小学生の子どもを持つ親たちが相次いで、“#学童落ちた”というハッシュタグをつけて、自らの体験談を投稿。波紋が広がっています。
この記事の画像(12枚)「何がお母さん、『我々はいつでも味方ですよ』、だよ 国なんてクソくらえよ」
「子どもは生んでください、でも学童は入れません。どういうこと?」
親が働いている小学生などを、放課後に預かる「学童保育」。
この4月から子どもを受け入れてもらえず、頭を抱える保護者が増えているといいます。
長男が4月から小学校に入学する女性(40代):
転勤族なので、周りに親族が誰もいない状況で、まさか学童に入れないって思ってなかったんですよね。民間の学童で入れるところというのが、月7万円かかるんです。結局働いてもプラスにならないと言いますか、働く意味がもう無いと言いますか。仕事できないんだなあっていう絶望感でした。
子どもを持つ家庭に、一体何が起きているのか?「めざまし8」は「学童落ちた」という保護者を取材しました。
「本当に絶望」小学生娘2人が“学童落ちた”…落とされた理由も“曖昧”
「説明とかも全くなくて、ある日、突然文章が届いて、来年度は入れませんっていう趣旨の紙が届いただけです」
「めざまし8」の取材にそう話すのは、4月から小学5年生になる長女(10)と、2年生になる次女(7)の娘が2人いるAさんです。
夫婦共働きの男性Aさん(40代):
翌日には市役所に電話で、相談させていただきました。理由としては「利用時間が他より短い」ですとか「上に姉がいる」ので入れないとか言われたんですけど、聞けば聞くほど、理由が二転三転するような形で。本当になんで落とされたのか理由も、結局わからないっていうところです。調べようもない調べる術も無いっていう。本当に絶望でした。もう声も出ないっていうのは、まさにこういうことを言うんだなっていうのを生まれて初めて体感したような感覚でした。
共働きのAさんは、現在は娘2人を学童保育に通わせているものの、「利用時間が短い」「上に姉がいる」という理由から、娘2人とも4月以降学童に通うことができなくなってしまいました。
夫婦の仕事の終了時間は、Aさんは午後5時半、妻は午後7時と遅く、学校から午後2時半に帰ってくる次女、午後4時に帰ってくる長女とは、数時間のずれが。
仕事を早退するしかないのか?7歳の次女に1人で留守番させるのか?
Aさんは今、「仕事を辞めることも検討している」といいます。
「国なんてクソくらえよ」定員超えで落選…民間学童保育は月額8万円
続いて、シングルマザーのBさんケースです。
5歳の長男は4月から小学1年生に、4歳の次男は保育園の年長になります。
Bさんは今、週5日勤務の会社員。働くために長男の学童保育を申請しました。
しかし、「定員を超えている」として落選。
Bさんはやむなく「民間」の学童保育を頼ることに。その費用は週5日で1人月額8万円、月額4000~8000円程度の公立に比べると、かなり高額です。
助けてくれない国に対して不満が爆発したBさんは、SNSに「国なんてクソくらえよ」と怒りの文章を投稿しました。
仕事のために預ける?預けるために仕事をする?「条件」の壁
Cさんは夫婦共働きの4人家族、4月からは長男(9)が小学4年生に、次男(7)が小学2年生に進級します。
Cさんは午後5時までパートで働いており、実家は県外のため頼れる人がおらず、学童保育に申請しました。
小学2年生になる次男は当選したものの、「小学4年生以上はどんな状況でも入ることはできない」と4年生になる長男は落選してしまったのです。
Cさんは9歳の長男を1人にすることはできず、仕事の時短を決意したといいます。
しかし、ここで「学童に入るための条件」がCさんに重くのしかかります。
学童に次男を預けるには、「1日4時間以上かつ月15日以上の労働が必要」で、この規定を満たすためには、Cさんは土日に出勤するしか手だてがないのです。
仕事のために預けるのか?預けるために仕事をするのか?Cさんは悩んでいます。
専門家「待遇が十分でなくて人が集まらない」審査基準と予算問題
学童保育の審査基準に関して、待機児童問題に詳しい、東京大学・大学院経済学研究科の山口慎太郎教授はこう話します。
東京大学 大学院経済学研究科 山口慎太郎 教授:
基本的には未就学児が利用する保育所と同じです。考え方としては、日中に子どもをみることができる大人が家にいないということが必要になるわけです。より具体的に言うと、共働きであるとか、シングルマザー・シングルファザーのおうちで、日中働いていて大人が家にいないケースですね。やはり定員があるので、全員は受け入れられないということになると、学年が下の子供、小学校1年生から優先的になるので、1年生の頃は使えたけれど、2年生になると使えなくなるといったことが起こっているようですね。
学童保育を増やしていくためには、何か対策があるのでしょうか?
東京大学 大学院経済学研究科 山口慎太郎 教授:
学童を今後増やしていくとなると、予算の措置が必要かなと思います。指導員の数が不足していますが、その背景にある理由として、待遇が十分でなくて人が集まらないというのがあります。もうひとつ踏まえておかなくてはいけないのは、学校や教育委員会からの協力が必要になるということですが、学校の本来の業務と学童は違うというスタンスがありますので、ここのところがうまくいっていない自治体もあるようです。
(めざまし8「わかるまで解説」より 3月10日放送)