「ウクライナによるロシア国内への脅威が続けば対応は厳しいものになる」
10日、ウクライナ全土への報復爆撃を行ったプーチン大統領。依然、核兵器使用も辞さない構えは崩していません。
こうした状況に、アメリカのバイデン大統領は「このまま事態が推移すれば、我々はキューバ危機以来となる核兵器使用の脅威に直面する」と警告しました。
危機的状況の中、世界が注視しているのが、世界を終わらせるほどの脅威になりうるという開発中のロシアの核兵器…原子力核魚雷 『ポセイドン』
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終末兵器とも呼ばれる最新型の核兵器。水の中を進み、海中で爆発すると放射性物質を含む高さ500mもの津波を発生させ、沿岸部の都市に襲いかかります。
この終末兵器が使用される事態になったらどうなってしまうのか?
「めざまし8」はプーチン大統領研究の第一人者、筑波大学・中村逸郎名誉教授にお話しを伺いました。
“クリミア橋爆破”から見えてくるプーチン大統領の危機感
きっかけは、10月8日。ロシア本島とクリミア半島をつなぐ「クリミア橋」の爆発でした。10日のロシア安全保障会議でプーチン大統領は、この爆破をウクライナによるテロと断定し「脅威が続けば対応は厳しいものになる」と発言しました。
中村氏は、「今後も報復の連鎖は続き、核使用の可能性が高まった」と指摘します。
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筑波大学・中村逸郎名誉教授:
実はこのクリミア橋というのは、22年続いているプーチン政権で最大の偉業なんですね。2018年の5月に開通したときに、プーチン大統領自らトラックを運転して開通式をやったんです。そのときに、シートベルトをしていなかったんです。それでロシア国民の中から、あれは交通違反だという指摘が上がったんですね。それに対してペスコフ大統領報道官は「プーチン大統領が通った後に公道になるから、これは交通違反ではない」と言ったんです。まさに、プーチン大統領が一番誇りに思っている“偉業”なんです。
しかし、ロシア側がウクライナを攻撃する口実にするために、橋への攻撃を自作自演した可能性はないのでしょうか?
筑波大学・中村逸郎名誉教授:
それは違うと思います。やはり今回「橋が落ちる」、あれはある意味で「プーチン政権が崩落した」と重ねることもできますので、橋が落ちてしまったことに関しては、プーチン大統領にとっては大変な危機感を抱いているんです。と同時に、ウクライナが関わったと言うことになれば、大変な復讐心に燃えていると考えられます。
原子核魚雷“ポセイドン”とは?
核兵器使用の緊張が高まる中、海外メディアが注目しているのは、ロシアの原子核魚雷「ポセイドン」です。
水中から沿岸に接近し、海の中で核爆発を起こすことにより、衝撃で高さ500mの津波を発生させるといいます。
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2022年4月にイギリスのジョンソン首相(当時)がキーウを電撃訪問し、ウクライナ支援についての首脳会談を行うなど、ロシアに対して強硬姿勢を示した際、ロシア国営テレビが「ポセイドンは最大100メガトンの核弾頭を搭載」「イギリスの海岸近くでこの魚雷が爆発すれば最大500mの高さの津波がイギリスをのみ込み放射能の砂漠と化すだろう」と警告するなど、すでに“威嚇”としても使用されています。
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さらに10月2日、イタリアの一般紙「ラ・レプブリカ」は「ポセイドン」を積んだ原子力潜水艦が北極圏の基地を出港し、核実験を行う可能性があると報じました。
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また、アメリカのバイデン大統領は6日、「プーチン氏が核を使えば、アルマゲドン(世界最終戦争)は避けられない」と発言。
そしてこの「ポセイドン」についてCNNは、2020年11月に当時のアメリカ国務次官補が「米沿岸部の都市に放射能の津波を押し寄せさせる狙いで設計された」と語ったと報じました。
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高さ500mの津波の脅威…どれだけの被害に?
高さ500mの津波とはいったいどれほど恐ろしいものなのか?
ニューヨークが標的にされた場合、建物の大きさと比べると、自由の女神は高さ93m、エンパイアステートビルは443m、これらを優に上回る高さの津波が街を襲うことになります。
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ロシア・科学情報誌によると、平坦な地形の場合、押し寄せた津波が内陸最大500kmの地点まで到達し、首都であるワシントンD.Cやさらにその先まで押し寄せるとも言われています。
標的となった海岸の大部分は数十年間は居住不能に。
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では、「ポセイドン」を迎撃することはできないのでしょうか?
軍事ジャーナリストの井上和彦氏は、「ポセイドン」は水深1000mの深さを時速130kmで進み、原子力推進のため、ほぼ無限と言っても過言ではないほど長大な航続距離を有していることにふれ、射程が限られた通常のミサイルでは迎撃は困難と指摘します。
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井上氏によると、「ポセイドン」は現状まだ実験段階にあるものの、本格的な実験を行うだけで大惨事になりかねないといいます。
対するアメリカは現段階では「ポセイドン」に匹敵する兵器を持っていないため、大きな脅威に。
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プーチン大統領はこの“脅威”を完成させるつもりなのでしょうか?
筑波大学・中村逸郎名誉教授:
完成させるつもりで動いていると思います。実は2019年にプーチン大統領の年次教書の中で初めて“ポセイドン”に触れたんですね。このポセイドンの開発は2015年頃から開発がスタートしたと言われています。それはどのような時期に重なるかというと、国を挙げてロシアがドーピングを行ったということで、欧米から制裁を課せられた。そうした中で、対欧米ということで、ポセイドンを作るという構想ができあがりつつあるということなんですね。ですから、プーチンとすれば最後までやりきるつもりで作っているのだと思います。
(めざまし8 「わかるまで解説」10月11日放送より)