2023年度に入って自転車のルールが変わった。自転車に乗る際のヘルメット着用が、1日から全ての年齢の人を対象に「努力義務」となった。ヘルメット着用ルールはどのくらい浸透しているのか、現状を取材した。
「ヘルメットをかぶらない」場合の致死率は2倍
2022年に起きた自転車と自転車の衝突事故の映像。赤信号を無視した自転車が、横断歩道を渡ろうした自転車に衝突した。こうした事故にあった際、命を守ってくれるのがヘルメットだ。
この記事の画像(16枚)実際に、ヘルメットに守られたというこんな事例が…
ワイズロード大阪ウェア館・向井未来副店長:
事故に遭われたお客様から譲って頂いたヘルメットです。正面から無灯火で逆走してきた自転車がいて、接触して転倒したところに、相手の方の自転車が上から激突した。これがなければ頭にダイレクトにダメージを受けるので大きな事故になってしまっていたかなと思います
ヘルメットをかぶっていた女性はかすり傷ですんだそうだが、お店では安全啓発のためにこのヘルメットを店頭で展示している。
自転車の死亡事故で致命傷が頭部だった人は、半数以上に上る。さらに「ヘルメットなし」の致死率は「ヘルメットあり」より2倍以上高くなることも分かっている。
自転車店では大人用ヘルメットが品薄に
そこで4月1日から法改正で、自転車のヘルメット着用は「努力義務」になりました。しかし今、問題が…。
大阪市内のある自転車店では「大人用」のヘルメットがすべて売り切れになっていた。2022年の年末には10種類以上並んでいたものが、今店頭にあるのは「子供用」だけという状況だ。
サイクルヒーロー森崎玲さん・プロジェクトマネージャー:
ご覧の通り品切れが続いている状態で。系列店ではすべて、ほとんどないような状態で、入荷待ち、ご予約を承っている状態が続いてしまっています
この日、ヘルメットを買いにきたのは70代の女性。
販売店:
この辺りに陳列されているのは、子どもさん用です
買い物客:
そうなんですね…
販売店:
(頭に)入らんでしょ。子供用やから、小さいんですよ
この女性が自転車で通勤しているということで、予約をして購入した。
販売店:
多分ね、今メーカーの方で切れてるので、(入荷は)4月末ぐらいになるかな
買い物客:
え!4月の終わりごろ!?
販売店:
はい
買い物客は:
年齢的に転倒したらもう終わり、自分の身を守るのは自分しかないからね
ヘルメット着用“努力義務化”をまだ知らない人も
これまで自転車に乗る際ヘルメットの着用は、“13歳未満”だけが努力義務となっていたが、4月からすべての人に広がった。街の様子を見てみると…
記者リポート:
4月1日の大阪市内です。大型ショッピングモールの前には続々と自転車に乗った人が来ていますが、どなたもまだヘルメットはしていないようです
努力義務化の前と比べても、代わり映えしない風景だった。
記者リポート:
帽子はかぶっていますが、ヘルメットではないですね。あ!自転車のヘルメットではない感じがしますが、銀のヘルメットをかぶった人が一人、自転車に乗って去って行きました
定点カメラでおよそ10分間、自転車に乗った100人を観察したところ、ヘルメットをしていた大人は1人だけだった。
ヘルメットを着用しない人は:
(Q.努力義務になったことをどう思います?)
まぁ、何とも思わないっていうのが…すいません。
かぶらないかもしれないですね、髪の毛がぐちゃぐちゃになるし。
子供が守られたら大丈夫かな、と思うんですけど。
いやぁ…なんか見かけの問題かと。みんなが着け始めたら、自分も着けるのかもしれないですけど…。
そんな中、ついにヘルメットを着けた人を発見した。
ヘルメットを着用していた人は:
ちょっと前に自転車買ったのですが、ヘルメットも一緒に買いました。自転車に乗るのが久しぶりということもありまして。結構そのまま着用しっぱなしにして、ちょっとしたお店だったら、そのまま(ヘルメットをかぶったまま)入ります
また子どもたちに話を聞いてみると…
子どもたち:
大人も子供みたいに転倒する時もあるから、大人も着用したほうがいいと思います
通勤時間帯も、自転車と人が交わる機会が多くなる。こんな時こそ、ヘルメットを着ける人が増えるといいのだが、3日朝、淀屋橋でヘルメットを着けていた人は10人に1人くらい。
ヘルメット着用していた会社員:
スピードが出る自転車に乗っているので、安全のためには着けた方がいいかな、と
“努力義務”となった自転車用ヘルメットの着用。罰則・罰金がないとはいえ、万が一の事故に備え、“命を守る”ヘルメットを着用する人が少しずつ増えることが求められる。
(関西テレビ「newsランナー」4月3日放送)