全国で相次ぐ子どものバス置き去り事件を受けて、広島市の小学生がバス会社でクラクションを鳴らす体験実習を受けた。一方、国は2023年4月から「安全装置」の設置を義務化。再発防止への意識が高まっている。

手の付け根で実感「硬くて押しやすい」

11月24日の朝、加藤雅也アナウンサーが訪れたのは広島市安佐北区のバス会社「広島交通」勝木営業所。大型バスから続々と子どもたちが降りてきた。ここで、ある体験実習が開かれる。

広島交通からリポートする加藤雅也アナウンサー
広島交通からリポートする加藤雅也アナウンサー
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今回参加したのは広島市内にある上安小学校の2年生32人。

広島交通では、これまで近隣の子どもを対象に「バスの乗り方教室」を開いてきた。バス事業はスクールバスとは異なるが、相次ぐ置き去り事件を受け、クラクションを鳴らす体験も新たに取り入れたのだ。

広島交通 運輸課・長戸忠則 次長:
もしかすると、乗務員が見落として誰かを発見できなくなることがあるかもしれない。そういうときに何をするか。これを覚えてください

乗務員:
もっとしっかり!立って!そうそう

手のひらの付け根でクラクションを鳴らす児童
手のひらの付け根でクラクションを鳴らす児童

“バスに取り残された”という想定で、子どもたちが1人ずつ順番にクラクションを鳴らす。

クラクションの音に耳をふさぐ児童たち
クラクションの音に耳をふさぐ児童たち

普段は鳴らす機会がないであろうクラクション。子どもの力で実際に押してみる貴重な体験だ。

乗務員が児童にクラクションの押し方を指導
乗務員が児童にクラクションの押し方を指導

加藤アナ:
どうだった?自分が取り残されたときに、クラクションを押せそう?

小学2年生:
普通の車のクラクションより3倍うるさかった。ここ(手のひらの付け根)は硬いから押しやすい

小学2年生:
音はうるさいけど、自分の命守るの大切だって分かった。取り残されたとき、携帯電話を持っていたらお母さんに連絡して、それでも無理だったらクラクションをビーって鳴らす

義務化で安全装置の普及加速へ

全国で相次ぐ子どものバスへの置き去り。2022年9月に静岡県の認定こども園の送迎バスで3歳の園児が車内に閉じ込められ、重度の熱中症で死亡した。

広島市内でも、11月に特別支援学校の児童1人が一時バスに取り残される事案が発生している。

広島交通によると、3歳児でも1人でバスのクラクションを鳴らすことは可能だという。実際に、岩手県一関市のスクールバスで11月、小学1年生の男子児童がクラクションを鳴らし閉じ込めを知らせた事例もあった。

広島交通 運輸課・長戸忠則 次長:
われわれ事業者側が気をつけなくてはいけないんですが、もしものときはやはり命を守ってほしい。なんとか助かる方法を身につけてほしいという思いで体験してもらっています。子どもたちにやってもらっている以上は、逆に言うと、私たち大人がしっかり対策しなくてはいけないと思っています

人間のやることに”絶対、大丈夫”はない。ソフト面だけでなくハード面の強化も必要である。そこで、再発防止策として注目されているのが「安全装置」。国は、2023年4月から全国の未就学児の送迎バス約4万4000台に安全装置の設置を義務化する緊急対策をまとめた。

センサーで”置き去り”を検知する安全装置(提供:三洋貿易)
センサーで”置き去り”を検知する安全装置(提供:三洋貿易)

この義務に違反した施設は業務停止命令の対象になるとしている。広島県が県内の保育施設の状況を調査している途中だが、今のところ県内の私立幼稚園で安全装置を取り付けた送迎バスは確認されていないという。

もしもの場合に備えてクラクションを鳴らす練習は、すぐにできる対策として広まりつつある。今後、”ヒューマンエラーの砦”である安全装置の普及が加速するかが焦点になりそうだ。

(テレビ新広島)

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