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河本千奈ちゃん(3)が送迎バスに置き去りにされ死亡した事件。
園では7日午前、保護者会が開かれました。保護者会には、亡くなった千奈ちゃんの父親も出席していて、千奈ちゃんのことを話すような声も聞かれました。

バスを楽しみに…奪われた命 悲惨な事件に体調不良が相次いだ保護者会

父親とみられる男性の声:
現実の方は、次の今月の日曜日に、家族写真とかも撮りながら…楽しみにしていました。楽しい時間が…寿司を食べに行くんだよねって

元気に登園したはずの千奈ちゃんは、帰ってきませんでした。
バスでの送り迎えについて、千奈ちゃんはこう話していたといいます。

父親とみられる男性の声:
(園と家が)一番近いけど、一番近いと最後に(バスから)降りるから、長く乗っていないといけないけど、それでも楽しいの?って聞いたら、うん楽しいって言ったので…。
最後に乗ったので、それで分からないというのはないと思います。
水筒の中に満タンに入れたものも全部飲み干し、自分で上の服を全部脱いで裸になって…このまま最後まで裸で…

父親の悲痛な訴えを聞き、保護者の中からは声を上げて泣く様子も。

そして、保護者会開始から約1時間後、出席していた保護者7人と園の職員6人のあわせて13人が体調不良を訴え、救急搬送される事態になりました。
過呼吸などが原因で息苦しさや手死のしびれを訴える人が相次ぎ、保護者会は1時間あまりで中止となりました。

「いつもニコニコ笑って登園」園が大好きだった千奈ちゃん

めざまし8は、千奈ちゃんのことを知る、こども園の関係者を独自取材。園での様子についてこう話します。

園関係者:
いつもニコニコ笑って登園していたお子さんでした。
先生が音楽をかけると歌やダンスを楽しんでいたなっていう…印象でした

歌やダンスが大好きだったという千奈ちゃん。その命は大好きな場所に向かう途中に失われました。

被害児童の名前を間違える場面も…園長会見「不慣れだった」

保護者説明会から約4時間後、こども園による会見が行われました。
冒頭、謝罪の言葉を口にしたのは、事件当日送迎バスを運転していた増田立義園長(73)。
千奈ちゃんに対して「かわいそうだった」と発言する一方で…

川崎幼稚園・増田立義 園長:
“ちなつちゃん”がどの子って言うのはまだ入園して間もないものですから。担任からはこの子が“ちなつちゃん”だよとは聞いていませんけども

“千奈(ちな)ちゃん”の名前を、“ちなつちゃん”と言い間違えているような場面も。
そして、園児を降ろす際、人数を確認しなかったことを問われると…

Q.園児が残っていないかなぜ運転手として確認しなかったのか?
川崎幼稚園 増田立義 園長:

運転をするというのが「不慣れ」だったのが一つの原因だと思います。
普段バスを運転をすることがそんなにないので、普段運転手さんには言っているんですけど、自分自身がそれに対して、言うだけであって不慣れだったなと感じております

「不慣れだった」と釈明。
園の関係者は、本来バスから園児を降ろした後、バスの中の清掃、忘れ物チェック、そしてコロナ禍に入ってからはアルコール消毒も行っており、それらは園長の指示だったと話します。

自らが指示していたという、降車後のルール。
なぜ、園長は自ら決めたルールを実行しなかったのでしょうか?

「年齢的にひとつやるとひとつのことを忘れる」会見の最後には笑みも…

川崎幼稚園・増田立義 園長:
ドアのところを見たあとは、運行記録に目が行ってしまったというのが僕のミスだったし、年齢的にひとつやるとひとつのことを忘れてしまうということがあるもんですから、申し訳なかったなと。
本来ならいつも乗らないようにしているんですけども、たまたまそういうこと(本来の運転手の病気)が起きてしまって、やむを得ず乗らざるを得なかった

Q.忘れ物確認をしようと思わなかったのか?
川崎幼稚園・増田立義 園長:

その時は、もう私の園長という立場かなにか知らないんですけども、習性かもしれないんですけど、 その人(補助の職員)にお任せしているものですから、そこまでは気が回らなかったです

「ひとつやるとひとつ忘れる」「園長という立場の習性」と、あまりに当事者意識に欠ける発言を繰り返す園長。
記者に、送迎バスのトラブルが過去にどの程度あったのかについて聞かれた際は、いらだちを見せる場面もありました。

川崎幼稚園・増田立義 園長:
約40年近くバスの運行をやっているんですね。ですから、多分お宅(記者)が生まれた頃には、バスは動いていたと思います。ですから何件って言われても、それはちょっと私も把握できません

今回の事故について、たまたま起きたミスだったのか、起こるべくして起きたのか聞かれたところ、「両方だと思います」と答えました。

そして、学校法人の理事長、園長を辞任して、責任を取る意向を示した増田園長。

最後に、記者会見を終了する際にはこんな言葉も…

川崎幼稚園・増田立義 園長:
ぜひ皆様がたのご協力によりまして、あるいは僕がいなくなったらさらに良くなるように…

横に控えていた弁護士から「園を続けるか決まっていない」と声をかけられると、「ああそうか、廃園になるかもしれないね」と笑みを浮かべながら会場を後にしました。

(めざまし8 9月8日放送)