ウクライナへの軍事侵攻に世界の注目が集まる中で、関心が薄まりつつあるのが2021年に軍事クーデターが起きたミャンマーだ。沖縄でミャンマー料理店を営む夫婦は、料理を通して関心を持ってもらおうと努力を続けている。

誕生日に僧侶を呼んで祈りを捧げる 

袈裟に身を包んだ「僧侶」に、聞きなれないお経。ここは沖縄本島内にある「ミャンマー寺」と呼ばれる施設だ。

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ミャンマーでは、国民の多くが「仏教」を信仰しているという事で「誕生日」に僧侶を招いて、お祈りを捧げる光景も珍しくはない。

ミャンマー人 カイさん:
なかなか、日本でミャンマーのお坊さん会う機会無いので、特に沖縄。東京にはミャンマーのお寺は4、5か所くらいある。2023年はミャンマーが平和になって、ミャンマー国民が楽しんでいる。喜んでいる。年になって欲しいです。

沖縄で暮らして、16年目になるミャンマー人のカイさん。

この日は、カイさんの誕生日。妻の記念日を祝うため、夫のソウさんがサプライズでミャンマー人の僧侶を招いた。

信仰が深いカイさんにとっては何よりのプレゼントだ。

夫のソウさん:
お誕生日おめでとう

ミャンマー人 カイさん:
ありがとうございます。人生に大きなサプライズ。与えてくれてありがとうございます。これからも人生上手くいくように頑張りましょう

「国際社会の協力が無いと情勢は変わらない」

「留学生」や「技能実習生」など沖縄で暮らすミャンマー人の拠り所のソウさんとカイさん。
ただ、ここ数年は遠く離れた故郷の現状に胸を痛めている。

夫のソウさん:
平和になるまで、皆様のお力、ご協力をお借りしたい。国際社会の協力が無いとミャンマーの情勢は変わりません

2021年にミャンマーで起こった軍事クーデターについて関心を持ってもらおうと開かれた抗議デモ。

沖縄で暮らすミャンマー人でつくる「在沖縄ミャンマー人会」によると、今も現地では民主化を求める市民に対する軍の弾圧が続いている。

しかし、ニュースで報じられることが少ない為、弾圧の実情は伝わりにくいのが現状だ。

通行人からは心無い言葉が浴びせられる場面も見られた。

通行人:
何やっているかわからない。自分の国に帰ってやりなさい!ここでやることではなない!

さらに、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に世界の注目が集まる中、ミャンマーへの関心が薄れていく事にソウさんとカイさんは焦りを募らせている。

避難民を支援するため店の売上金の一部を寄付

夫婦で、きりもりするミャンマー料理店「ロイヤルミャンマー」

「バゾンタミンチョウ」と呼ばれるエビチャーハンや「ミャンマーカレー」など香り豊かで味わい深い料理を求めて多くの客で賑わう。

女性客の方:
おいしいです。優しい味。

女性客の方:
大変な国だってテレビでは知っていたので、凄いなって、感動しかなかった。応援で、ご飯食べに行こうって

クーデターの影響を受けているミャンマー国内の避難民を支援する為、ソウさんとカイさんはお店の売上金の一部を寄付したり、地元で作られた民芸品の輸入・販売を続けている。

夫のソウさん:
(輸入コストが)1700円、販売価格に転化するのは大変。クーデター前は1000円くらいでできた。円安もあるから。

夫のソウさん:
こういう感じで、ミャンマー料理は油を良く使う。今油の値段も以前よりは、かなり値段が上がっていて、これからはちょっと(料理の)値段を見直さないといけないけど

未来の子どもたちが明るくなるために力を貸してほしい

物価や電気料金の値上げなどで、経営も厳しい状況だが、故郷の料理を通して、少しでもミャンマーに関心を持ってもらいたいとの思いはずっと変わらない。

ミャンマー人 カイさん:
私は、日本に来た時(ミャンマーが)軍事政権の時に留学で来ていたので、国へ意見が言えない、今と同じ状況で言いたいことも言えない、自由がない。

夫のソウさん:
未来の子どもたちが、暗いままで生きていかないといけないから、なるべく明るくしたい。明るくするための力を貸してほしい。

手を携えながら、沖縄で生きるミャンマー人の夫婦「ミャンマーを忘れないでほしい」今日も一皿一皿に故郷への思いを込めている。

沖縄テレビ
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