FIFAワールドカップ、グループリーグ第2戦の対戦国コスタリカを3泊4日の取材で訪れた。
「地球幸福度」第1位の国の魅力に迫った。

町中ではフルーツが売られる光景も
町中ではフルーツが売られる光景も
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サッカーは国技 『キャプテン翼』も人気

コスタリカの人口は約500万人、国土面積は約5万平方キロメートルで、九州と四国を合わせたのと同じぐらいの広さだ。公用語はスペイン語で、中南米の中では治安が良く、比較的物価は高い。

コスタリカの書店に並ぶ『キャプテン翼』
コスタリカの書店に並ぶ『キャプテン翼』

国技のサッカーへの熱は特に高く、日本のキャプテン翼も人気がある。

歩道で売られるユニホーム
歩道で売られるユニホーム

街中の露店では、代表のユニホームのレプリカや、人気選手のカードなどが売られている。

しかし、日本戦の前は、ワールドカップへの国民の関心は薄れていた。初戦をスペインに7-0で大敗していたためだ。町の人に日本戦はどちらが勝つと思うかインタビューをしても、「コスタリカが勝つ」と答えた人は一人もいなかった。日本で同じようなインタビューをした場合、おそらく期待を込めて「日本が勝つ」という人の方が多いのではないだろうか。

コスタリカでは、「プーラビーダ(Pura Vida)」という言葉が、日本語の「こんにちは」のような頻度で挨拶として使われる。この言葉には、「純粋な人生」という意味がある。みんな自分に正直に、そして楽しく生きようとしている。

踊り出す人たち
踊り出す人たち

国民があまり期待をしていなかった日本戦は、現地では朝4時キックオフだった。後半36分に、0-0の均衡を破る得点をコスタリカが決めると、スポーツバーで寝ていた人たちは目を覚まして大熱狂した。そして日本に勝利すると、ラテンの音楽に合わせて踊り、広場に集まって歌った。「プーラビーダ」を感じた瞬間だった。

“2大産業”エコツーリズムとコーヒー豆

コスタリカの主な産業は2つあり、その1つが観光業だ。

環境を守る大切さも伝えるエコツーリズムが人気
環境を守る大切さも伝えるエコツーリズムが人気

コスタリカには、地球上の約5%の種類の動植物が生息していると言われ、豊かな自然と、その中で暮らす動物を見に行くエコツーリズムが人気だ。軍隊を持たず、その費用を自然保護や教育・医療費などに充てている。

動物を保護する施設
動物を保護する施設

訪れたのは、密輸や密猟のためにとらえられた動物や、ケガをした動物たちを保護している施設。

ここでは、ナマケモノや鳥など、さまざまな生き物が保護されていた。

職員に話を聞くと、コスタリカ人は生まれた時から自然とともにいて、それを誇りに思っているそうだ。そして、気候変動や温暖化などで、自然や動物たちが失われていくことを悲しく思っているとも語った。

標高の高い山でコーヒーを栽培 木の中で収穫をする人たち
標高の高い山でコーヒーを栽培 木の中で収穫をする人たち

そして、この国のもう一つの産業がコーヒー豆だ。標高の高い広大な山の斜面を利用し栽培される、豊かな酸味と甘みのコーヒー豆は世界中で愛されている。

体につけたカゴいっぱいに実を集める
体につけたカゴいっぱいに実を集める

収獲時期には、隣国・ニカラグアから多くの人が家族連れでやってきて、農園に住み込みで作業をするという。採った実の重さでそれぞれ収入が変わるため、みんな真剣に豆を集めていた。

実はきれいな赤色になる
実はきれいな赤色になる

農園にはルールがあり、女性が重たいものを運ぶことは禁止され、男性のみが重労働を行う。また、子どもが仕事をすることも禁止されている。

家族で農園に住み込みで収穫をする
家族で農園に住み込みで収穫をする

作業の間、子どもたちは親の姿を眺めたり、遊び程度に実を集めたりしている。

実の中にある白い種がコーヒー豆だ
実の中にある白い種がコーヒー豆だ

収獲される実の中には、白色に光る美しい種が入っている。これを取り出して煎ったものが、コーヒー豆になる。ここで働く人たちは、この種の周りの果実部分をお菓子のように食べる人もいて、すすめられて食べると、さわやかな甘みで美味しかった。

筆者も実の果肉部分を食べてみる 甘みがあっておいしい
筆者も実の果肉部分を食べてみる 甘みがあっておいしい

コスタリカと「地球幸福度」1位

スポーツバーで、コスタリカが得点を決めた時、後ろの方で大きなガッツポーズをしている男性が私たちのカメラの映像に映っていた。

左後ろでガッツポーズをする帽子をかぶった男性がドライバーのレイナルドさん
左後ろでガッツポーズをする帽子をかぶった男性がドライバーのレイナルドさん

取材のときにドライバーをつとめてくれたレイナルドさんだ。

レイナルドさん
レイナルドさん

レイナルドさんはいつもニコニコしていて、穏やかで、そしてよく冗談を言う。

妻のルツさん
妻のルツさん

取材日程の最後に、「自分の一番好きな料理が奥さんの手料理だからぜひ食べに来てほしい」と、自宅に招待してくれた。

レイナルドさんの家は、都心部から車で20分ほどのところにある、長屋づくりの木造二階建て。シャワーは、水しか出ないそうだ。

私たち取材班を自宅に招待してくれたレイナルドさん
私たち取材班を自宅に招待してくれたレイナルドさん

この家には、1階部分にレイナルドさんと妻のルツさん、そしてルツさんの両親も住んでいる。2階部分には、ルツさんの甥と、姪、そしてその子供が住んでいる。つまり4世帯の7人暮らし。1階と2階を行き来して、みんな仲良しだ。

伝統的なお菓子「アロス・コン・レチェ」  お米を牛乳で甘く煮込んだ料理
伝統的なお菓子「アロス・コン・レチェ」  お米を牛乳で甘く煮込んだ料理

ルツさんたちは、お昼ごはんにパスタを作ってくれ、デザートにはお米を牛乳で甘く煮込んだ伝統的なお菓子「アロス・コン・レチェ」も作ってくれた。レーズンが入っていて、シナモンの香りづけがされた美味しい食べ物だった。

レイナルドさんは結婚して40年になるルツさんと携帯電話でやり取りするときに、最後にはいつも「ミ・アモール(私の愛する人)」とメッセージを送っているそうだ。

イギリスのシンクタンクが数年に1度発表し、コスタリカが、毎回1位に輝いているランキングがある。「地球幸福度」というもので、地球を大事にしながら、どれだけ国民が幸せを感じているかなどを点数化しているものだ。(日本は152カ国中57位・2019年ランキング)

短い滞在期間でも、コスタリカが1位に輝くその理由を垣間見ることができた気がする。

(FNNロサンゼルス支局・水本翔)