メキシコでの美容整形が人気に
コロナウイルス感染は米国で、美容整形ブームというスピンオフ(派生現象)をもたらしたらしい。
3月3日、メキシコの米テキサス州との国境の町マタモロスで米国人4人が誘拐されて2人が殺害されるという事件が起きた。犯人はメキシコの麻薬カルテルで、米国人たちをライバルと間違えて襲撃したとして謝罪の手紙をマスコミに公表すると共に誘拐に関与したという5人を引き渡した。

それとは別に、この事件で注目されたのは誘拐された米国人4人は美容整形手術を受けるために東海岸のサウス・カロライナ州から約3000キロドライブしてメキシコを訪れていたことだった。コロナウイルスの感染以降米国人の間で美容整形が流行しており施術料が米国の半分のメキシコで手術を行う人が急増している実態が分かってきた。

コロナ拡大で整形手術が増えたアメリカ
米国のプラスチック外科協会の機関誌「CONNECT」電子版によると、会員へのアンケートの結果米国の整形外科医の4分の3がコロナウイルス感染拡大で整形手術の需要が増えており、30%が「倍増した」と回答している。
その原因の一つを「CONNECT」は「ズーム・ブーム」と呼んでいる。いうまでもなくビデオ会議ソフト「ズーム」のことで記事はそのブームを次のように分析している。

「多くの人が普段はトイレ休暇で手を洗いながら自分の顔を見るだけだったのが、会議や仕事のオンライン化に伴い、毎日何時間も画面の中の自分の姿を見つめるようになったのです」
その結果、自分の容姿を変えたいという人が増えたということのようだが、それ以外にもコロナウイルス感染の影響があるようだ。マスクの着用だ。
顔の施術の場合はマスクで術部を隠すことができる。手術をした鼻も唇も顔も回復期間中はマスクに隠しておき、マスクが外れると見違えるような容姿を披露することができるので、マスク着用が当然視されているうちに美容整形をしようということになるとロサンゼルス・タイムズ紙電子版の昨年1月25日の記事は伝えていた。

一方日本でも「リモートワーク」が普及して己の容姿を直視する機会が増えたことは間違いない。そうした中、13日からはマスク着用のルールが緩和されて対面形式の活動で素顔を晒す機会が増えることになったが、まだマスク着用は当然視されている。そのうちに米国同様に美容整形ブームのようなことが起きるのだろうか。
【執筆:ジャーナリスト 木村太郎】
【表紙デザイン:さいとうひさし】