近年、急激なスピードで生息地を拡大させ、数を増やし続ける“ある厄介者”。その被害は住宅街にも広がり、夜になれば「ギャー!」という不気味な鳴き声が響き渡る。

中国や台湾が原産地の動物「キョン」 特定外来生物に指定されている
中国や台湾が原産地の動物「キョン」 特定外来生物に指定されている
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昼夜を問わず、住民を悩ますその厄介物の正体は、中国や台湾が原産地の「キョン」。

体長は約1m 後ろ足で顔を掻くようなしぐさ
体長は約1m 後ろ足で顔を掻くようなしぐさ

体長は約1m。濃い茶色の毛並みに鹿のようなかわいらしい見た目をしているが、特定外来生物に指定されている。

木の陰で休憩、人がいても道路を横断

このキョンが大繁殖しているのが千葉県勝浦市。住宅街を歩いてみると…。

多くの家が柵や網で囲いを作っている(千葉・勝浦市)
多くの家が柵や網で囲いを作っている(千葉・勝浦市)

取材スタッフ:
庭に柵をしているお家が多いですね。こっちも柵をしてありますね。

多くの家が柵や網で囲いを作っている。その理由は。

住民A:
みんなこういうのでも食べていきますよ。今、スイセンを植えているんだけど、そういうのも。嫌いな物ないんじゃないかな。

「嫌いな物ないんじゃないかな」と話す住民 キョンが庭で育てる花や作物を食べてしまう
「嫌いな物ないんじゃないかな」と話す住民 キョンが庭で育てる花や作物を食べてしまう

キョンが庭で育てている花や作物を食べてしまうため、それぞれの家で対策をしているという。

住民A:
厄介者だわね。自分が大切にしているのを食べていくわけだから。

すると、取材を続けていたその時…。

住宅のすぐ近く、木の下でじっと伏せている
住宅のすぐ近く、木の下でじっと伏せている

取材スタッフ:
いたいたいた!木の陰で休んでますね。じっとこちらを見ています。

住宅のすぐ近くの木の下でじっと伏せているキョン。さらに。

人がいても堂々と道路を横断
人がいても堂々と道路を横断

取材スタッフ:
目の前を堂々とキョンが歩いています。後ろには散歩する住民の方もいます。

人がいても堂々と道路を横断。一方でこちらのキョンは…。

取材班の方を見ながら前足を上げ…
取材班の方を見ながら前足を上げ…

取材スタッフ:
前足を地面にたたきつけて、威嚇しているのでしょうか?こっちを気にしていますね。

前足を地面にたたきつけるキョン 威嚇のしぐさか
前足を地面にたたきつけるキョン 威嚇のしぐさか

取材班に威嚇するようなしぐさを見せる。こうした状況は、2021年9月に取材した時にも。

2021年9月取材時も、至る所にキョンの姿があった
2021年9月取材時も、至る所にキョンの姿があった

取材スタッフ:
いたいた!あ、こっち見ましたね。あちらにも2頭います。

(2021年9月取材)
(2021年9月取材)

至る所にキョンがいた。なぜ、住宅街で大量発生しているのか?

対策の柵も飛び越え…7年間で2倍近くに急増

住民B:
勝浦の向こうに公園みたいなのを作って、動物の施設。そこから逃げたらしい。それが増えて。

1980年代、勝浦市のレジャー施設からキョンが脱走し野生化
1980年代、勝浦市のレジャー施設からキョンが脱走し野生化

1980年代に勝浦市のレジャー施設からキョンが脱走し、野生化したという。その後、数は増え続け、2014年度には推定で約3万4700頭だったキョンが、2021年度の調査では約6万7300頭に。7年間で2倍近くに急増している。

2014年度には約3万4700頭だったが、7年間で2倍近くに急増
2014年度には約3万4700頭だったが、7年間で2倍近くに急増

さらに生息域も拡大。勝浦だけにとどまらず、千葉県の半分ほどにまで広がっているという。

生息域は拡大し、千葉県の半分ほどにまで広がる
生息域は拡大し、千葉県の半分ほどにまで広がる

被害が報告されている千葉県いすみ市の住宅街でも…。

千葉県いすみ市の住宅街にも
千葉県いすみ市の住宅街にも

取材スタッフ:
いたいた!家の庭先に2匹。何か、もぐもぐとしています。

口を動かして何かを食べている様子
口を動かして何かを食べている様子

家の庭など、人々の生活エリアに何匹ものキョンが入り込んでいる。勝浦市と同じように柵や網で対策をしている家は多いが、効果はあるのだろうか?

家の庭に侵入 人々の生活エリアで何匹ものキョンを発見
家の庭に侵入 人々の生活エリアで何匹ものキョンを発見

住民C:
1mくらいだと飛び越えられちゃう。だから、ちょっと高めにしないとダメって状態で。

住民「柵を高めにしないと飛び越えられてしまう」
住民「柵を高めにしないと飛び越えられてしまう」

低い柵だと、簡単に飛び越えて家の敷地に入ってくるという。

住民C:
頑丈な網だったらいいんだけど、角で切って入ってきちゃう。お花とか植えてもみんな食べちゃうんで、もうそれの戦いって感じですね。

網を角で切って入ってくることも 「お花とか植えてもみんな食べちゃう」
網を角で切って入ってくることも 「お花とか植えてもみんな食べちゃう」

暗闇に光る目、響く鳴き声 「気味悪い」

そんなキョンが最も活発になるのが、夜だ。午後6時前、車で走っていると…。

キョンが最も活発になるのは夜
キョンが最も活発になるのは夜

取材スタッフ:
いたいたいた!あそこに2匹いますね。

午後6時前、住宅街に現れた2匹のキョン
午後6時前、住宅街に現れた2匹のキョン

車を降りて住宅街を歩いてみる。

家の庭先にも
家の庭先にも

取材スタッフ:
うわっ、びっくりした!いたいた!ここにもいました!家の庭先なんですが、あそこにもいますね。ちょっと歩いただけですぐ出会うくらい数が多いですね。

日中とは比べものにならないほど、たくさんのキョンがいた。

暗闇に光る目 日中よりも多くのキョンがいた
暗闇に光る目 日中よりも多くのキョンがいた

そして、住民を悩ますもう1つの問題が、キョンの鳴き声だ。

取材スタッフ:
すごい鳴き声ですね。ギャー!という音が聞こえます。

「ギャー!」という不気味な鳴き声が響く
「ギャー!」という不気味な鳴き声が響く

夜間に響く不気味な鳴き声。この声は日中にも…。相次ぐ騒音に住民の怒りは募るばかりだ。

住民D:
聞いていて心地良い鳴き声じゃないですね。うるさいですよ。結構静かなところだから、(音が)通りますからね。

口を開け、ギャー!という鳴き声をあげるキョン
口を開け、ギャー!という鳴き声をあげるキョン

住民E:
うるさい!響きわたりますよ、ギャーって感じ。すごく気味悪い。

住民F:
この町、全部来る。ちゃんと(対策)やんない限りは来るから大変だ…。

繁殖力が高く、捕獲はなかなか進んでいない
繁殖力が高く、捕獲はなかなか進んでいない

千葉県では、猟友会に委託しキョンの捕獲などを行っているが、繁殖力の高さなどから、なかなか進んでいないのが現状だ。

(「イット!」11月17日放送)