米国は、UFO(未確認飛行物体)の目撃が原子爆弾の実験と共に始まったという情報を改めて精査することになった。

米海軍が赤外線カメラで撮影したUFOとみられる飛行物体(U.S. Navy)
米海軍が赤外線カメラで撮影したUFOとみられる飛行物体(U.S. Navy)
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米国防総省の年間予算8580億ドル(約110兆円)を盛り込んだ国防権限法は昨年末バイデン大統領の署名を得て成立したが、それには次のような修正条項が付記されていた。

「国防総省は未確認飛行現象(政府擁護でのUFO)の歴史文書を1945年1月1日に遡って再調査すること」

この修正条項はウイスコンシン州選出の共和党員で軍事委員会の委員のマイク・ギャラガー下院議員が提出したもので、同議員は「これは、我々が知っていることと知らぬことをより包括的に理解するために重要なステップである」と述べている。

マイク・ギャラガー議員(議会HPより)
マイク・ギャラガー議員(議会HPより)

つまり、国防総省はこれまで秘匿されていたUFOに関する情報を精査して議会へ報告することを義務付けたわけだが、その期限を「1945年以来」としたことに大きな意味がある。

米国でのUFOの目撃情報は1947年7月にニューメキシコ州ロズウェル付近で「空飛ぶ円盤が墜落し回収した」と米軍が発表しながら直後に「気象観測用気球だった」と訂正した「ロズウェル事件」が有名で、これが米国でのUFO目撃情報の発端のように言われてきた。

しかし近年、1945年にもやはりニューメキシコ州サンアントニオで UFOが墜落し、軍が機体を回収していたという話が知られてきた。

天文学者ジャック・バレー氏とイタリアのジャーナリストのパオラ・ハリスさんが数年前から現地で関係者のインタビューを行い、その結果をまとめた「トリニティ・最高位に保たれた機密」が一昨年5月に出版され始めて世の注目を集めることになった。

「トリニティ・最高位に保たれた機密」
「トリニティ・最高位に保たれた機密」

この本を紹介した英紙「デイリー・メール」電子版2022年12月29日の記事によればことの次第はこうだ。

UFOが墜落したのは1945年8月16日のことで、目撃者は3人いた。1人は爆撃機のパイロットで、サンアントニオのリオグランデ川沿いの渓谷で無線通信用の塔が大きな衝撃を受けたように折れ曲がり、その近くに卵状の物体が落ちているのを見つけて付近の空港の管制官に報告した。

その際パイロットは卵型の物体の近くで2人の小さな人影も見ていたが、彼らは近くの牧場経営者の息子のホセ・パディラ君(当時9歳)と友人のレメ・バッカ君(当時7歳)だった。

2人はそのことを誰にも話していなかったが、2003年になって地元のジャーナリストに初めて次のように明かした。

「迷い牛を探して渓谷を歩いていると突然大きな音と地響きを感じました。そして谷の下側から煙が上がってきました。ボクらは尾根伝いに降りてゆくと、フットボール競技場ほどの大きさに地面がえぐられたようになっておりその先端に丸い物体がありました。その物体は、母がいつも磨いていた古い鍋のような鈍い金属色でした」

彼らはUFOの乗員も目撃していた。

「奇妙な形の生物が機体の中でうごめいていました。大きな丸い眼をした背丈4フィートほどで針のように痩せていました」

やがて軍隊がやってきて大型トラックが持ち込まれた。

「実験用の気象観測気球が墜落したんだよ」と兵士は説明しその後この問題は現地では忘れ去られることになったが、二人の少年は現場で拾った金属片をその後も密かに持っているという。

この情報が注目されるのは、その現場が1945年7月16日に米国が人類初の核爆発実験「トリニティ実験」を行った実験場に隣接する場所で、その1カ月後にUFOが目撃されたことだ。

バレー氏らがその著書名を「トリニティ」と核実験名にしたのも、核実験が行われたことでUFOが飛来したのではないかということを想定したからに他ならない。

米海軍が赤外線カメラで撮影したUFOとみられる飛行物体(U.S. Navy)
米海軍が赤外線カメラで撮影したUFOとみられる飛行物体(U.S. Navy)

今回の米軍による調査は、UFO現象の解析だけでなくその飛来の謎にまで迫ることが期待されている。

【執筆:ジャーナリスト 木村太郎】
【表紙デザイン:さいとうひさし】

記事 289 木村太郎

理屈は後から考える。それは、やはり民主主義とは思惟の多様性だと思うからです。考え方はいっぱいあった方がいい。違う見方を提示する役割、それが僕がやってきたことで、まだまだ世の中には必要なことなんじゃないかとは思っています。
アメリカ合衆国カリフォルニア州バークレー出身。慶応義塾大学法学部卒業。
NHK記者を経験した後、フリージャーナリストに転身。フジテレビ系ニュース番組「ニュースJAPAN」や「FNNスーパーニュース」のコメンテーターを経て、現在は、フジテレビ系「Mr.サンデー」のコメンテーターを務める。