新型コロナの影響で採用を控えていた航空業界。5月8日の5類移行に伴い、この春から採用を再開する動きが広がっている。「人手不足」が懸念される航空業界を目指す学生を取材した。

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再び開いた航空業界の採用活動

4月、宮城県仙台市青葉区の専門学校で行われた面接の練習。練習に臨んでいるのは客室乗務員を目指す専門学校の生徒たち。福島県出身の菅野乃愛瑠さん(19歳)。空港で見た客室乗務員に憧れ、中学生の頃から客室乗務員を夢見てきた。

菅野乃愛瑠さん:
憧れを憧れのままで終わらせず、覚悟を持って客室乗務員になりたいと考えています。

競争倍率が高く「狭き門」の客室乗務員。新型コロナウイルスの感染拡大による業績悪化などを受けて、全日空と日本航空はともに、2020年から新卒採用を中止。航空業界の採用活動は不透明な状況が続いた。

菅野乃愛瑠さん:
不安もあったんですけど、接客業は人と関わるので、客室乗務員は無いとダメな仕事だと思っていたので、無くなることは心配していませんでした。

不安はあったものの、憧れの客室乗務員になることを目指し、2022年、仙台市青葉区の航空業界の専門学校に進学した。福島県内から通っている。

2022年、日本航空は3年ぶりに採用活動を再開。全日空も2023年、4年ぶりに採用活動の実施を決めた。新型コロナの影響で閉ざされていた夢への扉が再び開いた。

片道1時間半の通学時間勉強に励む日々

この日は、菅野さんの福島県の自宅での様子を取材させてもらおうと、学校からの帰宅に同行した。東北本線に乗ること約1時間半。学校が終わり実家に着く頃には、辺りは暗くなっている。

菅野乃愛瑠さん:
ご飯を食べてから2、3時間くらい勉強します。

帰宅した後も就職活動への準備に英語の勉強に追われる日々。気付いたころには日付をまたぐこともよくあるという。

菅野乃愛瑠さん:
サービスがしたいからというのはもちろんあるんですけど、お客さんにずっと笑顔で接しているにも関わらず、保安が一番大事なので、それをお客様に感じさせない。保安官としての使命を感じさせないところがすごくかっこいいなと。

憧れの航空業界を目指して

4月のある日。菅野さんの姿は、福島県内の高齢者向けのグループホームにあった。実は、2022年の12月から月に4回ほど、この場所で介護職のアルバイトをしている。

薬の用意や、掃除、食事の準備に入所者の日常の手伝いなど仕事内容は様々。中でも大事にしていることは入所者とのコミュニケーションだという。

入所者の女性:
一番大好きなの、気を遣わないで話も聞いてくれるし、その点が本当にうれしいです。

こうしたコミュニケーションが、客室乗務員の仕事にも通じるものがあると菅野さんは考えている。

菅野乃愛瑠さん:
入居者の方の気持ちを考えて行動するところが、客室乗務員はお客さまの気持ちを考えて動くので、そういうところは似ているなと思いました。

客室乗務員に絞って、就職活動をしている菅野さん。目指す客室乗務員像とは…。

菅野乃愛瑠さん:
誰よりも危険とかに気づいて対応できる客室乗務員になりたいですし、お客さまが安心して飛行機に乗っていただける客室乗務員にもなりたいです。

新型コロナで一時は閉ざされたが、再び開いた航空業界への門戸。客室乗務員を目指す菅野さんの奮闘はつづく。

(仙台放送)

仙台放送
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