宮城県・栗原市のJA子会社の管理職の男性職員による不正経理問題で、第三者委員会による調査の結果、男性職員は2億7800万円の金を着服していたことが分かった。さらに私たちを驚かせたのは、その金の「驚きの使い道」だった。
会社が被る被害は4億円以上…

問題が明るみに出たのは、2022年7月。JA新みやぎの子会社「新みやぎサービス」で中古車販売事業を担当していた、50代の男性職員の不正な取引で、およそ2億円の資金の外部流出が発覚した。新みやぎサービスは、中古車販売業者から車を仕入れて販売する業務や、葬祭などの事業を手掛けていて、男性職員は自動車部分を統括する立場だった。
問題発覚を受け、JA新みやぎは同年10月に第三者委員会を設置。調査を進めていて、その結果を3月29日に公表した。
それによると50代の男性職員は、2009年からおよそ13年間、161回にわたって、販売業者3社から中古車を購入したように装い、約2億7800万円を着服していた。販売業者の1社は男性職員の小中学校の同級生が代表を務める会社だった。さらに、着服を隠ぺいするため、経理担当の50代女性職員に、不正なシステム処理を指示。この不正取引による未収金は約9100万円にのぼる。50代の女性職員は、男性社員の代理で書類の偽造と未収金の電算処理を行っていて、調査に対し「指示されてやっただけ」と話しているという。一連の不正な取引によって、会社が被る可能性がある損害は、最大で4億円以上にもなるという。

遊興費などに毎月100万円
男性職員は、当初JAの聞き取りに対し着服を否定していたが、その後、調査委員会に対し、「金は借金の返済、飲み代や性風俗店に使った。毎月100万円以上を使っていた」と話しているという。JA新みやぎの大内一也代表理事は、「今後は監査体制、コンプライアンスの関係、しっかりとした体制を組みながら、信頼回復のために努力して経営にあたっていきたい」と述べた。男性職員と不正に加担した女性職員の2人を近く、刑事告訴するとしている。

同社巡るあらたな不祥事
そして、会見の場にいた私たちをさらに驚かせたのが、同社を巡る別の不祥事だ。今回の問題について、第三者委員会が調査を進める中で明らかになったという。内容は以下の通り。
新みやぎサービス新たな不祥事①
「北部葬祭センター」の40代男性職員が、2018年12月から約3年3カ月にわたって、葬式用に仕入れたキクの花を業者に横流しして、代金443万円を着服していた。回数にして99回にのぼる。(※この男性職員はすでに全額を会社に対して支払い、賠償は完了している。)
新みやぎサービス新たな不祥事②
運営するガソリンスタンド「アクセス若柳サービスステーション」の20代男性職員が、スタンドに設置されている洗車機から24回売上金約6万8000円を着服していた。売上金を回収した直後に、監視カメラの死角で金を抜き取っていたという。

続々と明るみにでるJA子会社の不祥事。親会社のJA新みやぎは、令和元年7月に県北部の5つのJAが前に合併してできた、職員1100人余りを擁する宮城県最大の農業協同組合だ。子会社とは言えど、なぜこれだけの不正行為が横行してしまったのか。徹底した原因究明・再発防止策が求められている。
(仙台放送)