東京・有楽町で、40代の女性に、今では見かけなくなったものを見てもらった。
「すごく無駄に話してましたね。友達とずっと話してました」
この記事の画像(24枚)そう言って、女性が懐かしんだもの。それは、PHS。
PHSとは、一般電話の回線を使用した無線電話のことで、90年代に「ポケベル」に代わり大ヒットした。携帯電話やスマートフォンと比べ、音質が良いのが特徴だ。
そのPHSのサービスが3月31日に終了し、28年の歴史に幕が下ろされる。
とはいえ、Z世代の若者にとっては何のことやら、のようだ。
20代:
PHS?わかんない…音楽関係?ゲームみたいな…くらいしか思いつかない。
別の20代:
知らないです。(取材班がPHSを見せると)あー、見たことある。家にありました。
人気のスマホアプリ「Simeji(シメジ)」の調査によると、PHSは、「大人は懐かしいけどZ世代は知らないモノ」ランキングの1位。
自宅電話じゃ“親の目が気になる” 女子高生を中心に爆発的に普及
1995年にサービスがスタートしたPHSは、当時流行していたポケットベルに代わる連絡手段として、女子高生を中心に大ヒットした。
誕生からわずか3年で爆発的に普及し、全盛期の契約数は約700万件。
若者の多くが「ピッチ」と呼び、広く定着した。
当時、PHSを使っていた人は、どのような使い方をしていたのだろうか。取材班は東京・有楽町で話を聞いてみると、「通話で結構使ってたと思います。友達もそうだし、当時付き合ってる方との連絡にも。自宅の電話だと、親の目が気になるので」との声が聞かれた。
しかし、通信エリアが限られるPHSは、携帯電話にシェアを奪われ、契約件数が減少。
一方でそんなPHSを、いまなお使っている場所があった。
医師や看護師が重宝「医療機器への影響が少ない」 今後は使用どうなる?
埼玉・熊谷市にある「埼玉慈恵病院」。
取材班が訪れると、スタッフステーションには、ちょうどPHSで通話をしている人の姿も。
慌ただしく動き回る医師や看護師が手にしていた。
医療現場では、なぜPHSを使い続けているのだろうか?
埼玉慈恵病院 久保寿朗 病院長:
PHSは、医療機器への影響が少ないという認識の元に使っております。
動線的にスタッフが動いていても、(PHSは)通じる。
ではサービスが終わる今後、医療現場でもPHSが使用できなくなるのだろうか。
埼玉慈恵病院 久保寿朗 病院長:
私ども院内のいろんな場所に基地局というのを持っていて、それがあることによって利便性が高まっている。
病院や会社など、PHSのアンテナがある場合に限り、PHSの使用は継続できるという。
人と人をつないだPHS。スマホ全盛のいま、大きな節目の時を迎えようとしている。
(「イット!」3月28日放送より)