鉄道模型の世界に魅了される人々。模型を作る、走らせる、そして「撮る」。ハマる理由は“撮影する楽しさ”にもあった。広島で43年続く鉄道模型ファンの集いを、てっちゃん・野川諭生アナが趣味全開で取材した。

ボッボッ…SLの模型に音と煙が!

月に一度、広島市安佐南区の安東公民館で活動する「広島鉄道模型友の会」。1980年に設立されて以来、会員が入れ替わりながら、今も思い思いに鉄道模型を愛好するグループだ。

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この日は、各会員が作ったモジュールを持ち寄ってつなげ、部屋を一周する大きな鉄道模型のジオラマが完成。車両を走らせたり、写真を撮ったりと、それぞれのメンバーが鉄道模型を楽しんでいた。

ジオラマの鉄橋を渡る模型を撮影するメンバー
ジオラマの鉄橋を渡る模型を撮影するメンバー

そんな中、野川アナが興味を持ったのは…

野川アナ:
お!煙が出ていますよ。汽笛の音も!

煙と音が出る大迫力の鉄道模型は、アメリカの大陸横断鉄道で1940~50年代に活躍した世界最大級の蒸気機関車「ビッグボーイ」。煙の“におい”までするという。

広島鉄道模型友の会・廣澤正道さん:
石炭の香りやコーヒーの香りとか、いろいろ売っているみたいです。模型に入れたオイルが電熱線で温められて煙が出るんですよ。やっぱり蒸気機関車なら、煙とブラストのボッボッボッという音がね

蒸気機関車の模型から石炭の香りが立ち上る
蒸気機関車の模型から石炭の香りが立ち上る

野川アナ:
迫力ある音に気分がかき立てられますね

ゴジラ出現?リアルすぎる鉄道写真

メンバーは、鉄道模型を走らせるだけでなく、その雄姿を写真に納めている。中には、もはや模型とは思えない写真もあった。

鉄道模型の写真パネルを見せてもらう野川アナ(左)
鉄道模型の写真パネルを見せてもらう野川アナ(左)

広島鉄道模型友の会・釋迦郡一正さん:
撮った写真をパネルにして、年に一度、安東公民館のイベントで展示しています。見に来た人は、写真を本物の鉄道だと思い込むようです。これなんか、もう模型だとは思えない

工場の間を走り抜ける鉄道模型の写真
工場の間を走り抜ける鉄道模型の写真

野川アナ:
工場のジオラマも精巧ですし、そこを走り抜ける車両の疾走感…パッと見て模型だとは思わないですね

広島鉄道模型友の会・釋迦郡一正さん:
模型ならではと言いますか、小さな鉄道模型をノートパソコンの前に置いてあおるようにして撮ると…

パソコンの画面の前に鉄道模型を置いて撮影
パソコンの画面の前に鉄道模型を置いて撮影

野川アナ:
おお!本当に鉱山の中を走っているようですね

低い位置からあおるように撮ると、こんな写真に!
低い位置からあおるように撮ると、こんな写真に!

ノートパソコンの画面には山肌を見せた険しい山の写真が映し出されている。その山以外はすべて模型。ところが、それを撮影すると違和感なく一体となり、どこまでが模型か区別がつかないほどである。

広島鉄道模型友の会・釋迦郡一正さん:
ほかにも、鉄道模型を屋外へ持ち出して太陽光の下で撮ると、日の当たり方、電柱などの影の出方が自然でものすごくリアリティーのある写真が撮れます。レールにもこだわって、実際の色に近づけるため銀色のレールを茶色に塗っています。ところが、色を塗るとレールから電車に電気を供給できない。だから電気が供給されるようにちゃんと磨かないとっていうね

屋外の太陽光の下で撮ると自然な影に
屋外の太陽光の下で撮ると自然な影に

野川アナ:
いいですね。こういう写真が撮れると、皆さんがどんどん凝っていくのわかる気がします

広島鉄道模型友の会・釋迦郡一正さん:
楽しいですね。たまには、ちょっと遊び心のある写真も…

その写真には、線路を踏みつぶそうとする巨大な「ゴジラ」の姿が…!まるで昭和のブラウン管で見たような風景が写し出されていた。

野川アナ:
これが現実だったら大変なことですね

一枚の写真に込められた“物語”

これらの写真に触発された野川アナ。目の前のジオラマで鉄道模型を撮影してみることに。ひなびた駅を舞台に、渾身の一枚に挑んだ。

ジオラマの駅と鉄道模型を撮影する野川アナ
ジオラマの駅と鉄道模型を撮影する野川アナ

野川アナ:
うーん…どうすればいいんだろう。もちろん、きれいには撮れるんだけど、何か物語が感じられない

野川アナが思い描く“物語”のために、友の会の皆さんにも協力してもらった。駅の周りにいくつか人形を置いていくと…

野川アナ:
あー、いいですね。さっきと全然違います。女性が駅を見守っている感じを出しましょうか

野川アナが撮影した写真は、グリーンの車両を背景にぼかし入れ、駅舎のとなりに咲くピンクの桜を絡めている。色のコントラストが美しい一枚だ。

野川アナ:
物語が足りないところに人形を置くと、少しずつ景色が変わり始めましたね。なぜ、この人はこの駅に向かっているのだろう。この駅から電車に乗ってどこへ行くのだろう…という物語が生まれました

鉄道模型の世界へ足を踏み入れると、想像はどこまでも広がっていく。それは現実以上に自由な世界なのかもしれない。

老いも若きも模型を作り、走らせ、撮影して…。「広島鉄道模型友の会」はこれからも思い思いのスタイルで鉄道を楽しんでいく。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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