札幌市が建設を予定している「新月寒体育館」。

整備費約400億円が見込まれる計画に、市民からは懸念の声が上がっている。

札幌市の秋元克広市長は会見で「市民に説明をしていく」と述べた。

老朽化が進む月寒体育館

1972年の札幌冬季五輪アイスホッケー会場として使われた、札幌市豊平区の月寒体育館。

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現在はスケートなどの練習場として市民に開放されているが、老朽化が進んでいる。

体育館の屋根は断熱材のようなものがむき出しになり、粘着テープでとめられていた。

部活動で利用する高校生は、

「夏場になると外の空気が入ってくる。この施設は長い間使われていて、老朽化が進み氷が解けやすくなっている」(月寒体育館を利用する高校生)

2030年冬季五輪招致見据え 建設を計画

札幌市は2030年の冬季オリンピック・パラリンピック招致を目指し、月寒体育館の後継施設の建設を計画していた。

札幌ドームに隣接した国有地も候補地だったが、見通しが不透明なため札幌ドームの敷地内を検討するとしている。

約400億円にのぼる整備費

1400台以上収用できる駐車場に、多目的アリーナと通年型リンクを建設。整備費は約400億円を見込んでいる。

新施設は、プロバスケットボールBリーグ「レバンガ北海道」の新たな本拠地とすることも想定されている。

レバンガ北海道の社長は。

「関係各所の協力をいただきながら、検討しつつ進めていければいい」(レバンガ北海道 折茂武彦社長)

しかし、新たなスポーツ施設を建設することに慎重な声も。

未だ外部からの申し込みがない「新モード」

北海道日本ハムファイターズの本拠地移転後、札幌ドームは苦境に立たされている。

アリーナを暗幕で仕切り、利用料金を下げて中小規模のイベントにも対応する「新モード」は、いまだ外部からの申し込みがない。

経営の黒字化に課題が多い中で、約400億円をかけた新施設建設計画に札幌ドームの利用者からは懸念の声も上がっていた。

「早く札幌ドームを壊した方がいいと思う。維持費がかかる。今まで通りの経営では維持できない」(札幌ドーム利用者)

「札幌市としてはこのままだと、札幌ドームが無駄になってしまう。何か使えた方がいい。ここはもったいないと思う」(札幌ドーム利用者)

秋元市長「市民に説明をしていく」

札幌ドームの黒字化という課題を抱えながらの新月寒体育館建設について、秋元市長は10月3日の会見で「体育館の整備は、札幌ドームの赤字とは別。老朽化施設をどう更新していくかということ」と述べた。

懸念の声に対しては、

「施設更新は当然議会でも議論していく。住民の負担がどうなっていくのかは月寒体育館だけではなく、いろいろな施設で出てくる。検討の進捗を市民や議会に説明をし、議論していくことになる」(秋元札幌市長)

札幌市は五輪招致が実現しない場合でも2026年度に着工し、2028年度までの完成を目指すとしている。

北海道文化放送
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