オンラインで“NPT再検討会議”

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、4月27日から開かれるはずだったNPT=核拡散防止条約再検討会議も延期を余儀なくされた。
そんな中、「ステイホーム」で平和を考える新たな動きも出ている。

長崎で被爆した田中熙巳さん:
私は、13歳のとき長崎で被爆した。廃墟の中にたくさんの死体や重傷者が放置されていた、おばたちもその中に入っていた

インターネットを通して自らの体験を語るのは、長崎で被爆した田中熙巳さん(88)。

4月29日に行われた「オンラインNPT再検討会議2020」。
こういうときだからこそ核問題に関する議論を止めてはいけないと、国際NGOピースボートが主催して開いた。

会議の様子は、動画投稿サイトでもライブ配信され、計600人以上がこの場を共有した。

外出自粛続く中、平和活動にも大きな変化

新型コロナウイルスの感染拡大で、世界中で外出がままならない中、平和活動にも大きな変化が生まれている。

アメリカ・ニューヨークの国連本部では、5年に一度、NPT=核拡散防止条約再検討会議が開かれている。

2020年は、4月27日から開かれるはずだった。

NPT=核拡散防止条約とは、核兵器を持っている5カ国(米、露、英、仏、中)に核軍縮を促し、それ以外の国には核兵器の保有を禁じた条約。

191カ国が加盟していて、会議は、国が条約を守っているかを確認する場でもある。
アメリカとロシアの間では、2019年、INF=中距離核戦力全廃条約が失効、2カ国間に唯一残された核軍縮条約(新START=新戦略兵器削減条約)も、2021年2月に有効期限を迎える。

長崎大学核兵器廃絶研究センター・中村桂子准教授:
新START条約がなくなってしまう、これが何を意味するかというと、アメリカとロシアで互いを法的に縛って不信のサイクルに陥らないよう信頼醸成を作っていく仕組み自体がなくなってしまう。言ってみれば、相手の非をなじって軍拡の理由にしていくことが今後可能になっていく、新しい危険な時代に入っていく可能性がある

2017年の核兵器禁止条約の採択後、初めて開かれるはずだった再検討会議は、延期となった。
そこで、1つの代替案として行われたのがオンライン会議だった。

参加した高校生:
中高生に平和な世界を作るため、何ができるのでしょうか

長崎大学核兵器廃絶研究センター・中村桂子准教授:
まずここに参加したことが、1つの大きなステップ。オンラインのある種のよさだと思うが、質問を率直に、いろんな角度で投げかけていただいた。今までの枠を飛び出て新しいことができる時代に入っていると実感する

オンライン会議を開いたピースボートの共同代表・川崎哲さんは、新型コロナウイルスによって、これまでの「安全保障」の考え方が変わるとみている。

ピースボート共同代表・川崎哲さん:
ミサイルや爆弾があっても、何も守ってくれない。大きな意味で言うと、軍事力からの脱却、本当に人々の命にとって大事なものを、世界の連携、協力によって達成していく大きな流れがこれからできていくと思う。そうした中で、「核兵器が平和にとって役に立つんだ」という考えは、相当時代遅れのものになっていくと思う

「核兵器への依存を見直し、規範を示すことが必要な時」

核兵器やミサイルをめぐる世界の状況は、刻々と変化している。
アメリカのCSIS=戦略国際問題研究所によると、北朝鮮では、ミサイル関連とされる新たな施設が2020年中に運用準備が整う見込みのほか、核保有国のアメリカでは2020年秋、国のトップを決める大統領選挙が控えている。

長崎大学核兵器廃絶研究センター・中村桂子准教授:
(NPTの)第3回準備委員会、去年春に行われたのを現地で見てきたが、国と国の信頼関係が壊滅的なまでに損なわれ、低下している現状。日本が率先して他の国に「こう動いてほしい」というだけでなく、核兵器に依存している自分たちの姿勢を見直して規範を示していくことが、本当に必要なときになっている

コロナ時代においても、核兵器廃絶や平和な世界への歩みを止めないため、日本、そして被爆75年を迎えた被爆地ナガサキでも新たな試みが求められている。

(テレビ長崎)