ロシア軍のウクライナ侵攻から1年。今も北海道内で避難生活を送っている人がいる。

慣れない異国での生活に寄り添い、避難民同士が交流できる居場所づくりが進んでいる。

ウクライナから避難してきた・マリアさん:
こんにちは

ウクライナから避難してきた・ミハイロさん:
よろしくおねがいします

ウクライナの大学に通う、ミハイロさんとマリアさん。 

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ウクライナ中南部のザポリージャ市からイタリア・ポーランドを経由して、2022年9月に北海道札幌市にやってきた。

マリアさん:
父からもらったぬいぐるみです。ウクライナ国旗も持ってきました

ミハイロさん:
これが私がもってきたすべてです。洋服とノートパソコンだけです

家族との思い出がつまった写真も持ってきた。

2人は札幌市から市営住宅を無償で借りて暮らしている。

光熱費や食費などは、支援金や親からの仕送りでまかなっている。

マリアさん:
しつれいします

ミハイロさん:
おさきに、しつれいします

マリアさん:
ウクライナの大学でも、オンラインで日本語を学んでいます。日本語で難しいのは『おととい』とか『けさ』という単語です

ウクライナでは学業のかたわらIT関連の仕事をしていたミハイロさんは、いま日本で仕事を探している。

ミハイロさん:
私はサーバーの開発などITを専門にしています。サイトでも仕事を探しているし、日本のハローワークにも登録しています

出入国管理局によりますと、ウクライナから日本に避難している人は2185人。このうち24人が北海道で暮らしている。(※2月15日現在)

2人が訪れたのは札幌市北区の語学学校「サンフレンズ」。日本語を学びにやって来た。

日本語を教えるボランティアスタッフ:
話してください、プリーズスピーク

ミハイロさん:
はなしてください

サンフレンズ・杉田邦昭代表:
照り焼きソースはどこですか。"Where is Teriyaki sauce?” is natural

語学学校「サンフレンズ」代表の杉田邦昭さん。

2022年4月から週に1度、無料の日本語教室を開いていて、10代から50代まで8人ほどが通っている。

サンフレンズ・杉田邦昭代表:
言葉が通じなかったり、文化の違いに困っていたり、そういう方々をサポートできると確信して始めた

日本語講師:
ステイシーさん、ナンバーワンを読んでください

ウクライナから避難してきた・アナスタシアさん:
きのうは、いいてんきでした

ウクライナから避難してきた・オレナさん:
京都旅行はどうでしたか

熱心に日本語を勉強している。

ウクライナから避難してきた・オレナさん:
日本語を勉強します。おもしろいです。むずかしいです。うれしいです

新しい取り組みも始まった。

ウクライナの首都キーウから避難してきたオレナさんが先生となり、ウクライナ語教室が開かれることになったのだ。

サンフレンズ・杉田邦昭代表:
自分の命を守るためにこの国に来て、身内はいるけれど友達がたくさんいるわけではない。日本語の教育と並行してウクライナのみなさんが安心できる場として、コミュニティとして継続していきたい

支援の輪が広がる一方で、いまもウクライナの各地で激しい戦闘が続いている。

ロシア・プーチン大統領:
一歩一歩慎重かつ着実に目標を達成していく

ロシアのプーチン大統領は2月21日、ウクライナ侵攻後初めて行った年次教書演説で軍事侵攻を正当化し、最後までやり遂げる決意を示した。

戦闘の前線から約10km離れたザポリージャ市から避難したミハイロさんとマリアさん。

複雑な思いを打ち明けてくれた。

マリアさん:
戦争が始まった当初と同じように今もつらいです。毎日ニュースを読んでウクライナに残った家族を心配しています

ミハイロさん:
戦争状態でミサイルが飛んでいる間は日本にいたいと思っています

日本での生活について、どう感じているのだろうか。

アナスタシアさん:
日本の新しい文化や言語に少しずつ慣れてきました。いまは日々楽しく生活しています

オレナさん:
札幌はきれいな街で大好きになりました。日本語を勉強できてうれしいです。友だちと一緒で楽しいです

ウクライナへの軍事侵攻が始まって1年。市民団体による抗議活動が今も続いている。

友人と笑い合う、当たり前の生活を送れる居場所づくりが広がっている。