便乗商法なのか?偶然の一致なのか?

『鬼滅の刃』の刃のマネか、ありふれた模様なのか?

緑と黒の市松模様を使ったグッズが作品の模造品にあたるのか、注目の判決が出た。

『鬼滅の刃』は、大正時代を舞台に、主人公の少年・竈門炭治郎が仲間たちと共に鬼と戦う物語。コミック全23巻の累計発行部数は1億5000万部を超え、アニメや映画も国民的な大ヒットとなり、社会現象を巻き起こした。

主人公が着ている緑と黒の市松模様の羽織など、キャラクターそれぞれを象徴する衣装も人気となったが、『鬼滅の刃』と混同させる商品を販売したとして、雑貨輸入販売会社とその社長が、不正競争防止法違反に問われていた。

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実際に販売していた商品は、緑と黒の市松模様のパーカーや、ピンク模様のリュックサック、「滅」という文字が描かれたタオルなど、約800点。

これらの商品を2020年から2021年まで販売し、16億円以上を売り上げたと見られている。

裁判の争点となったのは、こうしたグッズが『鬼滅の刃』の模倣品に当たるかどうかの線引き。

検察側は「漫画やアニメの大ヒットで、模様を見ただけで一定数の消費者が『鬼滅の刃』を連想する状況だった」と主張。

一方、弁護側は「模様だけで『鬼滅の刃』と認識するのは困難」と反論しており、雑貨輸入販売会社も「ありふれた模様だ」と無罪を主張していた。

注目の判決とその理由は?

16日に出た判決は、雑貨輸入販売会社の社長に懲役2年・執行猶予5年・罰金300万円の有罪判決。また、会社の方にも罰金500万円が言い渡された。

注目の判決理由は「人気に便乗し、売り上げを伸ばそうとする巧妙かつ狡猾な手口」とした上で、「特定の色や特定の柄、無数の選択肢が存在するところを、意図的に選択しなければ起こり得ない」というものだった。

明治大学・齋藤孝教授:
見る限り、明らかに意図がありますよね。明確な意図があるという判決だと思うんですけれども、問題は抑止力になるかどうかだと思うんですよね。罰金は当然出るでしょうけれども、儲けも大きいというところで、この判決が抑止力につながっていってくれるといいなと思います。

宮司愛海アナウンサー:
これだけ人気の作品ですから、そこに便乗してビジネスをしようとしている人たちは実際にいるわけですから…

明治大学・齋藤孝教授:
ちゃんと判決が出ることで、やっぱり止まっていくこともありますし…「滅」とかあり得ないでしょう。

宮司愛海アナウンサー:
やはりどうしても作品を想起させるような、あえてそうさせているような印象を受けざるを得ないと思います。判決が出ましたけれども、この判決が今後どのような影響を及ぼしていくのか、注目したいと思います。

(「イット!」12月16日放送分より)