ここでしか体験できない楽しみを集めた、東京駅にある「おかしランド」がリニューアルした。

すべての常設店舗にライブキッチン  有名メーカーが仕掛ける"特別体験"

東京駅の地下に並ぶ、お菓子メーカーのアンテナショップ「東京おかしランド」が、15日、リニューアルオープンした。

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施設に入る常設の店舗にはライブキッチンを導入し、ここでしか味わえない体験を提供する。

新たに仲間入りした亀田製菓の店舗「カメダセイカ」では、通常の3倍のパウダーを振りかけた作りたてのハッピーターン「出来たてハッピーターン パウダーマニア(税込み540円)」や、削りたての鰹節をトッピングした、揚げたての柿の種「亀田の柿の種 揚げ種 追いがけ醤油味~花かつお盛り~(税込み540円)」を販売する。

記者も、出来立てのハッピーターンを試食。

麻生小百合 記者:
ほんのり温かくて甘じょっぱさも濃厚で、味が濃いものが好きな人にとってはやみつきになりそうです。

亀田製菓 事業開発部・田口謙一 部長:
米菓というとどうしても、おせんべいとか、お年寄りのおやつというイメージがあるが、もっと幅広い若い方にも楽しんでもらいたい。ここでしか食べられない楽しさを表現したい。

一方、江崎グリコは初のアーモンド専門店「Glico ALMOND DAYS」をオープン。こだわりのアーモンドや、できたてのアーモンドミルク「アーモンドミルクオリジン(税込み390円~)」を提供。
飲み比べしてみると・・

麻生小百合 記者:
カリフォルニア産はまろやかで優しい味なのに対し、スペイン産は風味の強いはっきりした味。

実は、日本にアーモンドの存在を広めたといわれるグリコ。長年研究してきたアーモンドを体験してもらい、新たな食文化として根付かせたいと語る。

江崎グリコ 健康事業マーケティング部・江川直さん:
お米でもいろんな品種があるが、(アーモンドを)当たり前のように日常に食べてもらうような姿を作ろうと思うと、品種や素材の違い・おいしさの出し方の違いをどんどん広げていくことが、非常に食文化として大事だと思っている。
東京駅の八重洲近辺で務めている方々に、毎日使っていただけるような店にしたい。

少子化&売り場減…菓子メーカーの"ブランドのファン化促進"で最善の一手

「Live News α」では、流通の現場で今なにが起きているのかをウォッチしている、マーケティングアナリストの渡辺広明(わたなべ ひろあき)さんに話を聞いた。

小澤陽子キャスター:
リニューアルされた「おかしランド」、いかがですか?

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
今回の試みは「天の時」「地の利」「人の和」という、ビジネスを成長させるために必要な3つの要素をおさえている取り組みのように思う。

まず「天の時」。これはタイミングのこと。
行動制限のない年末年始やインバウンドの復活など、東京駅の利用者増が見込まれるベストのタイミングでのお披露目となっている。

そして「地の利」は場所・立地のことです。
東京駅は日本屈指のターミナル駅であり、様々な新幹線の始発や終点の駅でもある。なので日本各地から様々な人々が訪れる東京駅は、リアルなお客様との新規の接点としては、これ以上、いい場所はない。

さらに「人の和」。これは、誰もが知っているお菓子のナショナルブランド各社が協力していること。今回の試みは、業界が力を合わせて逆風をはねかえそうとしているようにも見える。

小澤陽子キャスター:
お菓子業界に吹く逆風とは、どういうことでしょうか?

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
まず、子どもの数が減っている。それに加え今、大手コンビニのお菓子売場は、自社で展開しているプライベートブランドが多くを占めるようになった。なのでお客様がナショナルブランドのお菓子を手にする場所が著しく減っている。お菓子の新規ブランドは、グミなどを除いては、かつてのようにひんぱんにローンチされなくなった。

今回の「おかしランド」のリニューアルでは 「出来たてのハッピーターン」の提供など 既存商品の魅力の再発見につながる、ここでしか体験できない仕掛けが工夫されている。
これはブランドのファン化を促進するためには、いま考えられる最善の一つの手のように思う。

小澤陽子キャスター:
リニューアルした「おかしランド」は、日本を訪れた外国人観光客も喜びそうですよね。

マーケティングアナリスト・渡辺広明さん:
まさにそれが、今回の試みのポイント。
日本人の客には定番商品の魅力を再発見する場所になる一方、インバウンド客には新しい味との出会いの場所にする必要がある。
そして帰国後には、現地の日系のスーパーなどで日本で食べた味を求めて、再び商品を手に取る、そんな展開が起きることを期待したい。

小澤陽子キャスター:
実は私、仕事の合間に食べるお菓子を選んでいる時間が、とても好きなんです。働く皆さんの中で、こういう方、多いのではないでしょうか?
忙しい日常の中で、ささやかな楽しみになっているお菓子が「出来たて」や、「違う味付け」など新たな魅力に出会える、この「おかしランド」。確かに、足を運んでみたくなりました。

(「Live News α」2022年12月14日放送分より)

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