確保の様子を撮影していた人によると、男はマンションと隣の一軒家の間に潜んでいたのだといいます。

行き止まりに乗り捨てられたワゴン…盗品の行方は?

「めざまし8」が確保された現場を取材すると、マンションの前には、犯人らが使用したとみられる白いワゴン車と多くの警察官の姿がありました。

車をよく見ると、逃走の際に何かぶつけたのか、後ろのバンパー部分が外れかかっています。

さらに、強盗に使われたとみられる白い仮面も残されていました。

この近所に事務所を構えるITジャーナリストの三上洋氏は、自身が撮影した、行き止まりの道に横付けに止められた白いワゴン車の写真とともに、こんな一文を投稿。

「逃走に使われ赤坂で乗り捨てられたワゴン車。行き止まりの道に気づいたのか横にぶつける形で止めている。バンパーがおちてる」

外の異変に気がついた三上氏が、現場に駆けつけると、警察官がマンションの壁を乗り越えて、壁の間に何かないかなど捜索していたといいます。

ITジャーナリスト 三上洋氏:
白いワゴンが乗り捨てられた場所は、実は行き止まりの路地なんです。そして、ここも行き止まりの路地…私道なんです。(このあたりは)敷地が広くて隠れるような場所がかなりあるんです。もしもこの辺に 逃げ込んでいるとしたら、この一帯、外からアクセスしにくいような状況の場所に隠れている可能性は、あるのかもしれません。

警視庁によると、前後のバンパーが壊れて止まっていたこの車はレンタカーで、男らがナンバープレートを付け替えた可能性があるといいます。

逮捕された4人のうち、3人は、調べに対してマンションに侵入したことを認めていますが、18歳の高校生は否認しています。

また、さらにもう1人が関わっているとの目撃証言もあり、警視庁は、強盗事件との関連とともに調べているということです。

盗品は“既に受け渡されている可能性がある”?専門家の見立ては?

車を乗り捨て、行き当たりばったりにマンションに逃げ込んだように見える犯人たち。逃走先を事前に決めていなかったのでしょうか?

元埼玉県警刑事 佐々木成三氏は、こう推察します。

元埼玉県警刑事 佐々木成三氏:
犯行後ひとつだけ決めていたのは、強取した被害品をどうするのか。これに関してはいまは見つかっていないということは、もしかしたら“既に受け渡されている可能性がある”と。そこに関しては、この短時間で受け渡している可能性があるとなった時に、指示役、この上層部においては、4人はすぐ捕まってしまうと。だから犯行後すぐ渡すというところを指示していた。実行役に関してはハイリスクなんですけど、指示役に関してはノーリスク、かなりリスクも低い。そういった意味では主体が違うということはあるのかなと感じています。

事件後に逮捕された男4人は、いずれも横浜市内に住む16~19歳の少年だったことが判明しました。

――盗まれた時計を売り抜けるルートなどはあるのでしょうか?

元埼玉県警刑事 佐々木成三氏:
これは、正規のルートだとすぐ捕まる可能性がありますので、やはり“闇ルート”、もしくは海外。そういったルートを持っている人物がいるということですね。こういった稚拙な犯行をしている実行犯のグループがそういったルートを持っているとは思えないので、そういうところに関しては、やはり上層部、指示役がいるのではないかということは推測できます。

――どうしたら指示役を捕まえることができるのか?

元埼玉県警刑事 佐々木成三氏:
強盗というのは、令和3年の検挙率99%なんですよ。最近起きている貴金属強盗のほとんども実行犯は捕まっています。ただ、もちろん警察としてはそこで終わることなく指示役につなげるということなんですが、指示役と実行犯が顔も知らずSNSだけで指示を受けている。そういった(状況では指示役が)どういった人物なのか特定するのはかなり難しい。ただ、SNSの捜査に警察もかなり力を入れていますので、ルフィ関連グループと同様に、こういった実行犯をまず多く捕まえて、指示役につながる情報を見つけて、芋づるで捕まえていくという姿勢を示していくと思います。

(めざまし8 5月9日放送より)