見た目はプラスチックでも土にかえり、海の中でも分解するSDGsな新素材とは。

生分解性ポリマー「Green Planet」

東京・渋谷のホテルの一室でアメニティーとして準備されている茶色い袋。
中に入っていた歯ブラシは2022年から導入した特別なものだという。

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東急ホテルズ 運営統括本部 運営グループ・金子真之部長:
安全で安心、そして環境に良いものを取り入れることでお客さまから選ばれるホテルになることが、我々のあるべき姿ではないか。

歯ブラシの柄の部分に使われているのは、生分解性ポリマー「Green Planet」。

見た目はプラスチックとよく似ているが、原料が100%植物油というだけでなく、一般的な土の中はもちろん海の中でも分解可能な環境にやさしいプラスチックの代替素材。

東急ホテルズ 運営統括本部 運営グループ・金子真之部長:
やはりホテルで一番多く使われるものは歯ブラシになります。その商品が環境に配慮したものになればいいなと願って、今回こういった提案をして作っていただいた。
 

素材を開発した化学メーカー「カネカ」によると、このホテルのように代替素材を求める企業からの声は増えているという。

カネカ Green Planet推進部長・角倉護取締役上級執行役員:
今年になって特に非常に環境意識の高い、いわゆるブランドホルダーの方々から、Green Planetを使いたいという話をいただいておりまして、採用例が急速に増えております。

2022年4月に施行された使い捨てプラスチック製品の削減を目指す法律も追い風となり、空港での買い物袋をはじめ、飲食店のカトラリー、さらには紙パック飲料のストローなど、さまざまな製品への活用が広がっている。

さらに、「カネカ」の取り組みは新製品開発だけにとどまらない。

カネカ Green Planet推進部長・角倉護取締役上級執行役員:
数千トン規模の廃食油を調達してきて、それを原料にGreen Planetをつくることを開始します。
 

2022年の秋ごろには調理で使用した廃食油からグリーンプラネットのごみ袋を作る取り組みを本格化するという。

将来的にはさらに袋で回収した生ゴミを、袋ごとバイオマスや肥料へと分解し、それらを使い植物油の原料を栽培。再びグリーンプラネット生産へとつなげる循環の形を作りたい考えだ。

素材メーカーである「カネカ」が循環づくりに取り組むその意義とは...。

カネカ Green Planet推進部長・角倉護取締役上級執行役員:
素材だけ売っても形にすることは難しい。徹底的に用途にあわせてつくり込む。成形加工の面でも加工メーカーと一緒になって徹底的にお客さまに納得いただけるものをつくり込む。我々はそういうシステムのところまで入り込んでやるということで、循環サイクルを自ら作る触媒になりたい。

(「Live News α」9月27日放送分)