驚くようなスピードで髪の毛が抜けていく…。

6月4日(木)放送の『直撃!シンソウ坂上』(フジテレビ系)では、アイドルを襲った病についてその恐怖と苦悩の闘病生活に迫った。

最初の診断は「原因不明の円形脱毛症」

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アイドルグループ・エレクトリックリボンで現役アイドルとして活躍中のpippi(ぴっぴ)さん。ある病で、全身の毛が抜けてしまったという。

ありのままの姿を見てほしいと、ウイッグを外してインタビューに応じてくれた。

彼女の体に異変が起きたのは、2017年11月。朝、身支度をしていたときに、500円玉くらいの範囲で髪が薄くなっているのを見つけたという。

その時は「勝手に治るだろう…」とあまり気にしなかったpippiさん。「今までアイドル活動を続けていて、ツインテールの髪形をずっとしていたんです。高めのツインテールだとどうしても引っ張っちゃう。『やり過ぎかな?』とあまり気にしなかったんです。そしたら次は、左耳の後ろにまた同じような円形脱毛症の症状が出始めて。ちょっと異変を感じました」と振り返る。

近所の皮膚科で診てもらうと、「原因不明の円形脱毛症」と言われたというが、pippiさんは「自分ではあまりストレスを感じる性格ではないと思っていたんですけど、結構忙しかったので、忙しすぎたのかな…と思いました」と語る。

実はpippiさんは、子どもの頃にも円形脱毛症になったことがあり、その時は3ヵ月で治っていたため、この時はまだ軽く考えていたという。

しかし、処方された薬を塗り続けたが効果はなく、症状はますます悪化していく。それでも円形脱毛を隠しながらライブに出ていたが、4ヵ月経った頃には、後頭部にも脱毛斑が発生した。

日増しに広がっていく脱毛にpippiさんは「不安なところもあったんですけど、パッと見は髪の毛もあるし、何とかなるかなって。ちょっと心の片隅でそう思いつつ、でもマズイかもしれないという気持ちと半々ですよね」と当時の心境を明かした。

頭を触るだけで髪の毛が抜けていく…

一向に良くならない彼女に、医師は液体窒素治療を提案した。

円形脱毛症は本来、病原体と闘う免疫細胞の働きに異常が生じ、毛を作り出す毛包を攻撃してしまうことで起こる自己免疫疾患と考えられている。

そこで脱毛箇所にマイナス196℃の液体窒素を吹き付け、その刺激で円形脱毛を改善させようという治療を行うことに。しかし、治療の効果は表れず、脱毛斑は広がるばかり。

ウイッグや帽子で隠して仕事は続けていたが、pippiさんの中では「もう治らないのではないか」という不安が頭をよぎり始める。

「ちょっと怖くなってきたんです。髪の毛は女の命って言うじゃないですか。大丈夫なのかな、というのはすごく感じました」

そんな恐怖におびえる中、発症から8ヵ月が経ったある日、髪の毛をかき上げたときに、大量の髪の毛が抜けるという衝撃的な出来事が起こる。

当時のことをpippiさんは「思い出したくもないんですけど、髪の毛をすーっととくたびに、手に髪の毛が付く状態になって。髪の毛を流し終わったあとに、排水口が髪の毛でこんもりしているんです。確実に進行しているなと感じました」と明かした。

それ以来、頭を触るだけで大量に髪の毛が抜けるようになり、数日後には、シャワーから戻りタオルを取ると、痛みも感じないまま髪の毛がほとんど抜け落ちてしまうという心を打ち砕くような出来事が起きた。

現実とは思えない自分の姿に、「もう衝撃でした。鏡を見るのも本当にイヤだったし、家から出たくないという気持ちだった。何もかもイヤになって、これから先どうしたらいいんだろうってめちゃくちゃ落ち込みました」とpippiさんは振り返る。

この時期もウイッグで隠し、ステージに立ち続けたが、家に帰れば自分の姿に絶望し、恐怖と不安に押しつぶされそうになったという。

子どもの頃にシグナルが出ていた

なぜ、治療しているのに髪の毛が抜けてしまうのか。

藁にもすがる思いで脱毛症専門の医師がいる大学病院で診てもらうと、pippiさんは「汎発性脱毛症」と診断される。

汎発性脱毛症とは、円形脱毛症の中でも最も重篤な症状で全身の毛が抜け落ちてしまう病気。治療によって完治する人もいれば、全く治らない人もいるという。

汎発性脱毛症の原因についてはなふさ皮膚科・花房火月理事長は、「はっきりした原因は今のところ分かっていないのですが、アトピーになりやすい体質や遺伝的体質が関係しているということが分かっています」と説明。

また花房理事長は、「(pippiさんのように)小さいときに円形脱毛症を発症しているのは、すごくリスクファクター(危険な要素)なんです。将来にわたって再発・重症化リスクが高いと言われています。pippiさんみたいに急速に汎発性脱毛症が進行する人にはなかなか有効な手立てがないのです」と話した。

この病気は軽度の円形脱毛症から進行することが多いのだが、pippiさんの場合は、子どもの頃の症状が兆候だった可能性があるという。

それから、pippiさんにとってつらい闘病生活が始まる。

最もつらかったのは、ステロイドの注射。ステロイドとは、異常をきたした免疫細胞の攻撃を抑える効果が期待できるホルモンの一種。目的は液体窒素治療と同じだが、ステロイド注射でも症状を改善させたケースが報告されている。

通院のたびにステロイド注射を頭に数十ヵ所打ち続けたpippiさんは「頭に注射というだけでもめちゃくちゃ痛い!痛い上に血も出てくる。痛みは治ること前提で我慢できると思っていたんですけど、打つたびにどんどん脱毛が広がり、『大丈夫かな、このまま全部なくなっちゃうんじゃないかな』という気持ちでした」と明かした。

「ツルツルな自分を好きになろう」ついにファンに告白

つらい治療を続けたが目立った効果はなく、発症から9ヵ月で全身の毛が抜け落ちてしまった。

そんな中、故郷でライブが行われたのを機に、pippiさんは両親にその姿を見せる決断をする。あらかじめ電話で病気のことは伝え、心の準備をしてもらっていた。

母親はすぐにpippiさんの現状を受け止めたが、「一人娘の髪の毛が全くなくなり、父親は『もしかして自分の遺伝でそうなったんじゃないのか』とへこんでいました」とpippiさんは明かした。

あまりにも苦しくてつらい闘病の日々だったが、1ヵ月ほどすると心境に変化が生まれ、「もしかしたら治るかもしれないという少しの希望があったのですが、それがパッとなくなったら、逆にツルツルな自分をもっと好きになっていこうと思いました」と、ファンに向けて本当の姿をブログで公開する決断をした。

そして、2019年2月、自身のブログで全身脱毛症であることを告白し、さまざまな反響を呼んだ。

「髪の毛があろうとなかろうと、ぴっぴさんの人柄やステージに立つ姿が好きだよ!」といった応援するファンの声だけでなく、この公表をきっかけにウイッグ会社からのオファーがあり、専属モデルとして契約。オシャレなウイッグを発信するという新たな役割を担うこととなった。

「めちゃくちゃ苦しんでいる人は、本当に苦しんでいると思います。でも、髪の毛がないだけで他に何も変わりはないので、同じ症状の人が生きやすくなったらいいなと思います」

そんな彼女に最近、変化があったといい、「眉頭のところが少し生えてきて、実は頭も分からないかもしれないんですけど、触ってみるとふわーって感覚があるんです。『もしかしたら、もしかするかも!』という気持ちがちょっと芽生えてきました」と笑顔を見せた。

スタジオでは、番組MCの坂上忍が「汎発性脱毛症は難病指定はされていない。ただ、病気の詳細が不明のため、難病に指定し、効果的な治療法を確立すべきだと署名活動が行われている状態。いい治療薬が見つかればいいなと思います」と話した。

(「直撃!シンソウ坂上」毎週木曜 夜9:00~9:54)