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27日、「エホバの証人」が子供に輸血を受けさせないよう信者に指導しているのは“虐待”にあたるとして、弁護団が厚生労働省に通報しました。

2022年12月、旧統一教会などの問題から、“親による信仰の強制”などによる宗教2世への児童虐待を防ぐため、厚労省はガイドラインを策定。そこには「医師が必要と判断する医療行為(手術・投薬・輸血等)を受けさせないことはネグレクトに該当する」と明記されています。

「エホバの証人」は、19世紀末にアメリカの聖書研究者によって始まったキリスト教系の宗教団体です。現在、239の国と地域に約870万人の信者がおり、日本にいる信者は約21万人。聖書の教えとして、“輸血を受け入れるべきではない”としています。

「めざまし8」は、現役2世信者の男性を取材。その実態を聞きました。

輸血を受けない“永続的委任状” 現役2世が語る「エホバの証人」

現役信者だという30代の男性は、3歳の時、母親が入信。
その影響で集会に出入りするようになり、その後、自身も正会員になったといいます。

エホバの証人の現役2世信者:
(母親が)エホバの証人の人と知り合って、そのつながりで3歳の自分を一緒に連れまわすという形でした。
10代のときに肺の病気をしまして、近くにある大きな病院に行ったら「輸血をしないといけない」と言われて、なんですけど、そこで親が「輸血をしちゃダメ」っていうふうに、医者に強く言ったんですよね。

見せてくれたのは、信者に渡されるという“医療に関する永続的委任状”。そこに書かれていたのは、こんな文言でした。

「いかなる状況のもとでも、たとえ医療従事者が私の命を保つために必要であると考える場合でも、私に全血、赤血球、白血球、血小板、血漿の輸血を行わないよう指示します」

エホバの証人の現役2世信者:
輸血しないでくださいっていうものを。これでカードを入れたりして、ずっと持っています。

フジテレビが入手した教団の内部資料
フジテレビが入手した教団の内部資料

フジテレビが入手した実際の教団の内部資料にも、「親は『血を避ける』ことを固く決意し、子供のために輸血を拒否しなければなりません」と書かれています。

エホバの証人の現役2世信者:
今となっては、子供が輸血できないことに関しては、正直、虐待だと思っています。

「ただムチが怖くて、痛くて」子供に対する「ムチ打ち」虐待相談も

“子供への輸血拒否”とともに、弁護団が問題視するのが「ムチ打ち」です。

めざまし8に、過去に「ムチで打たれた」と明かすのは、元2世信者の40代女性。
女性は、「現在行われているかはわからない」としながらも、当時の恐怖をこう語ります。

エホバの証人元2世信者 飛鳥まいさん(仮名):
物心ついたときから、ムチで信仰を強要されていたので。
3歳から5歳くらいの頃、すごくムチ打たれていた時期なので、精神的なストレスのせいか、ちょっと子供の頃の記憶が正直ほとんどなくて。なぜ打たれていたのか、ただムチが怖くて、痛くて、すごく怖かったということは強烈に覚えています。

教団のホームページには、“聖書の言葉”としてこんな一文が。

「むちを控える人は子供を憎んでいる。子供を愛する人は懲らしめを怠らない」

弁護団にも、こうした理由から、“ムチでたたかれた”とする虐待の相談が77件寄せられているといいます。

エホバの証人元2世信者 飛鳥まいさん(仮名):
子どもを愛しているならムチ打ちなさい、っていう指導がされていたので。責任追及したいのは教団であって、その末端の信者を攻撃しないでほしい。

そして「エホバの証人」側は、以下の声明を発表しました。

「エホバの証人の親たちは、自分たちの信条を子供に伝え、健全なモラルに従って生活するよう教える責任を真剣に受け止めています。エホバの証人の中でも、特定の治療や医薬品を受け入れる人もいれば、受け入れない人もいます。医療の選択は個人や家族の決定であり、十分な話し合いに基づいて決めるべき事柄です」

取材の最後に、現役信者の男性は、今後の教団について、こう話します。

エホバの証人の現役2世信者:
エホバの証人を辞めた人を徹底的に避けるっていう教えがあって、自分が抜けた場合、母親は(自分を)徹底的に無視しないといけなくなるんですよね。
信じない自由を保障してほしい。そこは本当に変わってほしい。変えていきたいと思っています。

(めざまし8 2月28日放送)