コロナ禍で宅配サービスを利用する機会が増え、それに伴い、玄関先での対面でのやり取りに不安を覚えている人も少なくないのではないだろうか。特に女性が感じていると思われる、こうした不安を解消してくれそうなアイテムが登場した。

家電や雑貨を企画販売するライソン株式会社(東大阪市)が開発した、「応答くん」だ。

在宅中にインターフォンが鳴った時に、自分の代わりに男性の声で応答してくれる音声ボタンで、11月1日から全国の雑貨ショップ、ECサイトなどで発売される。価格は2200円。

左はインターフォン、右が「応答くん」(提供:ライソン株式会社)
左はインターフォン、右が「応答くん」(提供:ライソン株式会社)
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「応答くん」の使い方は簡単。インターフォン越しにボタンを押すと、男性の声が出て、インターフォン越しの相手と応答するのだ。

利用する場面は、一人暮らしの女性や高齢者世帯、子どもが留守番する時などを想定していて、たとえば、宅配サービスが来た時は「玄関の前に置いておいてください」「ありがとうございます」といった音声を出し、相手に伝えることができる。

出すことができる音声の種類は以下の16種類だ。

<1>はい
<2>違います
<3>ありがとうございます
<4>いらないです
<5>お願いします
<6>失礼します
<7>玄関の前に置いておいてください
<8>宅配ボックスに入れておいてください
<9>何の用ですか?
<10>迷惑なんで
<11>今、忙しいんで
<12>もう1回言ってもらえますか?
<13>帰ってください
<14>もう電話してこないでください
<15>これ以上来たら警察呼びますよ
<16>ピンポーン(ピンポン音)

このうち、ピンポン音については、「迷惑電話がかかってきている時に鳴らせば、『玄関にお客さんが来たようなので』などと言って電話を切ることができる」としている。

「宅配サービスが来た時」の使い方

たしかに、これだけのバリエーションがあれば、いろいろな場面に対応できそうだ。では、この16種類の音声をどのように使い分ければいいのか? ライソン株式会社の担当者に“場面ごとの使い方”を聞いた。


――「応答くん」を開発した、きっかけは?

新型コロナウイルスで、出前館やウーバーイーツ、Amazonなどの宅配サービスやEC(=電子商取引)を使う機会が増えて、これらは非常に便利なのですが、当社のある女性社員が「インターフォンで答えるときに、女性の一人暮らしだと知られたくない」と話したのがきっかけです。


――「応答くん」の音声だけでインターフォン越しでのやりとりを完結するイメージなの?それとも、家の中に自分以外の男性の住人がいるようにみせて、対応するイメージ?

両方の使い方があると思います。最初から「応答くん」の音声だけで対応しても良いですし、途中から「迷惑なんで」「帰ってください」という音声を出して、対応しても大丈夫です。


――「宅配サービスが来た時」は、どのように使えばいい?

「宅配ボックスに入れておいてください」または「玄関の前に置いておいてください」という音声を出して、宅配ボックスや置き配をお願いし、「ありがとうございます」とお礼を伝えて、インターフォンを切ってください。


――「玄関の前に置いておいてください」「ありがとうございます」で対応した後、宅配業者から予想外の返事がかえってきたときには、どのように対応すればいい?

一度、男性の声で答えていれば、少なくとも、“女性の一人暮らし”と思われる可能性は低くなっています。予想外の返事の内容にもよりますが、宅配に関する質問の場合は、「応答くん」の音声は、お父さんか彼氏という体にして、ご自身で応答をすれば良いと思います。

女性が「応答くん」を使う様子(提供:ライソン株式会社)
女性が「応答くん」を使う様子(提供:ライソン株式会社)

――「知らない人が訪問した時」は、どのように使えばいい?

まずは「何の用ですか?」という音声を出し、要件を聞きます。その後は、内容に応じて対応が変わってくるのですが、たとえば、「いらないです」という音声を出す。

チラシや冊子を見てほしいという場合は「玄関の前に置いておいてください」という音声を出して伝えたり、応答をやめたい時は「今、忙しいんで」「帰ってください」という音声を出して、断ることができます。


――「宅配サービスが来た時」「知らない人が訪問した時」以外では、どのような場面が想定される?

訪問販売やさまざまな勧誘を断り切れない人、ストーカー対策で男性が家に住んでいる設定による抑止力も想定しております。

また、子どもの留守時に宅配のお届けものがある時や高齢者の一人暮らしの場合、息子がいる設定で応答することも想定しております。

電話の場合は高齢者にかかってきた詐欺や勧誘の電話対応も想定しております。

「勧誘の電話がかかってきた時」の使い方

――「勧誘の電話がかかってきた時」は、どのように使えばいい?

勧誘の電話には「いらないです」「迷惑です」「今、忙しいんで」、しつこい場合は「もう電話してこないでください」と伝えることができます。

また、家のチャイムのような「ピンポン音」があるので、「ピンポーン」と鳴らして、「玄関にお客さんが来たようなので失礼します」と伝えて、電話を切るという対応も可能です。

勧誘の電話に「応答くん」で対応(提供:ライソン株式会社)
勧誘の電話に「応答くん」で対応(提供:ライソン株式会社)

――一人暮らしの女性が勧誘の電話に出てしまった場合、その後、どのような音声を出せばいい?

「お父さんに代わります」もしくは「彼に代わります」と伝えてから、「応答くん」を使うと良いと思います。

「応答くん」の声は利用者の“彼氏・夫・息子”という設定

――開発するうえで苦労したポイントは?

苦労したポイントは2つあります。

1つ目は「ボタンの表記」です。「応答くん」のボタンには長いセリフを全て印刷できないので、5文字以内で、どのボタンを押せば、どの音声が出てくるか、一目で分かりやすくするため、表記を工夫しました。

たとえば、「もう電話してこないでください」のボタンは「TEL×」としました。

「応答くん」のボタン(提供:ライソン株式会社)
「応答くん」のボタン(提供:ライソン株式会社)

2つ目は「話すトーン」です。音声は、当社のある男性社員の声を録音しているのですが、“話すトーン”が、迷惑電話や迷惑訪問の撃退に向いているか、宅配の方や営業の方に対しては失礼にならないかなど、いろんな視点から検証して、何度も音声を撮り直しました。


――「応答くん」の声は何歳ぐらいの男性をイメージした?

「応答くん」の利用者像を「一人暮らしの女性(20~40代)」「一人で留守番をさせる子どもを持つ親」「一人暮らしの高齢者」と想定しております。

想定している利用者の“彼氏・夫・息子”という設定ですので、20代~40代の範囲の男性の声で、なおかつ、迷惑な訪問や電話を撃退するのに説得力のある声質の持ち主の声を、今回は採用しております。


――「応答くん」が出せる音声16種類はどのように決めた?

企画担当者が、社内の女性社員や営業部など、いろんな社員にどんなボイスがあると良いかをヒアリングし、出前や宅配、勧誘、不審者、ストーカーなど、いろんなシチュエーションを具体的に思い浮かべながら、16種類の音声を決定いたしました。


――「応答くん」について、どのような声が寄せられている?

「一人暮らしの親戚の女性が心配だから、持たせたい」といった反響や、「子どもの留守番の時に使わせたい」という親御さんの声をいただいております。

「応答くん」(提供:ライソン株式会社)
「応答くん」(提供:ライソン株式会社)

さまざまな場面で対応可能な「応答くん」。玄関先での対面でのやり取りや勧誘の電話に不安を感じている方は、購入を検討してみてはいかがだろうか。

プライムオンライン編集部
プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。