カギをなくして部屋に入れない、番号が分からず金庫が開かない…。
誰にでも起こりうるカギのトラブル。その現場に駆けつけるのが、カギ開け職人だ。
22年間使っていないアパート カギは意外な場所に
この日入った依頼は…。

カギ開け職人・金城甫さん:
ご自宅付近の玄関解錠をしてほしいということで。
向かったのは、東京・北区にある住宅街。依頼主は70代の夫婦だ。話を聞くと、妻の明子さん(仮名)が…。

妻:
変な案件で、すごく困ってるんです。
“変な案件”とは一体?
妻:
アパートが(中に)10軒あるんですけど、カギがないんですよ。

紛失したというのは、10部屋あるアパートの出入り口のカギ。このアパートは両親が所有していたもので、明子さんも45年前までここで生活していたという。
思い出の場所だが、両親が亡くなり維持費もかさむため、売りに出そうとしていた。ところが…。

夫:
見つけられない。
妻:
夫がね、3回も4回も探したんだけど。
夫:
もう全部見たんだけど、カギ。

実に22年間、開かずのアパートと化していた。開かずの扉の横にはもう1つ扉があり、開けてみると工具が入っていた。その中に…。
金城甫さん:
あっ!
カギ開け職人が何かを見つけた。

金城甫さん:
これが、ここに入ってるんですが。
夫婦:
あー!あったんだ。
手にとったのは、何かのカギ。まさかこのカギが?
カギ開け職人の金城さんが、差し込んで回すと…。

夫婦:
あーー!!
夫:
気づかなかった、それ。
妻:
あなた何回も見たのにねー。開いたよ、すごい。

思わぬ形で22年ぶりに開いた「開かずの扉」。無事にアパートの中へ入れたが、ここでも妻・明子さんが…。
妻:
ここのカギは…。

夫:
それは、あるかもしれない。
妻:
開けてもらわないとダメだから。

もう1つ、開けてほしかった部屋があった。
かつての勉強部屋 学生時代や父との思い出よみがえる
妻:
ここが私の勉強部屋で、あとは全部空です。

小さい頃から明子さんが使っていた勉強部屋だ。この部屋のカギも見つからなかったという。

妻:
何が入っているかというと、子供の頃の本ですよね。
学生時代の思い出の品が残されているという。明子さんたちが見守る中、さっそく作業開始。まずは鍵穴の状態を調べる。

妻:
どうですか?
金城甫さん:
かなり古いカギなので、中が動いているかな…。
年代物のカギのため、慎重に構造を確認していく。すると、作業開始からわずか3分で…。
金城甫さん:
開いたかもしれないです。

妻:
えー!すごい!
金城甫さん:
あ、いけましたね。
妻:
すごい、感動。
見事、カギが開いた。

妻:
ネズミとかいたら嫌だな。
金城甫さん:
確認は、お客さまでしていただく形になってます。
妻:
ちょっとやってよ、私怖くて嫌だ。

ということで、代わりに夫が扉を開けることに。そして、明子さんが部屋の中へ。実に45年ぶりに入る、懐かしの部屋。

妻:
見えます?上から下までの本立て。

部屋の中には、明子さんが学生時代に夢中で読んでいた、思い出の本がびっしり。
妻:
これ全部、私の父が作った本立て。

もちろん勉強机も当時のままだ。
取材スタッフ:
当時のこと覚えていますか?
妻:
覚えてますよ。ここに座って。もうとにかく、もう勉強しかしていなかった。

取材スタッフ:
ようやく(整理に)手が付けられる?
妻:
そうですね。父から与えられた宿題だと思ってたので、肩の荷が下りるというか。

室内のカギの解錠、料金は1万1000円だった。
お金や大事な書類が金庫に…3つのダイヤルわからず
様々なカギのトラブルに24時間365日対応する、カギ開け職人。年末年始にかけて増えるというのが「金庫の解錠」だ。

この日も、都内の一軒家から「金庫が開かない!」とSOSが。
依頼主は、50代の息子と80代の母親。問題の金庫は、押し入れの片隅にあった。

息子:
開かなくなってしまって、解錠をお願いしました。元々、父が管理していたんですけど、ちょっと亡くなっちゃって。
亡くなった父親が生前使っていたという金庫。4つのダイヤル番号を順番に合わせ、カギを使って開けるタイプだ。カギはあるのだが…。

金城甫さん:
ダイヤル番号はご存じですか?
息子:
聞いてたのが1つだけなんですよ。
父親から聞いていたのは、なぜか最後のダイヤル番号だけ。そのため開けることができなくなっていた。気になる金庫の中身は?

息子:
ちょっとお金がそれなりに入っています。
母親:
書類が入ってる。
息子:
母が大事な書類が入っているようで。

お金や大事な書類が入っているというため、急いで作業に取りかかる。
金城甫さん:
これから作業に移らせていただきます。
4つあるダイヤル番号のうち、最後の番号はわかっているので、残りの3つを探る。だが、その組み合わせは、なんと100万通り。

金城甫さん:
「手探り」と呼ばれている、手の感覚と音だけで開けていく形ですね。
さらに、もう1つのハードルがある。
この金庫は50年間使っていたが、その間、メンテナンスをしていなかったため…。

金城甫さん:
中に入っている油のグリスであったり、サビとかで固着して、固まってしまっている。

ダイヤルが劣化し、手探りで探し当てるのは難しいという。そこで特殊な工具を使い、ダイヤルを動きやすくしいてく。すると…。
金城甫さん:
結構近いところまでは来ているので…あ、いけますね。
その声を聞き、依頼主が近づいた瞬間。「ガチャン」という音が響いた。

金城甫さん:
開きました。
息子:
お!すごいですね、早いですね。
なんと、わずか5分ほどで解錠に成功。

息子:
お、開いた。
母親:
よかったー。
さっそく中身を確認する。出てきたものは?

息子:
この家の登記に関する書類と…。
母親:
お寺の書類。
取材スタッフ:
お寺というのは?
息子:
父の埋葬されているお寺。そこにも母が入る権利があるので、その書類も入っているんです。

父親と同じお墓へ埋葬してもらうための契約書だった。さらに封筒からは、大事に貯めていた50万円の札束が出てきた。

母親:
すごく早く開けていただいて助かりました。ありがとうございました。
金庫の解錠、料金は2万9700円だった。

気を付けていても、起こってしまうカギのトラブル。日頃の管理が大切だ。
(「イット!」11月22日放送)