韓国・ソウルの繁華街、梨泰院で150人以上が亡くなった群集事故。特に女性が多く犠牲になっていて、その数は6割以上にのぼっています。
今回の群衆事故では、1平方メートルに10人以上の密度で発生する「群衆雪崩」がおきたとみられています。
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群衆雪崩とは、人が密集して四方八方から複数の圧力が加わっている状態で、少しの隙間ができた瞬間に人が転倒すると、“突っかい棒”を失ったような状態になり、次々と人が覆い被さるように倒れていくものです。
圧死の恐怖…「高密度」かつ「停止」の危険性
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現地メディアは、梨泰院での事故で亡くなったほとんどの人が「圧死」と推定されていると伝えています。人間は、肋骨と肋骨の間の筋肉と横隔膜を動かして呼吸をしますが、強い圧力のため、この「胸郭運動」に必要な空間を確保できずに死亡したのではないかというのです。
群衆事故に詳しい、大阪工業大学の吉村英祐特任教授は、人が密集する危険についてこう話します。
大阪工業大学・吉村英祐 特任教授:
人が多く集まるから危険というわけではなく、人が多い少ないよりも「高密度」状態でかつ「停止している」ということがまず危険です
検証・群衆雪崩が起こりうる密度を再現すると… 身を守る方法は
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では群衆雪崩による圧死から、どのようにして身を守ればよいのでしょうか。
「めざまし8」は、群衆の避難行動に詳しい湘南工科大学・浅野俊幸教授の監修のもと、安全面やコロナ対策に配慮したうえで「群衆雪崩」が起こりうる密度を再現しました。
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1平方メートルに大人の男女10人が立つと、足元はかろうじて収まりはするものの、腰から上、肩などは完全に密着しているように見えます。
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大阪工業大学の吉村特任教授が2003年に行った実験では、1平方メートルに男性14人の密度の再現を行ったところ、幅1mに270キロもの圧力が加わり、約3人に1人が「呼吸困難」になったといいます。
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大阪工業大学・吉村英祐 特任教授:
夏の花火大会を想定していたので、薄着でかつ手ぶらだったんですが、これが冬になると着ぶくれが起きますし、さらに子供さんや女性が入ってくるとより危険な状態になると思います
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梨泰院の事故で亡くなった155人(31日午前11時時点)のうち100人、約6割が女性でした。「群衆雪崩」が起きてしまう密度では、女性は実際にどのような状況に置かれてしまうのでしょうか。
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「めざまし8」は、1平方メートルの場所に10人、その周りに残りの10人が立つという検証を行いました。
![中心に身長159cmの女性が立って検証](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/9/7/700mw/img_97a29d689f7c3aca31bd967d078a1ae8381345.jpg)
中心には身長159cmの女性。女性の目線カメラを見てみると、体は隣や前後に立つ人と接触している状態で、かなりの圧迫感が伝わってきます。
![中心の女性から見ると、かなり圧迫感がある](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/5/d/700mw/img_5d290becf3adf823371c37e57279d71d422278.jpg)
そして、自分より身長が高い人が前にいると、視界が遮られてしまうことも分かります。女性は身動きを取ることができず、周りを見回すのも一苦労という状態に。
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そして、「群衆雪崩」が起きてしまうほど人が密集した状況に遭遇したときに、有効な行動。それは、「胸を守るように腕を組むこと」です。
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先ほどの女性が同じ状態で、腕を胸の前で組むと、体の前方にわずかに空間ができました。
実験を監修した浅野教授は、その効果についてこう話します。
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![腕を組んで、自分の前に少しスペースを作ることが有効](https://fnn.ismcdn.jp/mwimgs/5/8/700mw/img_5847dc66894251f35df28408f983050b346273.jpg)
湘南工科大学・浅野俊幸 教授:
群衆密度が高いと、それぞれ胸が密着するという状況になります。そうすると、強い圧力がかかりますので、非常に危険になると。
可能な場合は手を前に組んで少しのスペースを作ると、“クッション”になるという効果があるかと思います
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さらに、救急医である東京曳舟病院の三浦邦久副院長は「倒れないことが最も大事」とも指摘します。高いヒールの靴や、足下がふらつく“飲酒”をさけ、かばんや服装なども引っかからないようにすることが大切です。
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また、万が一転倒した際には、「あお向け」ではなく「うつぶせ」の姿勢で丸くなり、「おなかと頭をしっかり守ることが大事」だといいます。
パニック起こしかねない“心理的ストレス” 逃れる方法は
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大阪工業大学・吉村英祐 特任教授:
高密度になると、自分で戻ろうと思っても戻れない、すり抜けようと思ってもすり抜けられない、押したくなくても押してしまうと、そういったものによる心理的ストレスが大きいと思います
パニックを引き起こしかねない「心理的ストレス」。吉村特任教授は最後に、このような状態から逃れる方法として以下の「基準」について話してくれました。
大阪工業大学・吉村英祐 特任教授:
こういったイベントでは“密”が急に高まるのではなく、徐々に増えていくため、まだ戻れる密度というものがあります。
それが1平方メートルあたり5人。身近な例として、エレベーターの定員ってありますね、乗りすぎるとブザーが鳴る。あれが大体1平方あたり5~6人になるのですが、そのくらいの密度になったら引き返す勇気も必要だなと。
そこを超えると戻れなくなってしまうので、それを目安にイベントに参加してほしいと思います
(めざまし8 「わかるまで解説」より 11月1日放送)