日本一の生産量を誇る広島県の特産品のカキ。これまで規制の影響で実現していなかったヨーロッパへの輸出が2月から始まった。そのターゲットは美食の国、フランスだが、“オール広島“体制で事前に周到なマーケティングが行われていた。果たして勝算は…
美食の国、フランス人シェフの反応は…
フランス人シェフ
レストラン「ア・ラ・マレ」オーナー クリスチャン・ルピュイさん:
Q:どうですか?
セ トレボン(おいしい)
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オランダの卸売業者は、その味を確かめに、はるばる広島までやって来た。
オランダの卸売業者 マリナス・ノーデンボスさん:
美味しい!甘いですね!
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その美味しさをこぞって絶賛。
ヨーロッパの中でも広島県がターゲットにしているのはフランス。
しかし、フランスは世界中からカキが集まる巨大市場。舌の肥えたフランス人を納得させるには、広島のカキの強みをアピールし、他の国のカキとの差別化が必要だ。そのために周到なマーケティングが行われていた。
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ヨーロッパへの初出荷は2月9日。
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広島県は2030年の輸出額の目標を23億円と、2021年の約3倍の輸出を目指している。
ちなみに2021年の輸出額は7.8億円で生産額190億円の4.1%だが、生産額が変わらないと仮定すると、2030年の輸出目標は、生産額の12.1%となる。
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これまでは規制の少ないアジアへの輸出が中心だったが、ヨーロッパの衛生管理基準であるEU HACCPを取得。念願のEU輸出の壁をついに突き破ることができた。
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およそ4億5000万人とされるEUの巨大市場の中で広島県が注目するフランス。カキ消費量世界5位、ヨーロッパ最大のカキ消費国だ。
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さらに、カキの輸入量が世界1位のフランスでは、至るところに海外のカキが並んでいる。
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そんなフランス市場で生き残るためには世界各国との競争が待っている。
輸出業者 クニヒロ(株)事業統括部長・川﨑耕平さん:
自信あります。勝算しかないです
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生食に適した身の厚さで勝負
果たして、他の国のカキとの違いは何なのか?生産者が強みとしているのはその身の厚さ。
ヨーロッパ産のものと比較してもその差は歴然。生食にも適している。
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フランスで活躍している日本人のシェフは、広島県産カキの魅力について…
レストラン「キヨ・アジ」オーナーシェフ・衣川清治さん:
カキに合った出し方があると思うんですよ。例えば、広島のカキを使うのであれば、焼いたり味噌をかけてどて焼きにしたりして、違う食べ方を紹介するのも面白いと思います
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身が大きい広島のカキは加熱調理にも適しているという。また、カキに含まれる栄養価も特徴の一つ。
広島県環境保健協会・和田貴臣課長:
広島は山と海に囲まれており、そういう地形で養殖された広島県産カキは、うまみ成分であるグリシンやグリコーゲンが含まれているという特徴があります
![広島県環境保健協会・和田貴臣課長](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/8/d/700mw/img_8db190e477de4ec80e0e0dabe80f9e2c521762.jpg)
さらに、環境意識の高い人が多いヨーロッパへ輸出するにあたって、大きな強みと言えるのが、環境に配慮した生産方法。SDGsの観点から本来なら捨てられるホタテ貝の貝殻を再利用。
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また、カキの殻は、海のミネラルを豊富に含むため農業用の肥料にも使われている。
![牡蠣殻を砕いて肥料に](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/f/4/700mw/img_f43f8e90b7b19bb8432ce5a0a7437e5b427251.jpg)
冷凍輸出でヨーロッパのカキのオフシーズンも狙う
そして特殊な冷凍保存技術によって、オフシーズンでも新鮮さを失わない。
フランスのバイヤー:
本当に商品として良いと思う。冷凍ということを感じさせない
![フランスのバイヤー](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/7/1/700mw/img_710430b41cf2ef5ce9167c37dba19f58440282.jpg)
輸出業者 クニヒロ・川﨑さん:
まだ冷凍を食べたことがない方がほとんどだと思うんですけど、そんな方々に冷凍のカキを食べてもらう、ファンになっていただいて買ってもらう。そこまでやるのが我々の使命かなと思っています
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ヨーロッパではカキを生で食べるのが一般的。ここにビジネスのチャンスがあるという。
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広島でカキを味わったオランダの卸売業者は…
オランダの卸売業者 マリナス・ノーデンボスさん:
オランダもカキは時期のもの。生のカキが全然手に入らない時期に、これだけの美味しいカキが出せればすごくチャンスだと思う
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実際にカキのオフシーズンにフランスを訪れると・・・
輸出業者 クニヒロ・川﨑さん:
これだけしかカキがないんですね。もうほとんど身が入っていないような状況ですね
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ヨーロッパでは1年中カキを食べることができるが、オフシーズンだと身が痩せているものも多いという。その時期に日本から冷凍のカキを輸出することで、ヨーロッパのマーケットへの浸透を狙う。
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クニヒロ 川﨑さん:
5億人の巨大市場のEUに日本のカキはほとんど知られていない。日本のカキ、広島のカキも素晴らしいぞ、ヨーロッパに負けてないぞと我々が伝道師になって伝えていきたい
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広島が自信をもって世界に送り出すカキ。カキの輸出で、“食”を通じて広島の名がヨーロッパに広まる日は近いのかもしれない。
(テレビ新広島)