“実質無料”をうたった歯科矯正をめぐり、女性たちが約2億円の損害賠償を求めて訴えている問題。

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被害者弁護団は4月11日、歯科クリニックの運営会社の代表らについて、詐欺罪と特定商取引法違反の疑いで、警視庁に告訴状を提出した。

問題の発端は、モニター契約を結んで矯正費用150万円以上支払えば、治療が受けられる上、クリニック側から謝礼として毎月5万円がキャッシュバックされ、実質無料で歯の矯正ができるというキャンペーンだった。

しかし実際は、女性たちに謝礼が支払われることはなく、多額のローンだけが残ってしまった。

歯科クリニックの運営会社「THE GRANSHIELD(ザ・グランシールド)」は謝礼が支払われない理由について、ウクライナ侵攻により、海外口座からの送金取引が停止しているためと説明していた。

運営会社は社内会議で「笑える内容」「炎上してくれ」

しかし、私たちはその説明を覆す、社内会議とされる音声データを入手。驚くべき会話が記録されていた。

音声データ:
ロシアとかウクライナとか“突っ込みどころ満載の文章”が出ていたんですけど、今となって思えば、あのときはあれが最善だったなっていうぐらい、笑える内容なんですね。炎上してくれみたいなぐらいの内容。

ウクライナ侵攻が原因で謝礼が支払われないとする説明を“突っ込みどころ満載”と茶化す発言。

さらにこの会議では、当時、金の管理などをしていたとされる会社「アーサー」に責任を押し付けるための口裏合わせのような発言も記録されていた。

音声データ(A):
業務委託していたアーサーが勝手にやってしまったことですという体にして。

音声データ(B):
なので、そもそもその契約書をアーサーが勝手に作ったというストーリーに。

契約を結んだ患者は約1700人。被害総額は20億円近くか

この会議に出席していたという運営会社の元メンバーは、当時の状況についてこう話す。

元メンバー:
本当に裏切られたというか。笑いながらうそをついている、うそをつけっていうふうに言われてるというか。THE GRANSHIELD(ザ・グランシールド)は悪くなくてアーサーが悪いことにしようぜという内容で。本当に理解できないというか、本当に裏切られたというか……。

これまでに40人あまりの女性をクリニックに紹介したという、元メンバーの男性。最後に謝罪の言葉を口にした。

元メンバー:
本当にこういう事件、トラブルに巻き込んでしまったこと。治療に通っていただいた方に、本当に申し訳ないなっていうふうに思ってます。

治療費が“実質無料”になるという“うたい文句”を信じ、契約を結んだ患者は全国で約1700人。被害総額は20億円近くにのぼるとみられているが、そのお金の行方はわかっていない。

告訴人の女性「怒りがこみ上げてくる」

告訴人の1人となった、30代女性は怒りをあらわにこう訴えた。

告訴人(30代):
聞けば聞くほど、怒りがこみ上げてくるような内容ばかりでした。なんとか真実を暴いていただいて、償ってほしいと思っています。

被害者弁護団の加藤弁護士は、刑事告訴に踏み切った理由をこう述べた。

被害者弁護団 加藤博太郎弁護士:
極めて詐欺性の強い、悪質なモニター商法だったんじゃないかなというふうに考えています。

歯科クリニック側は取材に対し、これまでのところ回答していない。

(「イット!」4月11日放送より)