地球温暖化に歯止めがかからないと、若い世代ほど影響を受けそうだ。静岡市の中高一貫校では、自分たちの未来は自分たちで作ろうと、生徒たちが“脱炭素化”の具体策を考え実践した。駅の近くで弁当を販売したが、なぜこれが二酸化炭素を減らすことになるのだろうか。

列車とバスが無料 「公共交通は二酸化炭素を減らす」

2022年11月19日 静岡市の鉄道会社「静岡鉄道」が、市内を走る列車とバスを終日無料にするイベントを行った。

静岡鉄道 新静岡駅
静岡鉄道 新静岡駅
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地球温暖化などの気候変動から暮らしを守るため、二酸化炭素の排出量が少ない公共交通機関を利用してもらうのが目的だ。
イベントに関連して、同じ日に静岡市内の中学生や高校生も環境について考える取り組みを行った。

静岡サレジオ中高一貫校(清水区)
静岡サレジオ中高一貫校(清水区)

2022年9月 静岡市清水区の静岡サレジオ中高一貫校では、生徒たちが二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする「脱炭素化」の方法を学んでいた。

静岡市担当者「公共交通はCO2を減らす」
静岡市担当者「公共交通はCO2を減らす」

静岡市 環境創造課・原川 麻友 主事
バスと電車という公共交通が、圧倒的にCO2(二酸化炭素)を減らす力があります。みんなが使う鉄道・バスをいま以上に使ってもらうことで、もっと大きくCO2を減らすことができますよね

生徒たちは、車に比べ公共交通機関は、二酸化炭素の排出量が少ないことを学んだ。

“脱炭素化”イベントを話し合う生徒たち
“脱炭素化”イベントを話し合う生徒たち

そして、列車やバスの利用を増やすためにはどうしたらよいのかを考え、11月のイベントで実践することを決めた。

「“地産地消”は地球にやさしい」

生徒
いただきます

地産地消の弁当を試食
地産地消の弁当を試食

2022年11月4日、生徒たちが食べていたのは市内のとんかつ店が作っている弁当だ。県内産の鶏肉や豚肉にこだわり、保存料や着色料を使っていない。

とんかつ うんの・海野 剛靖 店主
店で使うのは静岡産です。近ければ新鮮なものがすぐ入るわけですよね。遠くから来ればその分コストもかかるし、ガソリン代や人の手を借りて高くなるし、地球にやさしくない。地球にやさしくするには「地産地消」

静岡産食材を使った弁当の容器は紙
静岡産食材を使った弁当の容器は紙

中学3年生
地産地消のものを食べた時に、胃もたれしなかった。そこもいいなと思って、おいしかったです

別の生徒
容器が紙でてきていたので、勉強になりました

身近なところで、環境を意識した取り組みが行われていることを知った。

「公共交通」×「地産地消」=「駅の近くで弁当販売」

生徒たちは、この弁当を駅の近くで売ることで、列車の利用を促すとともに環境について考えるきっかけにしてもらおうと考えた。

生徒
一番伝えたいのは“食材のこだわり”。防腐剤、着色料を使っていないのが重要。だからそこをメインにすべき

地産地消をPRするポスターを作成
地産地消をPRするポスターを作成

早速ポスターを作り、弁当の魅力が伝わる言葉やデザインを考えていく。

山田教諭「自分たちの未来は自分たちで作って」
山田教諭「自分たちの未来は自分たちで作って」

静岡市サレジオ中高一貫校・山田 邦彦 教諭
いま考えないと子供たちが将来大人になってから過ごす社会が、もし何か不具合があったら、もうそれでは遅い。「自分たちの未来は自分たちで作るんだ」ということを、この活動を通して考えてもらいたい

中高生の試みにイベント来場者も共感

2022年11月19日、イベント当日を迎えた。

静岡鉄道の駅に隣接するイベント会場
静岡鉄道の駅に隣接するイベント会場

完成したポスターを掲示し、販売する弁当もとんかつ店から到着した。

自作のポスターを店頭に掲示
自作のポスターを店頭に掲示

生徒
(売るのは)すごく大変そうです。でもここまでしっかり準備したので、売りたいです

そして午前10時、いよいよ販売がスタートだ。 生徒たちが来場者に呼び掛ける。

生徒
朝採れの食材を使っています。いらっしゃいませ

生徒
紙の容器を使っています。いらっしゃいませ

生徒たちのブースにも早速 来場者が立ち寄る。

弁当の売れ行きは好調
弁当の売れ行きは好調

来場者
「ぶた弁当」が2つと、「きじ弁当」が1つ

初めての接客に緊張しながらも、手際よく弁当を売っていく。

来場者
どうもありがとう。頑張ってください

生徒
ありがとうございます

生徒たちは接客に精一杯で、環境への取り組みを来場者に伝える余裕はなかったが、思いは伝わっていたようだ。

来場者「自分の子供も環境を大事にしていけたら」
来場者「自分の子供も環境を大事にしていけたら」

来場者
環境を意識して動いているところが、素晴らしいと思います

来場者
私たちもすごくいい刺激になるし、自分の子供も一緒に環境を大事にしていければいいなと思います

環境を守るためにできることから実践を

会場ではほかにも駄菓子をビニールではなく紙製の袋に入れて販売することで、環境負荷を減らそうとする取り組みも行われた。

紙袋に入れて販売
紙袋に入れて販売

生徒
これからどんどん環境のことを伝えながらも、楽しんでもらえるようにしていければいいなと思っています

白鳥さん「自分の街を守るために」
白鳥さん「自分の街を守るために」

静岡サレジオ中学3年・白鳥 佑樹さん
今まで僕たちは「SDGs」を、受動的な学びで受けてきました。今回 能動的に自分たちで企画することで身近な声を聞けて、知らなかったことや新しい発見がありました。(脱炭素化は)この街を守っていくことにつながると思うので、積極的に行動することが大事だと思います

“脱炭素化”イベントに参加する生徒たち
“脱炭素化”イベントに参加する生徒たち

環境を守るためできることを探し、楽しみながら実践した生徒たち。
そんな生徒たちを見習い、将来の暮らしを守るために今 何ができるのか、一人一人が考えていくことが大切といえそうだ。

(テレビ静岡)

テレビ静岡
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