4月から一定の条件を満たせば、自動運転の「レベル4」が公道で解禁される。

これに先立ちソフトバンクは、22日に東京都内で開催された「ギジュツノチカラ ADVANCED TECH SHOW」で、最新技術を公開した。

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ソフトバンクが開発した最新技術は、AI人工知能が10台の車の自動運転を同時に制御・監視する自動運転システム。

過去の事故や車の通行量、人の流れなどのデータを活用して、最適なルートも自動的に算出。

異常が発生した時には、オペレーターに通知する。

4月から、事故など緊急時の対応ができる担当者を置くなどの条件を満たせば、無人の自動運転車を公道で走らせる“自動運転「レベル4」”が解禁となる。

人口減少が進む地域などで、地域住民の移動手段となる巡回バスなどへの活用が想定されるという。

ソフトバンクは、「技術は羅針盤と捉えて、新しい技術に裏付けられた新しい事業を作っていきたい」としている。

自動運転実用化は安全性とコストがカギ

「Live News α」では、早稲田大学ビジネススクール教授の長内厚さんに話を聞いた。

海老原優香 キャスター:
AIを活用して自動運転をサポートする試み、どうご覧になりますか。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
自動運転の「レベル4」が実用化段階に入ろうとしている今、より安全性を高めること、よりコストを抑えること、この二つを同時に実現する技術やアイデアが重要です。
今回のシステムは、その課題の解決につながるもの。

まず、安全性についてですが、これまであった個々の自動車の自律制御に加えて、遠隔監視のAIシステムも活用することで、安全を担保する「システムの冗長性」があります。

同じことを二つのシステムが行うのは“無駄”なわけですが、フェイルセーフという技術の捉え方では、一つのシステムに不具合があっても、もう一つが作動することで、より安全性が確保されるとされています。

これが冗長性のあるシステムで、航空機や新幹線などでも用いられています。

海老原優香 キャスター:
確かに、安全は何よりも優先されますよね。もう一つの自動運転を普及させるカギである
コストについては、いかがですか。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
自動運転の安全性を高めるほど、コストがかかり、自動車の販売価格に上乗せされます。
これでは、なかなか自動運転は普及しないですよね。

外部のシステムとの連動で安全性が高まれば、個々の自動車のコストには影響しません。

しかも、遠隔監視システムは、同時に複数台の自動車の監視が可能なので、同時監視できる台数が増えれば増えるほど、1台分のコスト増加は抑えられます。

AIは便利なツールとして共存すべき

海老原優香 キャスター:
ただ、自動運転という便利さと引き換えに、監視されることや、個人情報の提供などに戸惑う方もいるように思いますが、いかがですか。

早稲田大学ビジネススクール教授・長内厚さん:
AIを使って監視されることに、怖さを感じてデジタルの活用に尻込みするよりも、便利な道具として使って、うまく共存することを考えるべき。

AIによるリモート監視の自動運転のシステムも、誰かに監視されるというより、人と人をつなぐためのツールとして捉えるべき。

海老原優香 キャスター:
車が生活の足になっている地域は多い一方、高齢者の運転免許の返納などの問題もあります。

そんな中で自動運転のバスなどがあると、これまでよりも便数が多くなったり、走るルートが増えたりと、より便利になって、地域で歓迎されるかもしれませんね。

(「Live News α」3月22日放送分より)

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