例年より全国的に花粉の飛散が多くなると言われる2023年。「花粉症を認めたくない」「受診するのが面倒」という理由で病院を受診していない人もいるのではないでしょうか。花粉症を放っておくと、一時的な難聴や中耳炎になる場合があるそうで、耳鼻咽喉科の医師に話を聞いてきました。

みぞかみ耳鼻咽喉科(佐賀市与賀町)院長 溝上宏幸氏
みぞかみ耳鼻咽喉科(佐賀市与賀町)院長 溝上宏幸氏
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花粉症がなぜ耳に影響する?

医師:アレルギー性鼻炎は鼻から花粉が入って、粘膜上でアレルギー反応が起こります。鼻の奥と耳が耳管でつながっており、鼻の奥の腫れ(むくみ)が耳管をふさぎ、詰まった感じやこもった感じに。飛行機に乗った時に耳が抜けない感覚のような状態になり、何かを飲み込んでも耳管がふさがって耳が通らないようになります。

何かに覆われているような不快感や、頭がぼーっとしたりするのは、鼻の奥が炎症を起こし、耳管の入り口までむくんでしまっているからです。

症状が強い場合は、鼻が詰まったら毎回耳が詰まるというケースも。

「耳が聞こえにくい」と言って通院される患者もいるそうです。

改めて説明をすると

・花粉症で鼻の内部の粘膜がむくむ
・そのむくみが、耳につながる耳管の入り口にまで及ぶ
・中耳の圧力調整がうまくいかず、耳がふさがり、耳が聞こえにくくなる

というメカニズムです。
鼻水が治まると改善されるそうですが、耳をよく使う職業の方などは予防を心掛けないと仕事に影響が出ることも考えられます。

小さな子どもは中耳炎への悪化も注意

小さな子どもの場合は、鼻水・鼻詰まりが「中耳炎への悪化」につながる事も。
なぜ子どもは中耳炎になりやすいのか、また、花粉症を予防法するにはどうすればいいのかについても併せて教えていただきました。

子どもの方が中耳炎になりやすい?

医師:子どもが中耳炎になりやすいのは、大人よりも耳管が水平に近く、管が短いという理由があります。そのため鼻水が中耳に影響を及ぼしやすく、子どもに中耳炎が多いのです。

花粉症を予防するにはどうすれば?

医師:花粉症は体内に花粉が入る事で反応が起こります。
花粉症を予防するには、花粉が体内に入らないようにすることが必要です。

普段からできる予防として
・マスク
・手洗い
・うがい
・顔を洗う
・鼻をかむ

などがあげられます。

医師:それでも症状が出る人は、薬による治療になります。
自分を花粉症だとは認めたくない人は多くいますが、治療をすればかなり楽になると思います。

症状がある人には早めに耳鼻科を受診をしてもらい、鼻の中を診てもらうのが良いとのこと。
早く診察をすれば、早く楽になれることがあるんだそうです。

まとめ

・花粉症が原因で難聴になることがある!
 鼻の奥のむくみが耳管をふさいで聞こえにくくなることがある
・子どもの鼻づまりは早めの受診
 子どもは耳管の構造上、中耳炎になりやすい
・花粉症と認めてしまった方が楽
 早く受診して対処するのが良い