横浜生まれ横浜育ちの男性が心底ほれ込んだ至極のグルメ、それは福井名物「越前おろしそば」。その深い愛から、「おろしそばで福井を盛り上げたい」とあるプロジェクトを立ち上げた。

福井のそばをめぐる仕掛けになるという、このアイデア。実現に向けて動き始めている。

大根おろしとかつお節、冷たいダシの名物そば

神奈川県横浜市出身の笠原翔太さん(33)は、東京都内で太陽光発電関連の会社を経営している。越前おろしそばとの出会いは今から7年前。福井県に本社がある企業に勤めていたため、福井を初めて訪れた際のことだった。

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トリコレイル社長 笠原翔太さん:
笑われるんですけど、おそばを運んできていただくじゃないですか。こんなに香りの良いそばを今まで経験したことがなくて。もう、見る前にわかったんですよ。おいしいっていうのが

越前おろししばとは、冷たいそばに大根おろしとかつお節などをのせ、冷たいダシをかけて食べる福井の名物グルメ。

まさに一目ぼれ。そばの世界に引き込まれ、これまでに福井と東京で45店舗を回った。9月下旬にも1泊2日で福井を訪れ、4店舗でそばを堪能した。

“そば愛”はやがて福井愛へと高じ、神社や寺を参拝した証として受け取る「御朱印」からヒントを得て、あるプロジェクトを思いついた。

店ごとにオリジナルの印を考案 越前和紙も

その名も「御蕎印(ごきょういん)」巡り。「蕎麦」の蕎の字をとった。店ごとに個性的な印を作り、集める楽しみで福井の旅へと誘おうというのが狙いだ。

トリコレイル社長 笠原翔太さん:
例えば、この店は「福の井」という名前にすごく思い入れがあるので、福を湧き出す井戸というイメージ。あとは池田町にある「一福」さん

福田布貴子記者:
一福さんといえば塩ダシ。しかもこれ、越前和紙ですか?手触りがとても良い

また御蕎印帳はそばの特徴などを記入でき、旅日記としても使えるように工夫した。

おろしそばをはじめ福井料理を提供する東京・神楽坂の「九頭龍蕎麦」。店主は福井県勝山市の出身だ。この日は御蕎印のデザインの打ち合わせに訪れた。

トリコレイル社長 笠原翔太さん:
まだ初案ですが、2パターン作らせていただいて

九頭龍蕎麦 原崎衛店主:
なるほどな、いいですね。龍がいいんだな!

トリコレイル社長 笠原翔太さん:
九頭龍っていう名前がそもそも特徴的で、あんまり聞き慣れない名前。だからこそ、覚えてもらいやすいというのもあると思うので

九頭龍蕎麦 原崎衛店主:
記念になるようなものが、しっかりデザインされてあるっていうのは、これはとても素晴らしくて。そばと福井とを強く印象付ける企画として、とても面白いんじゃないかな。自分たちにとっても、地域の宝を見直す良いきっかけになれば

”地域の宝”見直すきっかけに SNSで発信

この店では7~8年前から、ざるそばとおろしそばの注文割合が逆転した。今は8割の客がおろしそばを選ぶ。

常連客:
目に触れる機会が少ないんじゃないかなって思います。食べたらおいしい

初めて食べた客:
今まで食べてきたそばと違うものっていう感じ。きっと出合っていない方も多いと思うんですよね

SNSで福井のPRも始め、プロジェクトを成功させるためにクラウドファンディングも行っている。

トリコレイル社長 笠原翔太さん:
結婚式の料理の最後におろしそばが出てきたり、飲みの最後におろしそばを食べる。文化というか、これってすごい面白いって思うんですよね。御蕎印の企画を通じて、福井県を周遊してもらうっていうことを実現できたらなと

県外の人だからこそわかる、ソウルフードの可能性。「世界一おいしい」と話す笠原さんの取り組みがどのような広がりを見せるのか、注目が集まる。

(福井テレビ)

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