今や喫茶店、パティスリーのほか、中国料理店やバーなどいろいろなお店が提供するようになっている“パフェ”。最近はなぜか、夜に営業を開始する『夜パフェ専門店』が増えている。
取材してみると、店が増える裏側にはさまざまなヒミツがあった。

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起源は札幌・すすきの“シメパフェ”文化

大阪・心斎橋にある夜パフェ専門店『パフェテリア パル 心斎橋店』。午後5時に開店、深夜まで営業していて、訪ねた平日の夜9時は、ほぼ満席だった(日によって営業時間は異なる)。

札幌が発祥で、2021年5月に関西へ初上陸。旬にこだわったパフェを提供していて、泡盛のジュレが入ったものなど、アルコールを使った大人テイストのものもある。

そもそも「夜パフェ」とは、札幌・すすきのから始まった、お酒を飲んだ後のシメとしてパフェを食べる“シメパフェ文化”が起源。現在は「一日の最後を締めくくるパフェ」を指している。
店内も、本家・札幌を感じられる空間づくりを意識しているという。

パフェに使うパーツは、全て店内で手作り。ジェラート等19種類のパーツからできたパフェもあり、こうした味や見た目への細部までのこだわりが、店の強みになっているようだ。

客:
結構甘かったり、しょっぱかったり、お酒の味とかも結構しっかり感じられるところもあって。そういうところが他のパフェと違うなと

別の客:
細かい一個一個がめっちゃ豪華で。特別な感じがしてうれしいです

非日常感のあるパフェで一日を締めくくるご褒美感と、専門店ならではのクオリティの高さが、夜パフェ専門店に人々が集まる理由のようだ。

心斎橋に出店した理由は、札幌・すすきののように夜まで開いている店が多いからだという。店長は、大阪のお客さんからの反響は札幌に通ずるものがあると話す。

パフェテリア パル 心斎橋店・田所将 店長:
すすきので働いていたんですけど、そちらも大阪と同じように、若い方から年配の方までご来店されていて。終電過ぎた後とか、ラストオーダーギリギリにくるお客様もいるので、そういった傾向は北海道に似ているのかなと思っています。
飲んだ後とかに、甘いものを食べたいという方もいると思うんです。そういったニーズにうちのお店は合わせられているというのは強みですね 

シメパフェ文化をPRしている「札幌シメパフェ推進委員会」は、この広がりをどのように見ているのか。

札幌シメパフェ推進委員会・小林仁志さん:
もう10年以上前に、札幌では甘いもので一日を締めくくる文化・習慣みたいなのがありました。たくさんのお店と一緒に『シメパフェ』と名付けて、みんなで地域を盛り上げていくというメッセージにして、広報活動していったんですね。
今度はそれが道外の方からも注目を浴びるようになり、色んなメディアで紹介されるようになりました

フランチャイズ制にして急速な店舗展開に成功

さらに調査を進めると、多くの人から名前が上がった店が『21時にアイス』。

あっさりしたミルクソフトクリームに、20種類以上のトッピングを使ったパフェを販売する、関西発の夜パフェ専門店だ。

社長の森田大志さんが、「シメパフェ文化を全国に広めたい」という熱い思いから、2年前、大阪府八尾市に1号店を出店。瞬く間に10店舗以上を展開するまでに急成長(2022年9月現在)。
関西でシメパフェ人気を広めた、パイオニア的存在といえる。

急速に店舗を展開できたヒミツとは…。

21時にアイス 神戸三宮店・野田隆史 店長:
実は春からフランチャイズ展開しておりまして、たくさんのオーナーさんに手を挙げていただいている状態です。一般的なテイクアウトの飲食店からすると、初期費用を低めに設定しています。導入する機械がソフトクリームサーバーと、冷蔵庫と、冷凍庫ぐらい。大きなものがそれぐらいになってまして

導入する設備が少なく、内装をシンプルにすることで初期費用が抑えられ、店舗の数を増やしやすくなったそうだ。

21時にアイス 神戸三宮店・野田隆史 店長:
2つ目の理由として、同一オーナー様が3店舗、多い方で5店舗出店を決定しているところもございまして。仕込みの時間と帰りの準備時間が、一般的な飲食経営に比べて格段に短いものとなっております

トッピングを自社工場から直送するなど、店舗での仕込み時間の削減に成功。従業員は営業時間に加えて、前後約1時間の出勤で済んでいるという。こうした営業のしやすさが、オーナーの複数店舗出店につながっていた。

完成度の高さと巧みなSNS戦略 若い世代の心つかむ

出店ラッシュの一方で、ソフトクリームの巻き方やトッピングの盛り付け方など、技術面の厳しい研修が行われ、パフェのクオリティを高めている。

21時にアイス 神戸三宮店・野田隆史 店長:
紫芋モンブランです
薄田ジュリア キャスター:
うわ~きれい。断面も美しいし、上からみても本当にきれい。これが難しい技術なんですね。確かに写真撮りたくなりますね!

21時にアイス 神戸三宮店・野田隆史 店長:
お客様が写真を撮って、SNSにアップしやすいような商品や内装を心掛けています

この“写真を撮りたくなる店のロゴとパフェの見た目”がポイント。
こうした巧みなSNS戦略で、繁華街でなくとも、駅から遠い所や郊外の住宅街ですら、出店すれば人気を集めるようになったという。

21時にアイス 神戸三宮店・野田隆史 店長:
だいたいインスタグラマーさんの投稿や、友達の投稿を見て、店の存在を知ってくれました。それで「行こう」って言ってくれている人が大半なので。SNSがカギになっていると感じております

初めからSNSに載せることを考慮した商品作りに加えて、発信にも力を入れることで、若い世代に抜群の知名度を誇り、店舗の立地にとらわれない集客に成功しているようだ。

21時にアイス 神戸三宮店・野田隆史 店長:
今後100店舗と、全国制覇を目指して頑張っていきます。お客様に癒やしと喜びを与えられるように。このままブームで終わるのではなくて、文化として残していきたいなと考えております

(関西テレビ8月30日放送『報道ランナー』内「ヒットにワケあり!オカネのヒミツ」より)

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