カギをなくして部屋に入れない、番号が分からず金庫が開かない…。

誰にでも起こりうるカギのトラブル。その現場に駆けつけるのが、カギ開け職人だ。

22年間使っていないアパート カギは意外な場所に

この日入った依頼は…。

カギ開け職人・金城甫さん 依頼内容は「自宅付近の玄関解錠をしてほしい」
カギ開け職人・金城甫さん 依頼内容は「自宅付近の玄関解錠をしてほしい」
この記事の画像(36枚)

カギ開け職人・金城甫さん:
ご自宅付近の玄関解錠をしてほしいということで。

向かったのは、東京・北区にある住宅街。依頼主は70代の夫婦だ。話を聞くと、妻の明子さん(仮名)が…。

依頼主は70代の夫婦
依頼主は70代の夫婦

妻:
変な案件で、すごく困ってるんです。

“変な案件”とは一体?

妻:
アパートが(中に)10軒あるんですけど、カギがないんですよ。

10部屋あるアパートの出入り口のカギを紛失(東京・北区)
10部屋あるアパートの出入り口のカギを紛失(東京・北区)

紛失したというのは、10部屋あるアパートの出入り口のカギ。このアパートは両親が所有していたもので、明子さんも45年前までここで生活していたという。

思い出の場所だが、両親が亡くなり維持費もかさむため、売りに出そうとしていた。ところが…。

妻・明子さんの両親が所有していた住宅 維持費もかさむため売りに出そうとしていた
妻・明子さんの両親が所有していた住宅 維持費もかさむため売りに出そうとしていた

夫:
見つけられない。

妻:
夫がね、3回も4回も探したんだけど。

夫:
もう全部見たんだけど、カギ。

扉横にあるもう1つの扉 その中には工具が入っていて…
扉横にあるもう1つの扉 その中には工具が入っていて…

実に22年間、開かずのアパートと化していた。開かずの扉の横にはもう1つ扉があり、開けてみると工具が入っていた。その中に…。

金城甫さん:
あっ!

カギ開け職人が何かを見つけた。

工具入れでカギを発見 アパートの扉に差し込んでみる
工具入れでカギを発見 アパートの扉に差し込んでみる

金城甫さん:
これが、ここに入ってるんですが。

夫婦:
あー!あったんだ。

手にとったのは、何かのカギ。まさかこのカギが?
カギ開け職人の金城さんが、差し込んで回すと…。

玄関扉の解錠に成功 「あー!」と声を上げよろこぶ夫婦
玄関扉の解錠に成功 「あー!」と声を上げよろこぶ夫婦

夫婦:
あーー!!

夫:
気づかなかった、それ。

妻:
あなた何回も見たのにねー。開いたよ、すごい。

22年ぶりにアパートの中へ
22年ぶりにアパートの中へ

思わぬ形で22年ぶりに開いた「開かずの扉」。無事にアパートの中へ入れたが、ここでも妻・明子さんが…。

妻:
ここのカギは…。

玄関を入ってすぐ、右手の部屋にもカギがかかっていた
玄関を入ってすぐ、右手の部屋にもカギがかかっていた

夫:
それは、あるかもしれない。

妻:
開けてもらわないとダメだから。

“開かずの扉”再び
“開かずの扉”再び

もう1つ、開けてほしかった部屋があった。

かつての勉強部屋 学生時代や父との思い出よみがえる

妻:
ここが私の勉強部屋で、あとは全部空です。

45年前までこのアパートで生活していた明子さん
45年前までこのアパートで生活していた明子さん

小さい頃から明子さんが使っていた勉強部屋だ。この部屋のカギも見つからなかったという。

ここは小さい頃から使っていた勉強部屋 カギは見つからず
ここは小さい頃から使っていた勉強部屋 カギは見つからず

妻:
何が入っているかというと、子供の頃の本ですよね。

学生時代の思い出の品が残されているという。明子さんたちが見守る中、さっそく作業開始。まずは鍵穴の状態を調べる。

鍵穴の状態を調べる「かなり古いので、中が動いているかな…」
鍵穴の状態を調べる「かなり古いので、中が動いているかな…」

妻:
どうですか?

金城甫さん:
かなり古いカギなので、中が動いているかな…。

年代物のカギのため、慎重に構造を確認していく。すると、作業開始からわずか3分で…。

金城甫さん:
開いたかもしれないです。

慎重に構造を確認 作業開始からわずか3分で「開いたかもしれないです」
慎重に構造を確認 作業開始からわずか3分で「開いたかもしれないです」

妻:
えー!すごい!

金城甫さん:
あ、いけましたね。

妻:
すごい、感動。

見事、カギが開いた。

2つ目の扉のカギも開いた
2つ目の扉のカギも開いた

妻:
ネズミとかいたら嫌だな。

金城甫さん:
確認は、お客さまでしていただく形になってます。

妻:
ちょっとやってよ、私怖くて嫌だ。

「ネズミとかいたら嫌だな」という明子さんの代わりに夫が扉を開ける
「ネズミとかいたら嫌だな」という明子さんの代わりに夫が扉を開ける

ということで、代わりに夫が扉を開けることに。そして、明子さんが部屋の中へ。実に45年ぶりに入る、懐かしの部屋。

実に45年ぶりに入る懐かしの部屋
実に45年ぶりに入る懐かしの部屋

妻:
見えます?上から下までの本立て。

明子さんが学生時代に夢中で読んでいた、思い出の本がびっしり
明子さんが学生時代に夢中で読んでいた、思い出の本がびっしり

部屋の中には、明子さんが学生時代に夢中で読んでいた、思い出の本がびっしり。

妻:
これ全部、私の父が作った本立て。

本立ては明子さんのお父さん作 勉強机も当時のまま
本立ては明子さんのお父さん作 勉強机も当時のまま

もちろん勉強机も当時のままだ。

取材スタッフ:
当時のこと覚えていますか?

妻:
覚えてますよ。ここに座って。もうとにかく、もう勉強しかしていなかった。

「ここに座って。もうとにかく、もう勉強しかしていなかった」
「ここに座って。もうとにかく、もう勉強しかしていなかった」

取材スタッフ:
ようやく(整理に)手が付けられる? 

妻:
そうですね。父から与えられた宿題だと思ってたので、肩の荷が下りるというか。

室内のカギの解錠料金は1万1000円「父から与えられた宿題だと思ってたので、肩の荷が下りた」
室内のカギの解錠料金は1万1000円「父から与えられた宿題だと思ってたので、肩の荷が下りた」

室内のカギの解錠、料金は1万1000円だった。

お金や大事な書類が金庫に…3つのダイヤルわからず

様々なカギのトラブルに24時間365日対応する、カギ開け職人。年末年始にかけて増えるというのが「金庫の解錠」だ。

都内の一軒家から「金庫が開かない!」とSOS 依頼主は息子(50代)と母親(80代)
都内の一軒家から「金庫が開かない!」とSOS 依頼主は息子(50代)と母親(80代)

この日も、都内の一軒家から「金庫が開かない!」とSOSが。
依頼主は、50代の息子と80代の母親。問題の金庫は、押し入れの片隅にあった。

亡くなった父親が生前使っていた金庫が開かなくなってしまった
亡くなった父親が生前使っていた金庫が開かなくなってしまった

息子:
開かなくなってしまって、解錠をお願いしました。元々、父が管理していたんですけど、ちょっと亡くなっちゃって。

亡くなった父親が生前使っていたという金庫。4つのダイヤル番号を順番に合わせ、カギを使って開けるタイプだ。カギはあるのだが…。

金庫は4つのダイヤル番号を順番に合わせ、カギを使って開けるタイプ カギはあるが…
金庫は4つのダイヤル番号を順番に合わせ、カギを使って開けるタイプ カギはあるが…

金城甫さん:
ダイヤル番号はご存じですか?

息子:
聞いてたのが1つだけなんですよ。

父親から聞いていたのは、なぜか最後のダイヤル番号だけ。そのため開けることができなくなっていた。気になる金庫の中身は?

父親から聞いていたのは、なぜかダイヤルの最後の番号だけ
父親から聞いていたのは、なぜかダイヤルの最後の番号だけ

息子:
ちょっとお金がそれなりに入っています。

母親:
書類が入ってる。

息子:
母が大事な書類が入っているようで。

金庫にはお金と大事な書類が入っているという
金庫にはお金と大事な書類が入っているという

お金や大事な書類が入っているというため、急いで作業に取りかかる。

金城甫さん:
これから作業に移らせていただきます。

4つあるダイヤル番号のうち、最後の番号はわかっているので、残りの3つを探る。だが、その組み合わせは、なんと100万通り。

残り3つの番号の組み合わせは100万通り 手の感覚と音を頼りに探る
残り3つの番号の組み合わせは100万通り 手の感覚と音を頼りに探る

金城甫さん:
「手探り」と呼ばれている、手の感覚と音だけで開けていく形ですね。

さらに、もう1つのハードルがある。
この金庫は50年間使っていたが、その間、メンテナンスをしていなかったため…。

使っていた50年間、メンテナンスをしていなかったためダイヤルが劣化
使っていた50年間、メンテナンスをしていなかったためダイヤルが劣化

金城甫さん:
中に入っている油のグリスであったり、サビとかで固着して、固まってしまっている。

手探りで探し当てるのは困難 特殊な工具を使い、ダイヤルを動きやすくしていく
手探りで探し当てるのは困難 特殊な工具を使い、ダイヤルを動きやすくしていく

ダイヤルが劣化し、手探りで探し当てるのは難しいという。そこで特殊な工具を使い、ダイヤルを動きやすくしいてく。すると…。

金城甫さん:
結構近いところまでは来ているので…あ、いけますね。

その声を聞き、依頼主が近づいた瞬間。「ガチャン」という音が響いた。

「結構近いところまでは来ている」という声に依頼主が近づいた瞬間、金庫が開いた
「結構近いところまでは来ている」という声に依頼主が近づいた瞬間、金庫が開いた

金城甫さん:
開きました。

息子:
お!すごいですね、早いですね。

なんと、わずか5分ほどで解錠に成功。

わずか5分ほどで解錠に成功 親子もひと安心
わずか5分ほどで解錠に成功 親子もひと安心

息子:
お、開いた。

母親:
よかったー。

さっそく中身を確認する。出てきたものは?

家の登記書類と、母を父と同じお墓へ埋葬してもらうための契約書が出てきた
家の登記書類と、母を父と同じお墓へ埋葬してもらうための契約書が出てきた

息子:
この家の登記に関する書類と…。

母親:
お寺の書類。

取材スタッフ:
お寺というのは?

息子:
父の埋葬されているお寺。そこにも母が入る権利があるので、その書類も入っているんです。

封筒には大事に貯めていた50万円の札束も
封筒には大事に貯めていた50万円の札束も

父親と同じお墓へ埋葬してもらうための契約書だった。さらに封筒からは、大事に貯めていた50万円の札束が出てきた。

「すごく早く開けていただいて助かりました」と母親
「すごく早く開けていただいて助かりました」と母親

母親:
すごく早く開けていただいて助かりました。ありがとうございました。

金庫の解錠、料金は2万9700円だった。

金庫の解錠料金は2万9700円
金庫の解錠料金は2万9700円

気を付けていても、起こってしまうカギのトラブル。日頃の管理が大切だ。

(「イット!」11月22日放送)