文部科学省の最新の調査によると、全国の小中学校で不登校の児童など長期欠席者数が、過去最多の約24万人超。そんな子どもたちの現状に、奈良県生駒市を拠点とする“子どもと親の居場所づくり”という取り組みがスタートした。

子どもと親の居場所「トーキョーコーヒー」

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奈良県生駒市の近鉄生駒駅から歩いて10分ほどの自然豊かな場所にある古民家。ここがプロジェクトの最初の拠点だ。不登校の子どもやその親も学び合う場所として始まった「トーキョーコーヒー」。コーヒー店ではない。「登校拒否」のアナグラム、言葉遊びから生まれた言葉だ。

2022年8月に生駒市で「トーキョーコーヒー」は始まった。平日の昼間だが、全国から人が集まっていた。虫とりに、川遊び… 子どもたちは自由に過ごしている。見守る親たちも楽しそうだ。

文科省が10月27日に発表した調査では、日本の小中学生の不登校は24万人を超え、過去最多となっている。

トーキョーコーヒー 吉田田タカシ代表:
本当に子どもが安心できる場をつくろうと思ったら、子どものためにつくった施設とかじゃなくて、大人が安心して楽しんでいる場所、それをつくるのが一番いいと思ったから。まず“大人が遊ぼうよ”って

代表の吉田田タカシさんは、スカバンドDOBERMAN(ドーベルマン)のボーカルをしながら、美術教室も営むなど多くの顔を持っている。

トーキョーコーヒーが大切にしているのは、「モノづくりを通して信頼関係を築く」、「子どもが自分らしくいられる場をつくることで学ぶ意欲を引き出す」などだ。この考えは吉田田さんの経験から来ている。

裏山で、吉田田さんがブランコに乗っていると、子どもが「ダダさ~ん」と駆け寄ってきた。吉田田さん、交代しブランコを押してあげる。

丸太を運んでいる親子がいた。小学4年のはるくんと母の絵里奈さん。この日初めて、奈良の活動の場を訪れた。はるくんは、小学1年生の時に「学校が嫌だ」と母親に伝えた。

はるくんの母 絵里奈さん:
最初に言っていたのは、「匂いが嫌や」とか…何それって?「教室の匂いが嫌」とか…「学校嫌や」って言い出したときは、あの子もあんな感じではなかったし、(学校に)行けない自分がいけない子みたいに思っていたから、ほんまに何かもう「死にたい」とかも普通に言っていた時期もあったので。小学1年生で…

はるくん:
(トーキョーコーヒーは) 自由にいれる場所。楽しくなかったことを探す方が難しい

全国に196カ所の拠点

はるくんのお母さんの絵里奈さんも、地元の大阪府茨木市でトーキョーコーヒーを始めた。

参加者たちが活動の場を増やしていくことにより、トーキョーコーヒーはおよそ3カ月で北海道から沖縄まで全国に196カ所にもなった。

大阪市阿倍野区にあるトーキョーコーヒーは、週2回平日に開放されていて、料理やDIYなどを行っている。開放日や何をするのかは場所によってさまざまだ。

この日、阿倍野を訪れた代表の吉田田さん。スタッフと一緒に、ビルの屋上に上がった。

スタッフたちは、自分たちで屋上にウッドデッキを作れないかと、話を始めました。その場その場で、いろんなアイデアが浮かび上がる。

トーキョーコーヒー 吉田田タカシ代表:
下のフロアで話す内容と屋上で話す内容って変わるから、“場所が持っているチカラ”みたいなのがあって、僕らの世代って決められたことだけやる事に慣れすぎていて、自分らで試行錯誤してつくることをやってきていないから。それも一緒に広げたくて、だからめっちゃ自由度が高いトーキョーコーヒーは…

悩む親たちが笑顔になれる場所へと

「トーキョーコーヒー」は自然と、不登校の我が子に悩む親同士が相談しあう場所にもなっている。

不登校の子をもつ母親:
2年生になって娘が(学校に)行かないって言い始めて、私も例のごとく焦り…思いきってトーキョーコーヒー参加しようと思ったらすごく楽になってきた

参加した父親:
活動を知ると、そういう人いっぱいいるんだなって思いますよね

不登校の子をもつ別の母親:
(トーキョーコーヒーを)知る前は親子2人きりだった。1、2カ月前くらいに「ママ良かったな」って。娘から「友達がいっぱいできて良かったな」って言われたんですよ、何か感じているのかなって思った

トーキョーコーヒー 吉田田タカシ代表:
子どもたちの不登校が問題ではなくて、その子どもたちの声を聞いて、大人の無理解が問題なんだってことを理解して、アップデートするっていうことをした先にしか、本当の教育とかはないんじゃないかなと思う。みんなでワイワイ楽しみまくりながら、ちょっとずつ教育について考えていこうよってことをしている

トーキョーコーヒーに参加したはるくん、きょうは得意の工作でコーヒーを販売する屋台を作っていた。コーヒーをいれることが大好きなんだそう。作業中もずっと笑顔で楽しそうに作っている。

完成した屋台の土台を見ながら、親子で会話をしている。はるくんには、学校以外にもたくさんの居場所ができた。

はるくんの母 絵里奈さん:
子どもメインっていうよりも、お母さんが楽しんでいる姿を子どもが見て、初めて「別に自分これでもいい」って思えるような気がしていて。お母さんが沈んでると自分のせいってどこかで思っているし、うちは実際にそうだったんで…。大人が楽しむ、そこに子どもがついてくるっていうそのシステムは、ほんまにすごいなあって思います

 始まったばかりの「トーキョーコーヒー」。大人も子どもも笑顔になれる居場所ができている。

 (関西テレビ「報道ランナー」2022年11月9日放送)