国会の議論は一般人の意識を“超越”?

大家敏志参議院議員:
子育てのための産休・育休がなぜ取りにくいのか。この間にリスキリングによって一定のスキルを身に着けたり、学位を取ったりする方を支援できれば、逆にキャリアアップが可能になることと考えます

1月27日 参院本会議
1月27日 参院本会議
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岸田文雄首相:
育児中など様々な状況においても主体的に取り組む方々をしっかり後押ししてまいります。

1月27日、参議院本会議でのこのやり取りが議論を呼んでいる。果たして産休、育休中に「学び直し」いわゆる「リスキリング」は可能なのか、街の人と専門家に意見を聞いた。

会社員:
Q:学び直しをどう思いますか?
びっくりしました。まさかそんな所に焦点を当てるとは。育休はみなさんが言っているように、ただの休みではないですから。時間的にも都合的にも大半の人は無理なのではないかと思う

夫婦:
Q:学び直しは可能?
夫:
無理ですね。それどころではない感じです

妻:
家族の協力次第か。かなり協力してくれれば自分の時間を作ってできそうな感じだったけど

「人間の体の流れに逆行」薦められない

育休中の「学び直し」について妊婦に寄り添う助産師は
MY助産院・高島麻季助産師:
妊娠・出産・産後というのはホルモンが分泌をしっかりしていくように体が変わってくるし、そのホルモンを出すためには、計算したりとか考えたりとか、人間の体の流れに逆行するようなことをしていくことになるので、私たちはお薦めはしないし、お母さんたちもそういう気持ちになることが少ないのではないかと思う

MY助産院 高島麻季助産師
MY助産院 高島麻季助産師

さらに出産や子育てはそれ自体が「学びの場」との指摘も。
MY助産院・田中美佳助産師:
“学び直し”というが、そもそも産休・育休が何もしてなく休んでいるだけだろうという前提があるから“学び直し”という言葉が出てくるのかなと思う。育児というのは、人としてすごく学ばされることが多いので、すでにそこで十分学んでいる。それも知識を習得するとかではなく、人間味を深めるというところで。それが社会人としてのスキルと同じように評価されることになっていってほしいと思う

“もっと頑張れ”は 「追い込む」ことに

シングルマザーなどから相談を受けることが多い寺西弁護士は「多くの女性を精神的に追い込んでしまう」と指摘する。

和法律事務所・寺西環江弁護士:
私のお客さんは母子家庭かそれに準ずる人が多いので、本当にワンオペでみなさんやっている。自分の時間を作るのがすごく大変だし、しかも本当は休みたい時間を学習に当てるというのは、本当に強者でないとできない。その発想が“強い人ならできる”というところから“できる人がいますよ”となるのは、すごく人を追い詰めてしまうのではないか

和法律事務所 寺西環江弁護士
和法律事務所 寺西環江弁護士

寺西弁護士は一連の少子化対策に疑問を投げかける。
寺西環江弁護士:
育休や産休の政策もそうですが、「女の人、もっと頑張ってください」みたいな感じに見えてしまう。でも頑張っているのです。

寺西環江弁護士:
子育てはすごく大変なので、それを1人ですごく頑張ってやっている人に、もうちょっと頑張れば、お金がもうちょっと稼げるかもしれないから、もうちょっと頑張ってみましょう、という発想なのです。女性が頑張らなければいけない。それはもうやめてほしい。もう頑張っているから。それだと出生率も上がらない。もう頑張っている人にもっと頑張れというわけですから

余裕のある人とシングルマザーのように1人で頑張っている人、一連の少子化対策、子育て支援の軸をどの層に置くべきかは明確なのではないだろうか。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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